迷い道

結婚相手から罠をかけられた。奈落に落ちてヒロにあった。ヒロは見違えるようないい女になっていた。再び舞台に戻り捨てられた謎に迫る。


振出7

 ミナミの東心斎橋の雑居ビルに正一の会社があった。1階から6階までピンサロやマッサージ店が入っていて7階に事務所がある。ノックをすると思いがけぬ豪華な造りの部屋に若い5人の社員がパソコンに向かっている。中の一人の女性が奥の社長室に案内する。
「来たな」
「10年ぶりかな」
「ヒロのマンションに転がり込んでいるらしいな?あいつに何度も来いと言ってたがなあ」
「ネット販売の会社だな?」
「そんなまともな仕事やない。企業秘密を盗み出すハッカーだよ。ここには出勤しない社員が20人ほどいる。依頼が企業から来たら得意な奴に任せる。雄介もやるか?」
「いやその気はないよ。もう株だけで生きているさ。ただやり残した仕事を手伝ってもらえるかと。まず手始めにこの証券会社の上場チームのパソコンに入ってほしい」
「これは難問だな」
 もしパソコンが入れ替えになっていないなら記憶しているアドレスで開くはずだ。
「報酬は?」
「楽しみにしてくれたらいい」
「よし乗った!お前は嘘はついたことがなかったからな」
 その夜正一は自分がオーナーのスナックに案内する。どうも抱かれる女ばかりを集めているようだった。
「雄介やね?」
 隣に座ったママが唇を耳元に寄せてくる。昔の彼女だ。
「あなたが捨てたから正一の女になったのよ」











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テーマ : ミステリ    ジャンル : 小説・文学
  1. 2017/03/27(月) 06:57:42|
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振出6

「ヒロの部屋に転がり込んだようやな?」
 朝の5時に寝て昼過ぎに起きて3時に新聞を手に三郎のすし屋に座る。
「日払いを追い出されたのだよ」
「最近チェリーは客を取らないと噂だ。とはいってもそれほど抱かれていたわけではないがな。5度ほど抱いたが今回は拒絶されたよ。それより仕事はどうするのだ?」
「ネットで飯が食えるからな」
「まさか昔のような侵入詐欺をしていないだろうな?」
 確かに大学時代の半ばまで彼らとそうしたことをしてアルバイトをしていた。だが株を始めてからは手を切っている。
「正一覚えているか?」
「ああ、あいつか」
「時々若いのを連れてここに来るが、ネット詐欺を続けている。ミナミに立派な事務所を構えている。雄介の話をしたら会いたがっていたぜ」
 彼とはその頃グループにいた女を取り合いしていたのだ。だが東京に行ってからは会ったこともない。東京に行く日に朝まで彼女とホテルにいた。三郎が名刺をカウンターに置いた。
 ふと手を止めた。週刊誌の写真にエリが写っている。十歳も貫禄が付いたような笑顔だ。彼女の横にライブの渡辺会長らが座っている。ITバブルの社長のクラブを銀座にオープンと見出しにある。私を嵌めた恩賞だろうか。だが私の子供をどうするのだろうか。だがこのけじめはつけないと次には進められない。
「チェリーの店に行くのか?」
「ああ、約束している」
 正一の名刺と週刊誌の記事を切り取ってポケットに入れる。










テーマ : ミステリ    ジャンル : 小説・文学
  1. 2017/03/26(日) 07:12:55|
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振出5

