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迷い道

結婚相手から罠をかけられた。奈落に落ちてヒロにあった。ヒロは見違えるようないい女になっていた。再び舞台に戻り捨てられた謎に迫る。


秘密10

『ビルの下の喫茶店にいます』
 突然のライブの奥さんのメールだ。どうして私のアドレスを知ったのか?
 ビルを下りて喫茶店を覗くと、コーヒーを手に窓の外を眺めている。何度か週刊誌で彼女の顔を見ている。40歳だが5歳ほど若く見える。
「どうして?」
「私は開発者ですよ。あなたとんでもないセックスフレンドがいるのね?」
 アゲの写真も見られている。私のスマホに侵入している。
「今日は提案に来た。あなたもいろいろ調べているから前置きはしない。私と組まない?」
「どういうことですか?」
「今回の監査請求ではライブは持たないわ。私はずっと主人に反対してきた。エリと組んだ時からこの道は見えていた。近々に離婚するわ」
「朽谷さんと?」
「よく調べているのね?主人は自分が先導していると思っているけど、エリに操られている。秘書の自殺で脅されている。あなたのことだからもう調べ済みでしょう?」
 彼女も秘書をエリが殺したことを知っている。会長の指示をエリは脅しの材料に使っているのだろう。
「秘書の死は社員を2分にした。このままでは監査請求で崩壊する。でも私は会社と社員は守りたい。もちろん今すぐの返事は期待していない。必ず私が必要になる」
「会長は今もエリと?」
「主人は起業塾の女を漁っている。エリとは今は関係がないわ。ただエリの先は怖いのよ。それもあなたのことだから調べてるよね?」
「西崎がパイプだな?」
「ええそうよ。彼が抑えてくれると信じているわ」
と言うなりサングラスをかけて立ち上がる。










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テーマ : ミステリ    ジャンル : 小説・文学
  1. 2018/12/19(水) 06:54:33|
  2. ミステリー
  3. | comment 0

秘密9

 ライブの監査を早めに切り上げて神部の事務所を覗く。今夜はアゲと夕食の約束だ。ドアを押すと神部だけが座っている。
「アゲはパテントの中にいますよ。ところで彼女の仕事が終わるまで時間はいいですかね?」
 分厚い調査書を持ってくる。
「朽谷48歳。創立メンバーじゃない。経理ソフトの会社の社長だったが、7年前にライブに吸収されて、今は経理部長のような仕事をしてます。取締役ではない。どうもアルファベットの会社などの資金の流れは彼が作ったようです」
 かなり細やかな経歴などを調べたようだ。写真を見ると黒縁眼鏡をかけた銀行員のような男だ。
「なぜ子会社に?」
「ライブの会長夫婦はエリとのことがあってから別居状態で、こちらの調査の時も奥さんが朽谷と食事をしていました。そのあとホテルに入ったという報告です。会長は起業塾の若い女性にかなり手を出していると言う噂です。エヌの女社長とも寝たことがあるそうです」
「いやに詳しいな?」
「こういう大物は過去の調査結果があるのですよ。会長は何度か朽谷をグループに出しています。でも今回は奥さんがNの社長を勧めたようです。資金の流れを大きく変えるようです。それと思惑もあるようです。分裂騒動にも関係あると踏んでいます」
 いつの間にかアゲが出てきたので神部は調査書類を封筒に入れて渡した。白いマスクをして紺色の高校生のようなコートを着ている。
「風邪でも引いたか?」
 表に出ると尋ねだ。
「いえ外に出る時のいつもの格好」
 アゲはしっかり腕を組んでいる。
「なんだか誘拐犯に見える」
 すると引っ張るように裏道に入る。
「ここは食事ができる」
「ホテルじゃないか?」
 部屋に強引に入ると、コートをぱっととる。何もつけていない。
「ずっと楽しみにしてきたよ!」








テーマ : ミステリ    ジャンル : 小説・文学
  1. 2018/12/18(火) 06:45:23|
  2. ミステリー
  3. | comment 0

