迷い道

結婚相手から罠をかけられた。奈落に落ちてヒロにあった。ヒロは見違えるようないい女になっていた。再び舞台に戻り捨てられた謎に迫る。


邂逅10

「最近チェリーを指名しているのね?」
「いや、ネット社長のお薦めでね」
「あの子は可愛いわ。私でも抱いてみたいと思っているもの。最近吉井は私を抱こうともしないわ。雄介もそうでしょう?」
「ライブの会長が逮捕されたが?」
「彼はもう下がるところがないのよ」
「君は?」
「私ももう失うものは亡くなったわ。兄はもう愛してくれないし・・・」
 エリは元気になったが目に力がない。
「今のクラブをやればいいじゃないか?」
「そうね。あなたはどこまで証拠をつかんだの?」
「そこそこだ」
「最後まで追い込む?」
「ライブの会長はでもエリがもうクラブに帰るのなら考えてもいい」
 これは偽らない気持ちだ。だが警察はどこまで踏み込むかは分からない。
「もうやめろよ。畠山も自業自得だ」
 メールがポケットの中で震えている。
「もう店も終わったわ。最近西崎と寝ているの」
「そうか」
「恋人ができた?」
「いや」
 ドアを出ると暗い通路を抜けて裏口に出る。もう店のネオンは消えている。路地を抜けていくとヒロが腕を組んでくる。
「美味しい店があるよ」







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  1. 2017/01/31(火) 06:54:58|
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邂逅9

「飲む?」
 エリがビールをテーブルに押し出す。
「吉井と会ったのね?」
「西崎から聞いたのか?」
「ええ」
「あなたの調べた通り吉井は私の兄よ。初めて抱かれた男性。子供も吉井の子供よ」
「調べた」
「兄は興味で私を抱いたけど、私は狂ってしまった。彼に捨てられないようにといろいろ頑張った。結婚したいと籍も抜いたわ。でもどんどん離れていく」
「あの時ライブの会長は私の自殺を教唆したらしいね?それに専務は懲戒解雇を?」
「それも聞いた?」
「ああ、今までは嵌められたとばかり思っていた」
「嵌めたそれは事実。恨んでいいよ。でも吉井も言っていただろうけどあの頃は雄介を愛していたわ。でも兄とどちらかを選べと言われれば兄よ。あの時ライブの会長は雄介を消さなければ吉井組を切ると言ってきた。それで畠山を使って不正を作り出した。彼奴はその度に金と体を求めてきた」
「私が戻ってきたのは予想外だったのか?」
「ライブの会長は私のミスだと言っているわ。その通りね。タイにも来ていたのね?」
「ああ」
「あれは兄は関係ない。タイに連れ出すのは兄の部下だったけど、拷問をしたのは西崎の部下よ」
 ドアがノックされてチェリーがオードブルを運んでくる。さすがに心配しているようだ。その時エリの目が光ったような気がした。








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  1. 2017/01/30(月) 06:54:00|
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邂逅8

 水野がリーダーでライブの再編成を上場室全員を動かして開始した。
「記事を載せたのだけど反応はまちまちなの」
 水野がパソコンをこちらに向ける。会長を解任して徐々に株価が回復をしていたが、グループ会社の決算報告が出始めるとまた反落した。この記事で1割を回復したが伸び悩みをしている。
『エリが会いたいと言ってるが、今夜9時に『梨花』に来れるか?』
 ネット証券の社長からだ。彼はエリと私の微妙な中間にいる。
『エリは今出てきているのか?』
 ヒロにメールを送る。ちょうどクラブに入った頃だ。
『3日前から出てきているよ。昔の元気なママに戻ったみたい。でも最近西崎がカウンターでママとひそひそ話しているよ』
 9時に『梨花』に着く。ネット社長のボックスに案内される。ボックスにはチェリーとサブが座っている。チェリーはもう人気のホステスになっている。カウンターにヒロが言っていたように西崎と並んで掛けている。エリがこちらを見たようだ。チェリーが立ち上がってカウンターに行く。
「タイに行ったらしいな?」
「エリが言っていたのですか?」
「ああ」
 チェリーが戻ってきて私に耳打ちした。
「事務所の応接に案内するわ」
 初めてクラブの裏側に入った。化粧室にロッカーが並んでいる。華やかな店地裏腹に雑然としている。半裸のホステスが着替えている。
「ここはホステスの採用に使うのよ」
 小声でチェリーが囁く。チェリーがノブを押すと煙草を咥えてスナホを持ったエリがいた。








