迷い道

結婚相手から罠をかけられた。奈落に落ちてヒロにあった。ヒロは見違えるようないい女になっていた。再び舞台に戻り捨てられた謎に迫る。


邂逅9

「飲む?」
 エリがビールをテーブルに押し出す。
「吉井と会ったのね?」
「西崎から聞いたのか?」
「ええ」
「あなたの調べた通り吉井は私の兄よ。初めて抱かれた男性。子供も吉井の子供よ」
「調べた」
「兄は興味で私を抱いたけど、私は狂ってしまった。彼に捨てられないようにといろいろ頑張った。結婚したいと籍も抜いたわ。でもどんどん離れていく」
「あの時ライブの会長は私の自殺を教唆したらしいね?それに専務は懲戒解雇を?」
「それも聞いた?」
「ああ、今までは嵌められたとばかり思っていた」
「嵌めたそれは事実。恨んでいいよ。でも吉井も言っていただろうけどあの頃は雄介を愛していたわ。でも兄とどちらかを選べと言われれば兄よ。あの時ライブの会長は雄介を消さなければ吉井組を切ると言ってきた。それで畠山を使って不正を作り出した。彼奴はその度に金と体を求めてきた」
「私が戻ってきたのは予想外だったのか?」
「ライブの会長は私のミスだと言っているわ。その通りね。タイにも来ていたのね?」
「ああ」
「あれは兄は関係ない。タイに連れ出すのは兄の部下だったけど、拷問をしたのは西崎の部下よ」
 ドアがノックされてチェリーがオードブルを運んでくる。さすがに心配しているようだ。その時エリの目が光ったような気がした。








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テーマ : ミステリ    ジャンル : 小説・文学
  1. 2017/07/24(月) 06:24:35|
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邂逅8

 水野がリーダーでライブの再編成を上場室全員を動かして開始した。
「記事を載せたのだけど反応はまちまちなの」
 水野がパソコンをこちらに向ける。会長を解任して徐々に株価が回復をしていたが、グループ会社の決算報告が出始めるとまた反落した。この記事で1割を回復したが伸び悩みをしている。
『エリが会いたいと言ってるが、今夜9時に『梨花』に来れるか?』
 ネット証券の社長からだ。彼はエリと私の微妙な中間にいる。
『エリは今出てきているのか?』
 ヒロにメールを送る。ちょうどクラブに入った頃だ。
『3日前から出てきているよ。昔の元気なママに戻ったみたい。でも最近西崎がカウンターでママとひそひそ話しているよ』
 9時に『梨花』に着く。ネット社長のボックスに案内される。ボックスにはチェリーとサブが座っている。チェリーはもう人気のホステスになっている。カウンターにヒロが言っていたように西崎と並んで掛けている。エリがこちらを見たようだ。チェリーが立ち上がってカウンターに行く。
「タイに行ったらしいな?」
「エリが言っていたのですか?」
「ああ」
 チェリーが戻ってきて私に耳打ちした。
「事務所の応接に案内するわ」
 初めてクラブの裏側に入った。化粧室にロッカーが並んでいる。華やかな店地裏腹に雑然としている。半裸のホステスが着替えている。
「ここはホステスの採用に使うのよ」
 小声でチェリーが囁く。チェリーがノブを押すと煙草を咥えてスナホを持ったエリがいた。








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  1. 2017/07/23(日) 06:09:59|
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邂逅7