 私とチェリーは奇妙な間になった。ヒロの顔を思い出すと抱く気になれないが、それでも1週間に1度はカラオケバーに通うようになった。この街に戻ってきてすでに3か月がたっていた。私は働きもせず部屋の中にこもってネット売買に熱中していた。とくにライブグループ4社をマークして手持ちの300万を1000万に乗せていた。買収を進めていたテレビ局の株も買い進んだ。
 今日はチェリーが並んでパソコンを開いている。チェリーも200万を500万にしている。昨夜はまた彼女を抱いてしまった。だんだん彼女が女にしか見えなくなっている。
「ね、私のマンションに越しておいでよ」
 これが最近チェリーの口癖になっている。少しでも会いたくなると酔っぱらって部屋に押し掛けてくる。ホテルの親父には女を入れるなと言われている。男とは見られていないようだ。彼女には飲んだ時に結婚前にエリに嵌められた話をしている。彼女は復讐すべきだと言う。それで少しずつ復讐の火が燃え始めている自分に驚いている。
 まずあれからどうなったのか大阪の探偵社から東京の探偵社を紹介を受けた。もう10日になるが初めてのメールが入ってきた。
『・・・証券会社の方ですが、専務は移動なく以前と同様上場チームの担当役員です。会長が取締役から抜けて相談役になっています』
 会長と専務の戦いは専務に軍配が上がったようだ。
『上場チームの部長は任命されず課長に畠山調査部係長が抜擢しています。この辺りは社内でよくない噂があり調査を続けます』
 やはり畠山は専務に買収された。
「専務秘書のエリさんは兵頭さんが退職後ほとんど同時に退職となっています。教えていただいた引越し会社で住まいのマンションは見つけました。調査はこれからです…』
「神部て言う探偵ね」
 背中から覗き込んでいるチェリーの手がズボンのチャックを下している。













 
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  1. 2017/03/25(土) 07:04:00|
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振出4

「確かに雄介だな」
 髭の寿司屋の店長が頷いている。
「三郎か?」
 高校の同窓生だ。
「家を継いだのだな?」」
「ああ。ところでまだ分からないのか?」
「何が?」
「こいつだよ」
とチェリーを指して言う。
「よく顔を見てみろよ」
 ビールを入れたチェリーに向かって店長の三郎が笑って言う。だがそれ以上は口を挟まず寿司を握っている。どうも話ができているようだ。
「ヒロか?」
 記憶が蘇ってきた。博と言ってヒロとそのころ呼んでいた。高校を卒業してもよくネットカフェでたむろしていた。そのネットカフェの店長の連れ子でいつの間にか仲間に交じっていた。
「そうよ。18歳で女になったの」
「あの日はアナルに入れたのか?」
「よかったよ」
「何か微妙だな」
「覚えている?雄介や三郎のグループでは私のフェラは人気だったはずよ」
 そうだそんなこともあった。自分の中でヒロとチェリーを同一視できない。



















テーマ : ミステリ    ジャンル : 小説・文学
  1. 2017/03/24(金) 06:24:51|
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振出3

 中古のパソコンを買って日払いの狭い部屋に閉じこもる。問題は個人的に開いていたネット口座が使えるかどうかだ。これは学生の時から使ってきたもので会社もエリも知らない。ネット口座も大阪で開いたものを使い続けている。ここではライブなどの仕事にかかわる株には手を出していない。
 ライブの事件をしばらくネットで調べてみることにした。室長の件は自殺で片が付いたようだ。ライブの未公開株の引受先は取引先関係者が半分、残りは不思議に若い女性が多い。だが事件としては収まったようだ。それに反して再びテレビ局の株の買い占めが進みまた上がり始める曲線の足が見えている。それで手持ちの金で300万を買った。
「お客さん!」
 下からおばさんの声がする。亭主は朝から競艇通いだ。1週間もここにいるとここの住人のこともよくわかってくる。どうも私はネット詐欺と言われているようだ。
「警察やなくて若い子よ」
 フロントに降りるとおっさんたちに取り囲まれたチェリーが足を組んで座っている。
「なんで来ないのよ」
「ネットをやっていると時間を忘れるのだ」
「変わらないね」
「え!」
「店に行くよ」
「今日は休んでいる。寿司を奢ってよ」
「よくここが分かったな?」
「このあたりのホテルは私のテリトリーでね」
 今日はスリムなジーパンがよく似合う。











テーマ : ミステリ    ジャンル : 小説・文学
  1. 2017/03/23(木) 07:48:45|
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プロフィール

yumebito86866

Author:yumebito86866
夢人です。これは『空白』に繋がる作品ですが、これは段ボール箱の住人ではありません。今回書下ろしで書き始めました。ここに登場する人物はみなどこかで触れあった人物ばかりです。そして知った事実がこの小説を書かせました。

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