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  1. 2017/01/29(日) 06:56:24|
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邂逅7

 女記者の週刊誌を手に久しぶりに警視庁の玄関に入る。部長のネームの部屋のドアを押す。制服の岬が別の顔で私を迎える。吉井組長と会った夜中岬は筋肉の鋼のような体で私に絡みついていた。
「畠山の遺体を日本に移送した」
 部長は俯いたまま資料に目を通している。岬はパソコンに検死報告を映し出してこちらに向ける。胸の空いたドレス姿の岬を見慣れているので制服が浮いて見える。
「週刊誌にすっぱ抜かれたが元々君の情報だからなあ。検死の報告を簡単に説明したまえ」
「毒殺だと思えますが、指が右手で3本、左手で2本、根元から切断されていました」
 やはり拷問をしてUSBを出さした。だが畠山は原本を残していた。
「そちらはどこまで証拠を握っているのか?」
「ある程度」
「どこまで出す?」
「ライブの会長を追い込むために少し時間をかけたいのです」
「ライブの会社は?」
「グループの編成を行って生き残りにかけています。吉井組まで挙げる予定ですか?」
「オレオレ詐欺の頭は挙げたが組にまでは無理だ」
 パソコンの画面に畠山の欠けた指が写っている。彼奴も欲をかきすぎたのだ。元々は気の小さな男なのだ。
「今日すでにライブの会長を呼んでいる」
「任意ですか?」
「逮捕だよ」
「容疑は?」
「株価操作の指示だ」
「これについては現在のネット証券の社長から畠山がライブの会長から株価操作の指示を受けていた証拠を出しています」
「その逮捕の間にある程度の殺人示唆の証拠を出せと言うことですね?」









 
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  1. 2017/01/28(土) 07:06:31|
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邂逅6

 水野を連れて雑誌社のビルを覗く。
「へえ、綺麗な部下がいたんだ」
 女記者が水野に会うのは初めてだ。
「これからは彼女にも入ってもらうので連れてきた」
 応接室に入るともう編集モードになる。
「昨夜タイで例の畠山の死体が上がった」
「警察は?」
「今知らせた」
「明日出せばすっぱ抜きね!」
 彼女はファイルを出してきて畠山の資料を出してい来る。
「誰かに連れ出されてタイに不法入国したことになるね?」
「ああ、会いに行ってきた。もちろんその時は生きていた」
「殺した相手は?」
「目星が付いている。だがそれを伏せて攻め込んでほしいのだ」
「炙り出す?」
「ライブの会長を引き出したい。畠山は彼の殺人示唆の証拠で脅していたのだ」
「それで殺された?」
 水野が探るような目で見る。私のタイ行が関係あると思っている。私は載せてほしい記事の台本を入れたUSBと畠山のタイでの写真を渡した。
「警察からネタを聞かれたら?」
「私の方で警察とは話す」





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  1. 2017/01/27(金) 06:51:23|
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邂逅5

 朝会社に出ると応接室に朽谷の顔が見える。彼はすでに今回Nの社長を下りてライブの専務になっている。
「ライブの株の件か?」
 水野係長が私の前の席でコーヒーを飲んでいる。
「いえ、個人的な話と言っておられます」
 それだけで私は応接室のドアを閉めて中に入る。
「昨夜タイで畠山の死体が上がりました」
「日本の新聞には?」
「まだようやく日本人であることが分かったところです。現地法人の方でずっと調べていたのです」
「日本の警察はまだ?」
「ええ」
「それで早見社長から相談に行くように言われました」
「分かりました」
 私はスマホを出して岬に畠山の死体発見を打ち込んだ。まず日本に畠山の死体を返してもらうのだ。
「ライブの方は今どうですか?」
「やはり無理な運営をしてきたので反落する売り上げになります。それで御社にも動いてもらいたいと社長は言っています。ライブグループ3社のうち2社を吸収します。それでなんとかライブは生き残ります。1社はすでに倒産状態でした」
「Nなどの資金を充当したのですね?」
「ええ」
「畠山の死は週刊誌に載せますがいいですか?」
 朽谷が応接を出て水野を連れて女記者に会うことにした。この際水野にもライブ問題を深く知ってもらおうと思っている。そうしないともう手が足らなくなってきている。






