迷い道

結婚相手から罠をかけられた。奈落に落ちてヒロにあった。ヒロは見違えるようないい女になっていた。再び舞台に戻り捨てられた謎に迫る。


振出4

「確かに雄介だな」
 髭の寿司屋の店長が頷いている。
「三郎か?」
 高校の同窓生だ。
「家を継いだのだな?」」
「ああ。ところでまだ分からないのか?」
「何が?」
「こいつだよ」
とチェリーを指して言う。
「よく顔を見てみろよ」
 ビールを入れたチェリーに向かって店長の三郎が笑って言う。だがそれ以上は口を挟まず寿司を握っている。どうも話ができているようだ。
「ヒロか?」
 記憶が蘇ってきた。博と言ってヒロとそのころ呼んでいた。高校を卒業してもよくネットカフェでたむろしていた。そのネットカフェの店長の連れ子でいつの間にか仲間に交じっていた。
「そうよ。18歳で女になったの」
「あの日はアナルに入れたのか?」
「よかったよ」
「何か微妙だな」
「覚えている?雄介や三郎のグループでは私のフェラは人気だったはずよ」
 そうだそんなこともあった。自分の中でヒロとチェリーを同一視できない。



















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テーマ : ミステリ    ジャンル : 小説・文学
  1. 2017/09/25(月) 05:39:58|
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振出3

 中古のパソコンを買って日払いの狭い部屋に閉じこもる。問題は個人的に開いていたネット口座が使えるかどうかだ。これは学生の時から使ってきたもので会社もエリも知らない。ネット口座も大阪で開いたものを使い続けている。ここではライブなどの仕事にかかわる株には手を出していない。
 ライブの事件をしばらくネットで調べてみることにした。室長の件は自殺で片が付いたようだ。ライブの未公開株の引受先は取引先関係者が半分、残りは不思議に若い女性が多い。だが事件としては収まったようだ。それに反して再びテレビ局の株の買い占めが進みまた上がり始める曲線の足が見えている。それで手持ちの金で300万を買った。
「お客さん!」
 下からおばさんの声がする。亭主は朝から競艇通いだ。1週間もここにいるとここの住人のこともよくわかってくる。どうも私はネット詐欺と言われているようだ。
「警察やなくて若い子よ」
 フロントに降りるとおっさんたちに取り囲まれたチェリーが足を組んで座っている。
「なんで来ないのよ」
「ネットをやっていると時間を忘れるのだ」
「変わらないね」
「え!」
「店に行くよ」
「今日は休んでいる。寿司を奢ってよ」
「よくここが分かったな?」
「このあたりのホテルは私のテリトリーでね」
 今日はスリムなジーパンがよく似合う。











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  1. 2017/09/24(日) 12:06:06|
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振出2

 朝起きるとベットには全裸の若い女の子の背中がある。振り向いたチェリーはいい形の乳を隠すことなく私を見つめている。
「分からない?」
「何が?」 
「いいのよそれじゃ。凄くビンビンだったわよ」
「いくらだ?」
「3千円」
「抱いたお金だよ」
「飲み代だけで今日はいい。でも時々遊びに来ること」
「どうしてだ?」
「昔私の好きだった人を思い出したからよ。いつ戻ったの?」
「東京からだ。株で失敗して一から出直しだ」
と答えて話がかみ合ってないように思った。
「株ね。その人も株が好きでね。一日中パソコンに向き合っていたわ。それで私も教えてもらって少し株もするよ」
「そうか。ならもう少し即戦力を指導しよう。それに次は金を払う」
「私も気持がよかったから払える時でいいよ。どこに住んでいるの?」
「この通りの奥の日払いだ」
 チェリーは全裸のままシャワー室に入る。エリはグラマーな部類だがチェリーは少年のようなスリムな体をしている。手の中に入るという感じの乳房だ。
「株をやっているならライブは買った?」
「私たちには手がでないわ。上がりすぎで怖い気がする」
「そうだな。実力以上の動きをしている」







