迷い道

結婚相手から罠をかけられた。奈落に落ちてヒロにあった。ヒロは見違えるようないい女になっていた。再び舞台に戻り捨てられた謎に迫る。


深層7

 息子と女記者を連れてNの店に入る。私は髭をつけて女記者は黒縁眼鏡をかけている。帽子を被った息子は常連や店の者に声をかけられている。私は用意して来た100万円を息子に渡している。店に入ると息子はその金をカウンターで入金する。どうもコインに変換されたようだ。合わせてカードを渡される。息子に部屋中を歩き回るように言っている。店は1階と地下のメゾネットだ。
 客はそう多くはないが、ITの社長で写真を見た顔が何人かいる。それぞれが女性を連れている。女記者は巧みにネックレスに仕込んだカメラを撮っている。地下に降りると畠山が買収したネット証券会社の社長と並んで競馬ゲームをしている。息子も隣に座って参加する。私と記者はテーブルにかけてワインを飲む。
「ここは6時に開店して、朝まで開いているわ。それにホステスもいる。これは息子に聞いたけど、地下から隣のラブホテルに移れるようなの。ホステスは誘えるそうよどう?」
「逃げ道にもなるわけだ」
「隣のホテルはやはりアルファベットの会社の所有よ」
 かなり調べている。
「先ほどのネット証券会社の社長は2年目前からここに入り浸りでもう10億は負け続けている。その損をライブが買い取っている。もう彼は大株主ではないわ」
「乗っ取りに使っているわけだな」
 二人はもう5杯もワインを飲んでいる。店に入ったのが8時だがもう12時を回っている。客は12時になってどっと増えた。『梨花』のホステスの顔が何人もいる。それぞれ客を連れた同伴だ。その中にチェリーの顔とエリの顔がある。記者が動き始めたのをきっかけに私は人ごみの中に紛れる。チェリーが腕を繋いでいるのはITの旗手と言われている上場社長だ。ちょっと嫉妬する。
『抱き付きすぎだ!』
『いるの?』
 私は一番奥のカウッターにもたれる。どうもここに従業員が座って8分割のカメラを覗き込んでいる。部屋の隅々だけでなく表玄関、駐車場まで監視している。
 白いベンツがいる!











 
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テーマ : ミステリ    ジャンル : 小説・文学
  1. 2017/05/26(金) 06:45:30|
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深層6

 珍しくサングラスの女記者から呼び出しがあった。それで夜に彼女の行きつけのスナックで飲むことにした。エヌの記事以来久しく会っていない。
「へえ、ドレスを着ている姿は始めてたな」
「私も女よ」
 だがビールの小瓶をラッパ飲みしている。彼女が読んでいる週刊誌を覗く。雑居ビルの前に外車が停まっている。
「この記事を頂こうかなってね」
「賭博場があるというやつか?」
「この店を運営しているの誰と思う?」
「どこかのやくざだろう?」
「それがね、ライブのアルファベットのNと言う会社よ。私の調べたところ全国に8店舗もある。社長は元ライブの社員。客はITで成功した社長が多い。先ほど潜入を試みて失敗したわ。会員制になってるのよ」
「なぜ興味を持った?」
「ここの会員が度々最近倒産している。総額も25億もある。あのあなたがいた証券会社の社長もここの常連だったのよ」
「力を貸せと言うのか?」
「ライブの謎に近づくと思わない?」
『社長、息子さんはどうされていますか?』
『家でごろごろしとるよ』
『紹介してもらえますか?』
 上場チームの課長時代面識はある。
「よし、その証券会社の元社長と潜入をしてみよう」
 Nはエリの謎にも近づけるかもしれない。勘だ。





テーマ : ミステリ    ジャンル : 小説・文学
  1. 2017/05/25(木) 06:58:18|
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深層5