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  1. 2017/01/26(木) 06:22:20|
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邂逅4

 店はもう閉まったようだ。ノックがあって岬が心配して覗いた。
「今日は彼を借りる我慢してくれ」
 組長が手を振っている。岬は何か異常なものを感じているはずだ。わざわざ覗きに来る危険を冒している。
「君はモテるようだな?エリが目的のために殺さなかったことはなかった。秘書も畠山も殺した。だが君の場合は自己都合退社で終わらせた。あの時専務が懲戒解雇を求めたのを反対したのもエリだよ」
 専務は内緒にしている。
「エリは子供を失ってこれから?」
「それが私にはわからない。だが子供が危ないと言うのは医師から聞いていた。本人も分かってたはずだ。今はへこんでいるがこの反動が怖い」
「でも新しいライブの会長はNやSを切り離したはずですが?」
「それを今西崎が持っている。その西崎を押さえ込んでいるのはエリだ。吉井組もエリに握られているのさ」
「裏の社会に君臨する?」
「ああ」
「君はライブの会長もエリも押える証拠を握っている」
「私は警察の犬じゃありません。私の使命の仕事はほぼ終わりました」
「そうですかね?」
 私の動揺を組長は見ている。そうだ。私は知らなかったエリを見せられて次の足が踏み出せられなくなっていた。
「組も影響受けますよ?」
「できるだけの防御はする。気にするな。送らせようか?」
「いえ」
 私は真っ暗な通路を出て裏口から外に出る。
「生きてたね?」
 岬が横から腕をとる。
「凍えるかと思ったよ」
 

 







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  1. 2017/01/25(水) 06:24:47|
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邂逅3

「西崎さんが会いたいと?」 
 ボーイが覗いた。
「今日は忙しいと言ってくれ」
 組長はそう言って話を続ける。余程胸に詰まったものがあるようだ。
「組の資金が底ついていた。それでついエリの話に乗ってしまった」
「ライブの?」
「西崎がまとめていた振り込め詐欺のグループと組むことになった。エリは次々とNやらSの会社を作って組とパイプを繋いだ。これがもとで組は経済知能犯と呼ばれるようになった。それで私は若頭となった。そのためにエリを抱かざる得なくなった。エリは毎回会う日と場所を指定してきた」
「やはりアルファベットの会社は吉井組と繋がっていたのですね?」
「ああ、もう抜き足のできないところまできた。組長の奥さんが亡くなって一人娘との結婚の話が出た」
「今の奥さんですね?」
「この時も大変だった。エリはまたもやその娘を狙った。これには西崎も加担していた。薬を飲ませて自殺させようとしたが、さすがに西崎が真相を伝えてきた。それで私がエリと和解をした。定期的に会うことを条件に結婚を認めさせた」
「そんなときにエリは妊娠した?」
「そうだ。いつもそれだけは注意していたのだが」
「エリは誰の子だと思っていたのですか?」
「君と私の五分五分だと思っていたようだ。それはその頃本気で君と暮らすことを考えていたようだ。私は大賛成だった」
「なぜエリは私を騙したのですか?」
「やも得ない選択だった」
「選択?」
「ライブの会長からの依頼だった。もし聞き入れないなら吉井組とのパイプもと言われていた。私の組も私が組長となって手を広げたので資金不足だった」
「その依頼とは?」
「君の自殺だった」
「自殺!?」
「だがエリは君を殺さなかった」











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  1. 2017/01/24(火) 06:52:06|
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邂逅2