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  1. 2017/09/23(土) 16:58:37|
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振出1

 この街は懐かしい臭いが充満している。路地を抜けて日払いのホテルに1か月分払って3日間水だけで眠っていた。この街に生まれて大学までここで住んでいた。早くこの街から出たいと奨学金をもらい大学に行った。それでようやく東京の中小証券会社に入社したのだ。その時にこの街を捨てたはずだった。
 夕方初めて外に出る気になった。もう冷たい風が吹く季節になっている。気になって新聞と週刊誌を買う。昔からの店もあるが新しい居酒屋も増えている。その一つに入ると焼きそばにビールを頼む。新聞を広げるとついつい株価の欄に目が行く。ライブは依然高値更新をしている。週刊誌にはライブの室長の自殺の記事が出ている。
 彼は未公開株を自らの彼女に持たせて相当な利益を上げてきたとある。おそらくその女たちはライブの会長の女だろう。どうもこの記事ではこれで決着ついたような書き方だ。記事の片隅に私のことも行方不明と書かれている。
「歌うたわないの?」
 若い女がカウンターの中から声をかけてくる。昔はこの辺りは年増ばかりだった。今は若い子ばかりが並んでいる。
「じゃあ私が歌うからビール奢ってよ」
 どうも歌の料金とビール代が付けられたようだ。胸にチェリーという名札をつけている。私の隣に常連が座ってチェリーに酒を注文している。だが相手しないで私に話しかけてくる。
「大阪で生まれた女歌ってみる」
「古い歌を知ってるのだなあ」
 でもこれは昔は十八番だった。歌いだしたがなかなかうまい。歌が終わると耳元でひそひそ話しかける。私もチェリーも3本を空けている。
「おい。もう戦線離脱かよ」
 チェリーはジャンバーを引っかけてきて酔っている私の腕を抱えて外に飛び出す。















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  1. 2017/09/10(日) 06:52:08|
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地崩れ11

 3度目の任意同行の後、署内が急に慌ただしくなった。この署内で尋問を受けているのはライブの室長と私だ。そう言えばまだ知能犯の刑事が現れない。彼が2人に交互して尋問をしている。1時間半待たされて知能犯の刑事が渋い顔で入ってきた。
「室長が今朝早く飛び降り自殺をした」
「自宅のマンションで?」
「いや取り調べの間この近くのホテルに泊まっていた。会社が用意していたようだ」
「本当に自殺なのですか?」
「分からん。だがこうなると君しか事実を話せるものはいなくなった。だが彼が独断で未公開株の手当てをしていたと言っていた」
 だが私の尋問は何の成果もない状態だ。実際に未公開株の手当てをしていたのはライブの会長と専務だ。室長も事務作業をしていたぐらいだろう。私は一切参加していない。だがここまでやるとは追いつめられているということだ。しばらく身を隠さないと危ない。
 警察から出ると、その足で東京駅のロッカーに向かう。これは尋問の時から用意していた。確かに専務やエリに罠にはめられた。だがそれを覆す証拠がない。同じように殺されてしまっては罪を被せられることになる。必要なものはこの鞄にまとめた。通帳に残っていた金もすべて現金に換えた。とはいうものの贅沢なエリと付き合うためにほとんど預金を使い込んでしまっている。
 もう一度原点に戻って出直そう。
 新幹線に乗り込むとどっと眠気が襲ってくる。初めて上場チームの課長に抜擢された時のことを思う。
「君を推薦したのはライブの会長だ」
「会ったこともないですが?」
「いやインターネット仲間だと言ってたさ」
 だがそれだけですっかり忘れてしまったいた。














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  1. 2017/09/09(土) 06:53:47|
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プロフィール

yumebito86866

Author:yumebito86866
夢人です。これは『空白』に繋がる作品ですが、これは段ボール箱の住人ではありません。今回書下ろしで書き始めました。ここに登場する人物はみなどこかで触れあった人物ばかりです。そして知った事実がこの小説を書かせました。

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