 睡眠不足で調査資料に目を通す。アゲにはかなわない。彼女の1回は朝まで続いた。何を見てきたのかあらゆる妄想のポーズを迫る。
『雄介、悪かったな。アゲが攻撃するとは思っていなかった・・・ところでライブの会長の奥さんの話をする。エリは会長のよく行っていたクラブに意識的に入ってきたようだ。これは主人の言い訳だからどうかと思うがと説明して、どうもある日朝起きるとエリが素っ裸で横で眠っていて主人のものから精液が出ていたという。私は引っかけられたと思う』
 まるで私の時と同じだ。私は今でも睡眠薬を飲まされたと思っている。だが付き合っている彼女もいなくずるずる同棲を始めた。
『・・・奥さんはエリが秘書になってから素行調査をしている。調査書によれば彼女は真夜中に白いベンツの迎えが来て、慣れたように飛び乗ったと言う。運転手はサングラスをかけたチンピラだったという』
 正一にメールを返す。
『ナンバーは見ていないのか?』
『残念ながら。ただ横浜ナンバーだったと。それと大きな成果がある。彼女にセキュリティブロックの話を聞いた。エリのパソコンだ。エリの名は出さなかったが彼女が開発したものに似ていると言った。これで挑戦してみる。アゲは連れて帰るから安心しろ』
 私はメールを閉めて神部に続いてメールを送った。
『横浜ナンバーの白いベンツでやくざが持っている車を調べてくれ』
「どうしたの?風邪でも引いた?顔が浮腫んでいるわ」
 コーヒーを持った水野が入ってくる。
「ノックだよノック」
「まさか妹と道ならぬ恋?」
「お前も妄想女だな」








テーマ : ミステリ    ジャンル : 小説・文学
  1. 2017/05/24(水) 06:25:11|
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深層4

 エリに会った次の日からまた尾行が始まったような気がする。それでしばらくヒロはホテルに泊まることになった。それで機嫌が非常に悪い。何度もメールが入る。だがエリの表情を見ていたから最後は納得した。
 夕食を会社の近くで済ませてマンションに戻る。途中で正一からメールが入る。
『今からライブの会長の奥さんと会う。新しい情報を期待してくれ』
 ちょっとやくざだった顔が見え隠れする。
 何度か後ろを振り返って鍵を指す。最近は帰るコースも変え細い路地をタクシーに走らせる。ドアをゆっくり押すと部屋に灯りがついている。ヒロが帰ってきているのか?ドアを閉めると思い切り飛びかかってくるものがある。黒いマントが目に入った。思い切り腕をひねって投げ飛ばす。
 まさかここまでやるのか?エリの顔が浮かぶ。だが悲鳴を上げて素っ裸の若い女が股開きだ。
「うー!ひどい!」
 アゲだ。
「叫ぶよ!」
「どうした?」
「社長と東京に来た。一度死んでもいいから入れて」
「まだ高校生だろ!」
「中退している」
「子供が生まれるぞ」
「社長に聞いているぞ。お前は不良で一杯手籠めをしてたって」
 正一か。
「ピル飲んでるからって」
 だめだ!昔の癖が出ている。そのまましっかりアゲの中に沈めている。
『もう寝た?』
 ヒロからだ。








テーマ : ミステリ    ジャンル : 小説・文学
  1. 2017/05/23(火) 06:56:43|
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深層3

『今来たよ!』
 ヒロからのメールだ。私はいよいよエリの目前に現れる時期だと思っている。嵌められた復習と言うのではなくて、エリの本当の姿と対決したい。
 『梨花』に入るとチェリーが立って見つめている。私はここでは専務のサブの客だ。ボックスの専務に頭を下げて座る。チェリーの姿は別のボックスに歩き出している。
「いいのか?」
「踏み込む時期です。互いに襲われた同志ですから次は攻撃しますよ」
「戻れないぞ」
 エリがチェリーの後ろを歩いてくる。
「子供が生まれたらしいな?私じゃないし彼でもないようだな」
 専務の声にエリが隣に座っている私を見る。
「復讐に来たの?」
「いやお祝いに来た」
 エリの目がきらりと光る。
「私でも専務でもライブの会長でもないその子は誰の子だ?」
 チェリーが私とママのグラスにブランディを注ぐ。
「それはどういう意味?」
「私もそれを聞きに来た」
 エリは指輪を擦っている。これは怒った時の彼女の癖だった。この指輪は私の記憶では会った時からはめていたものだ。母の形見だと言ったのを覚えている。
「どうして別の人間だと?」
「調べた」
「で分かった?」
「いや」
「見つけてみたら」
と言うなりボックスを離れていった。







テーマ : ミステリ    ジャンル : 小説・文学
  1. 2017/05/22(月) 06:39:35|
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プロフィール

yumebito86866

Author:yumebito86866
夢人です。これは『空白』に繋がる作品ですが、これは段ボール箱の住人ではありません。今回書下ろしで書き始めました。ここに登場する人物はみなどこかで触れあった人物ばかりです。そして知った事実がこの小説を書かせました。

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