 吉井組長からの呼び出しだ。9時に横浜のクラブに行く。教えられていたのか岬が入口の待っている。
「気を付けてね」
 小声で耳元で囁く。初めて通る従業員専用の細い通路を通る。その一番奥にドアがある。ドアを開けるとボックス席に吉井組長が一人ウイスキーを飲んでいる。
「悪いな呼び出して」
 ボーイが入ってきて私のボトルを置く。
「君が一番エリに近い。だから話を聞いてほしいのだ」
「いえ、私は騙された一人ですよ」
「それは違う。恐らくエリは君と結婚する気でいた」
「私は実感がないです」
「だろうな。エリと私は君が調べたように実の兄妹だ。母は私たち兄妹を連れて横浜に出てきた。この店の前身は料亭で先代の吉井組の奥さんが経営していた。母はそこの女中として3年働いていて組長の女になっていた。私とエリは12歳も離れた兄妹でその頃私は手の付けられない不良で組長の運転手として組に拾われていた。西崎と知り合ったのもその頃だ。エリがまだ12歳の時に私が妹を強姦した」
 組長は自分で水割りを作る。
「エリの道はここから狂ってしまった。この日からエリは自分から求めてくるようになった。それでエリは15歳の時に私の恋人を暴走族仲間を使って撥ねて殺した。その時から私は恐ろしくなってエリから離れるようになった」
 やはり以前にも殺人をしていたのだ。
「だが狂ったように纏わりついてくる。それで西崎を使って強姦した」
 それが西崎の中にあるエリの全裸の写真だろう。
「それが逆効果だった。エリはその後戸籍から抜けて結婚を迫った」
 神部の調査通りだ。
「その頃から西崎を顎で使うようになりライブの会長と知り合うようになった。ライブの会長はエリに興味を持って何度か抱いたようだ。だがエリは会長を利用しようとした。それを私の餌にしようとした。私の組は武闘派だったが逮捕に続く逮捕で組は弱っていた」








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  1. 2017/01/23(月) 06:24:41|
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邂逅1

 ヒロとアゲに送られてマンションを出る。冬の太陽でも黄色く感じる。ヒロが慣れない手でワイシャツのアイロンをかけて、アゲが買ってきたネクタイを締めてくれる。今日から古巣に戻る。ビルに入るとエレベターに乗るが顔見知りはいない。最上階が社長室だ。一緒にエレベターにいる制服の秘書が不審そうに見る。
 受付を抜けてそのまま社長室のドアを開く。
「どこの会社の方ですか?」
 背中に厳しい声が聞こえる。
「いや来たか!」
と社長が握手を求めてくる。
「彼は上場チームの新しい室長の兵頭君だよ」
 私はすっかり名前すら忘れられている。
「遅いよ!」
 水野がもう座ってコヒーを飲んでいる。彼女は係長だ。
「畠山は?」
「タイで殺されたようです」
「やはりエリか?」
「ええ」
「ライブの元会長はどうなる?」
「逮捕は時間の問題でしょう。そういう意味ではライブグループをどう扱っていくが当社の問題になると思いますよ」
 ライブを含めてグループの主幹事はここだ。
「上場チームは全員で8名、二人がリーダーになる。今までの専務の時の課長と古株4名は部署を変えた。ただ今までの調査は部下を入れずに二人でやってくれ」
 社長室から階段を1階降りて懐かしい上場チームの部屋だ。
「さっきからフマホが光っているわよ」









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  1. 2017/01/22(日) 06:58:39|
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踏み込む10

『ママの赤ちゃんが死んだ!』
 エリの子供が死んだとヒロのメールを受けて日本に戻った足で小さな葬式に出た。エリは父親の存在を明らかにしないうちに子供は息を引き取った。チェリーが受付をしていて私の顔を見つけたようだ。私は会場に入って焼香の順番を並ぶ。奥の席には吉井組長がいて西崎と何やら話し込んでいる。その横にライブの元会長が座っている。ネット証券の新社長が私の焼香を待って寄ってくる。
 エリは喪服姿で俯いているが、私の顔を見つけたようだ。
「タイに行っていたようだな?ずいぶん前から子供の体調は良くなかったようだ」
 エリはタイに行っていたことは伏せているようだ。社長もエリの相手を知らないでいる。おそらく実兄妹の血の濃ゆさがよくなかったのだろう。エリの目は凍ったように吉井組長を見ている。エリの傍に行って肩を抱えているのは西崎だ。
 すると吉井組長が私の前にいつの間にか立っている。
「君は冷たい男だと思っているだろうな?」
 小声で話しかけてきて部屋の外に連れ出す。周りに組員が包囲網を作る。その向こうに刑事の岬の顔も見える。
「君は私がこの子の父親だと知ってる。だが私は組を守るためにも父親だと名乗ることはできない。だが誰かに言い訳を聞いてもらいたい」
「西崎さんでは?」
「彼はエリの味方だ。もしエリに命じられたら儂も殺すだろうな」
「まさか?」
 ヒロのメールが入る。そっとスマホを見る。
『助けに行こうか?』
「一度時間を作ってくれないか?きっと君はエリのことは一番よく知っているからな。だが儂の心に重く残っているものを聞いてくれ』
「今回のタイのことも?」
「ああ」