 女記者の週刊誌を手に久しぶりに警視庁の玄関に入る。部長のネームの部屋のドアを押す。制服の岬が別の顔で私を迎える。吉井組長と会った夜中岬は筋肉の鋼のような体で私に絡みついていた。
「畠山の遺体を日本に移送した」
 部長は俯いたまま資料に目を通している。岬はパソコンに検死報告を映し出してこちらに向ける。胸の空いたドレス姿の岬を見慣れているので制服が浮いて見える。
「週刊誌にすっぱ抜かれたが元々君の情報だからなあ。検死の報告を簡単に説明したまえ」
「毒殺だと思えますが、指が右手で3本、左手で2本、根元から切断されていました」
 やはり拷問をしてUSBを出さした。だが畠山は原本を残していた。
「そちらはどこまで証拠を握っているのか?」
「ある程度」
「どこまで出す?」
「ライブの会長を追い込むために少し時間をかけたいのです」
「ライブの会社は?」
「グループの編成を行って生き残りにかけています。吉井組まで挙げる予定ですか?」
「オレオレ詐欺の頭は挙げたが組にまでは無理だ」
 パソコンの画面に畠山の欠けた指が写っている。彼奴も欲をかきすぎたのだ。元々は気の小さな男なのだ。
「今日すでにライブの会長を呼んでいる」
「任意ですか?」
「逮捕だよ」
「容疑は?」
「株価操作の指示だ」
「これについては現在のネット証券の社長から畠山がライブの会長から株価操作の指示を受けていた証拠を出しています」
「その逮捕の間にある程度の殺人示唆の証拠を出せと言うことですね?」









 
テーマ : ミステリ    ジャンル : 小説・文学
  1. 2017/07/22(土) 06:02:01|
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邂逅6

 水野を連れて雑誌社のビルを覗く。
「へえ、綺麗な部下がいたんだ」
 女記者が水野に会うのは初めてだ。
「これからは彼女にも入ってもらうので連れてきた」
 応接室に入るともう編集モードになる。
「昨夜タイで例の畠山の死体が上がった」
「警察は?」
「今知らせた」
「明日出せばすっぱ抜きね!」
 彼女はファイルを出してきて畠山の資料を出してい来る。
「誰かに連れ出されてタイに不法入国したことになるね?」
「ああ、会いに行ってきた。もちろんその時は生きていた」
「殺した相手は?」
「目星が付いている。だがそれを伏せて攻め込んでほしいのだ」
「炙り出す?」
「ライブの会長を引き出したい。畠山は彼の殺人示唆の証拠で脅していたのだ」
「それで殺された?」
 水野が探るような目で見る。私のタイ行が関係あると思っている。私は載せてほしい記事の台本を入れたUSBと畠山のタイでの写真を渡した。
「警察からネタを聞かれたら?」
「私の方で警察とは話す」





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  1. 2017/07/21(金) 06:48:38|
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邂逅5

 朝会社に出ると応接室に朽谷の顔が見える。彼はすでに今回Nの社長を下りてライブの専務になっている。
「ライブの株の件か?」
 水野係長が私の前の席でコーヒーを飲んでいる。
「いえ、個人的な話と言っておられます」
 それだけで私は応接室のドアを閉めて中に入る。
「昨夜タイで畠山の死体が上がりました」
「日本の新聞には?」
「まだようやく日本人であることが分かったところです。現地法人の方でずっと調べていたのです」
「日本の警察はまだ?」
「ええ」
「それで早見社長から相談に行くように言われました」
「分かりました」
 私はスマホを出して岬に畠山の死体発見を打ち込んだ。まず日本に畠山の死体を返してもらうのだ。
「ライブの方は今どうですか?」
「やはり無理な運営をしてきたので反落する売り上げになります。それで御社にも動いてもらいたいと社長は言っています。ライブグループ3社のうち2社を吸収します。それでなんとかライブは生き残ります。1社はすでに倒産状態でした」
「Nなどの資金を充当したのですね?」
「ええ」
「畠山の死は週刊誌に載せますがいいですか?」
 朽谷が応接を出て水野を連れて女記者に会うことにした。この際水野にもライブ問題を深く知ってもらおうと思っている。そうしないともう手が足らなくなってきている。






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  1. 2017/07/20(木) 06:22:03|
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プロフィール

yumebito86866

Author:yumebito86866
夢人です。これは『空白』に繋がる作品ですが、これは段ボール箱の住人ではありません。今回書下ろしで書き始めました。ここに登場する人物はみなどこかで触れあった人物ばかりです。そして知った事実がこの小説を書かせました。

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