秘密8

『昨夜ライブの会長が珍しく『梨花』に来たよ。私がサブで入った。分からない隠語でのママとの話だけど、報告するね。どうも今回のライブの監査で社内が2つのグループに分かれたという話があった。反対のグループはどうも話ではライブの奥さんで西崎がついているそうよ』
 ヒロからのメールが夜中に入っていた。ライブが分裂することなどあるのか?ライブの監査は効果があったようだ。監査のメンバーに私も水野も入っている。今日もライブの会議室に監査メンバーが8人がこもっている。
『ライブが2つに分かれることってあるのですか?』
 専務にメールを流す。
『驚くことではないよ。もう長いこと奥さんと会長の意見は分かれていて派閥ができていた。私は会長派だったが西崎は奥さん派だ。エリは仲裁役だ。だが最近は西崎派に寄りつつある』
『分裂と言うことはあるのですか?』
『アルファベットの会社ではNが柱だ。ここは畠山の後の社長は朽谷と言う男の名前が入っている。この男を調べてみるといい』
『朽谷というNの新社長を調べてくれ』
『OK!今日も会社に出てる。でも圧迫感があってめげそう。だからとっておきの写真見て!』
 何とアゲの大股開きのどんでもない写真が張り付いている。
「また妹?」
「いや専務からの報告だよ」
 私はスマホの画面を手で押さえている。水野は会社に残って作業をしている第2調査課のファイルを見せる。これに基づいて調査をしている。
「ライブの不良債権は相手の会社の倒産で消えている。相手の会社は大半が会長の起業塾のメンバーですよ。倒産企業では使途不明金となっている。これは想像だけどこの会社の場合社長がNで博打ですったことになっている」
「その流れが一つのパターンだな。何社調査がそのレベル出来た?」
「今のところ3社よね」
 これで監査での反撃が可能だ。






テーマ : ミステリ    ジャンル : 小説・文学
  1. 2018/12/17(月) 06:44:36|
  2. ミステリー
  3. | comment 0

秘密7

 急に空気が薄くなったと感じる。夜のうちに机と椅子が運び込まれ、ネットの回線も引き込まれた。連日喧騒のような中で調査は進む。水野は監査請求の文章を作成にかかっている。私は逃げるように外に出た。水野の恨めしそうな眼を見てコートを手に飛び出す。神部の事務所に呼び出されたのだ。
「忙しいとこ悪かったですね」
 事務所のドアを押すとどうも部屋が狭くなった感じだ。3人の社員が窮屈そうだ。奥の神部の席が前に出てきていてパテントの囲いができている。
「社長室っでも作ったのか?」
「いや、ネット時代に業務の拡大を始めるのですよ。ちょっと狭いがパテントの中に入ってください」
 ドアを押すと女性の背中が見える。神部は入ってこない。
「私就職したよ!」
 セーター姿のアゲだ。
「どうして?」
「神戸社長に誘われちゃった。そばに行きかったの。それにやっと部屋を出る勇気ができた」
「自閉症だと聞いたが?」
「母親が再婚した時から10年部屋に閉じこもってパソコンばかりしていた。ちょっとやばい写真を載せてブログを書いていて正一社長に仕事の依頼を受けた」
「もしかしてあの時バージンだった?」
「バンバンのバージンだったよ。でもオナニーばかりしていたから・・・」
 なんだか責任を感じるな。
「どこに住んでいる?」
「神戸社長の2階を間借りしている。奥さんと娘さんが2人、もう少し慣れたらアパートに行く。このパテントも取り払う」
「よしがんばれ。落ち着いたら食事にチャレンジしよう。アゲは可愛いから彼氏もできるよ」







テーマ : ミステリ    ジャンル : 小説・文学
  1. 2018/12/16(日) 06:11:22|
  2. ミステリー
  3. | comment 0

秘密6

『アゲのことを報告する。昨日で契約社員を退職した。彼女はうちで働き始めてちょうど2年だ。だが私は一度もアゲを見たことがない』
『どうしてだ?』
『極度の自閉症だそうだ。相手の目が見れないのだそうだ。それで高校を中退した。それが雄介と会って初めて目が見れるようになったと喜んでいたぞ』
 確かに部屋に飛び込んで来た時、アゲは私の目を見ていた。彼女が際どい自画像を送るのは唯一の外界との表現だったのだ。正一は敢えてその話を私にしなかったのだろう。
『どこに就職したのだ?』 
『自分で言うから内緒にしてほしいと言っていた。ただそちらの調査は続けると言うことだ。それからエリのパソコンについてもアゲに引き継いだ。彼女には天才的な勘がある』
 スマホを置くと珍しく社長が立っている。
「どうだ?ライブの監査請求で現状が打開できるか?」
 水野が気を使って自分の席を空けてコーヒーを入れてくる。
「こちらも厄介なことを突き付けられたのだ。テレビ局の機密費の回答を求められている。それで今顧問税理士と弁護士を動員している」
「現在調べていますが」
と債権放棄や未収入金のリストを見せる。水野も参加させても手一杯だ。
「かなり件数があるのと相手会社の調査に手間取っています」
「これは面白いところに目を付けたな?」
 社長はすぐに狙いどころにピンと来たようだ。
「よし、明日から調査1課から5人をここに張り付かそう。だが詳しい説明はするな」













テーマ : ミステリ    ジャンル : 小説・文学
  1. 2018/12/15(土) 06:48:38|
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yumebito86866

Author:yumebito86866
夢人です。これは『空白』に繋がる作品ですが、これは段ボール箱の住人ではありません。今回書下ろしで書き始めました。ここに登場する人物はみなどこかで触れあった人物ばかりです。そして知った事実がこの小説を書かせました。

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