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  1. 2017/01/21(土) 06:52:27|
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踏み込む9

 神部が指紋と血痕の調査でタイの警察から日本に戻った。私はホテルに籠って畠山のUSBをビールを飲みながら見ている。畠山はライブの会長に言われてエリの犯行を収める盗撮器を付けたはずだし外しにも行ったはずだ。
『神部、例の秘書の自殺があったホテルの廊下の防犯カメラを前後1週間もう一度見てくれないか?』
 畠山の動画はエリが秘書の部屋を訪ねてきたときから始まっている。秘書は笑顔で迎えているのは面識がありライブの会長の代理できたと思っているのだ。エリは手に提げてきた袋からワインを取り出す。秘書は部屋の中からグラスを出して来る。核心のシーンは秘書が席をはずした時にエリがポケットから薬を出してグラスに入れている。秘書がグラスを空けるのをエリは確認している。それから慌てるように部屋を出ている。
『画像は確認したが畠山は前日にスーツ姿で秘書を訪問していた。約2時間して出てきたのだが、何か打ち合わせしていたようでドアが開いたときには秘書も顔を出している。秘書の自殺後5日後畠山のような作業服を着た男が部屋に入っている。ホテルに聞いたが事件があってまだ客室としては使用したことがないのだと言っている。作業者を入れた記録もないそうだ』
 やはりこの画像は畠山が撮ったものだ。それを会長とエリを脅すのに使ったのだ。
『まだ帰ってこれないの?』
 ヒロが珍しくお尻の穴を拡げた画像を送ってくる。欲求不満なのだろう。
『アゲとよろしくやっているのだろう?』
『3人でやらなければ面白くない。だって2人は雄介を愛してるのだもの。2人てやっていたらこれはオナーニーみたいなものよ。それと昨夜ママが『梨花』に顔を出したよ。ずいぶんやつれた感じだったわ』
 やはりマカオからすぐに戻ったようだ。
『明日の晩には戻る。和えも呼んでマンションに泊まるか?』
と打ちながらやはりヒロとアゲを抱きたいと思っている自分を知った。もうどこにもエリは私の中にはいない。







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  1. 2017/01/20(金) 06:55:58|
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踏み込む8

 神部は朽谷とともに警察に出かけている。私は何だか頭がすっきりしなくて畠山と会った日のことを繰り返し思い出す。確かに畠山はエリを脅していた。それだけの証拠となるものを持っていた。それは秘書を毒殺した部屋の画像のはずだ。それを交渉のためにエリにも見せただろう。エリはそれを押さえたがコピーであると疑っただろう。だが焦っていた。
 彼の得意なUSBがきっとあるはずだ。
『畠山のタイで動いた範囲をもう一度確認してくれ』
 アゲにメールを打って屋台で3本目のビールを飲む。
『エリに誘い出されるまでに畠山が動いたところは部屋の他は屋台街とそれと娼婦街だけよ』
 そうだ。隣同士の部屋で彼に会った。彼奴は女には目がない。何かを託すのは女だ。慌てて娼婦屋に駆け込む。
「彼は?」
「預かっているものをもらいに来た」
「何も預かってないわ」
 たどたどしい日本語で答える。もう服を脱いで裸になっている。天井を見ていると丁寧に舐めてくれている。
「この指人形は?」
「これはあるお客さんから預かっているもの。アナル栓に使うものよ。これを自分のに入れてくれという変な人」
「畠山?」
「そんな名だったかしら。そう言えば一緒にプレイした人ね?」
「もらえる?」
「いいよ。もう10日も来ていないものね」
 私は指人形を取り上げてお尻を見る。やはりUSBが埋め込んである。すでに私のものは彼女に中に入っている。私は無意識に指人人形を彼女のアナルに入れる。畠山の供養か。





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  1. 2017/01/19(木) 06:46:41|
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踏み込む7

 神部とアゲの言うパッタヤーのリゾートホテル街を探し回るが手がかりはない。丸一日が経つが2人の姿かたちが全く見えない。
『今朝からエリの位置情報が動いたよ。海を走っているよ』
 神部は地図を開く。
「マカオに」
『一番南寄りの桟橋の前のホテルに来てください』
 朽谷からだ。神部が車を走らせて10分ほどで着く。ホテルの前に若い女性が手を振っている。ホテルの中の一室に入ると朽谷が白い手袋をはめて頭を下げる。
「ここの従業員に写真を見せたがここに4人が泊まったと言っています。一人は畠山に間違いない。女性はエリです。2人の男はやくざだろうと思います。部屋に入ってから従業員を一切中に入れなかったと言います」
 神部が部屋の中を調べまわってゴミ箱までひっくり返している。
「ベットの下に血の拭き取った跡がありますよ。指紋や血も採取しておきます」
「恐らく拷問をしたように思えます」
と朽谷が説明する。
「朝は?」
「従業員は3人と大きな鞄を見ています」
「すでに死体に?」
「かもしれません」
 エリは求めることが得ることができて畠山を殺したのか?
「今からマカオには?」
「恐らくすぐに日本に戻るでしょう」
「警察には?」
「こちらで済ませています。そろそろ現場から去られた方がいいと思いますよ」








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  1. 2017/01/18(水) 06:43:20|
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踏み込む6

『Nの社長就任の話が畠山に出ていますが?』
 早見社長にメールを入れたが即座に返事が来た。
『それは真っ赤な嘘。すでにNは存在しない。別会社に機能が移されているの』
 やはりエリは畠山に嘘をついたのだ。
『夜のうちに畠山が消えた!今畠山の部屋に入ったが鞄も何もなくなっている。2人いたやくざもいない』
『盗聴器は?』
『そのままです』
『朽谷さん、畠山がいなくなったのです。エリを調べてもらえますか?』
 慌ててアゲを呼び出す。
『畠山とエリの位置を調べてくれ!』
 私はイライラしてスマホを見詰める。
『畠山とエリは昨夜は重なって移動していたよ。それが今日は畠山が消えている』
『消えている?』
『電源が切られたの』
 エリが連れ出してスマホも取り上げたそういうことか。
『今エリのホテルに来ていますが、昨日で引き揚げたようです。今部下に他のホテルと空港を調べさせています』
 殺される!その言葉が脳裏に浮かんだ。なぜ君はそこまでするのか。
『エリはリゾートホテル地域にいるわ。神部社長が待ってほしいって。それと昨日ヒロのホテルに泊まったよ』










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  1. 2017/01/17(火) 06:22:31|
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踏み込む5

『ネット証券に検察が入ったわ。渡辺元会長は拘留期間が伸ばされた。いつ帰ってくるの?』
 水野からのメールだ。そのまま専務、いやネット証券の新社長にメールを打つ。
『検察が入ったようですね?』
『情報が早いな。こちらは積極的に株価操作は提出すると決めている。だが畠山が渡辺会長から指示を受けたと言う証拠はどこにもない。検察はそこを困っているようだな』
 今日は神部が泊まっている畠山の隣のホテルに行く。
「いや大変ですよ。24時間監視のようですからね」
と言いながらコーヒーを進める。髭も伸び放題でカップラーメンの空き箱が散らばっている。
「変化はある?」
「どうも監視役の2人が日本から来たやくざに変わったようです。それで部屋も自由に出れなくなったようです。女はすべてこの部屋を訪ねてきています」
「食事も?」
「今日からは食事もホテルから運ばれていますよ」
「エリの意志ですか?」
「のようです」
「あれからエリは来た?」
「スマホではやり取りしています。その話ではNの社長を認めると言う話が出ています。だが畠山は慎重で西崎と話がしたいと言い出しています」






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  1. 2017/01/16(月) 06:57:42|
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踏み込む4

 ソイの裏通りを抜けて怪しげな洋館に入る。畠山からの呼び出しがあったのだ。サングラスに帽子を被っている。娼婦屋だ。教えられた名前を出すと2階の部屋に案内される。部屋からタイの女が手招きをする。女は私の手を引っ張ると壁にあるノブを押す。
「少し待ってくれ」
 畠山が全裸で女の上で腰を振っている。私の相手の女は4Pと思っているのか私のものを咥えている。
「エリと会ったな?」
「よく分かっているな」
「殺されるぞ」
「あり得るな。あいつは怖い。だが決着をつけないと日本には戻れない」
「エリの映像を持っているのだろう?」
「持っている。会長の殺害指示の証拠もある」
「なぜエリと組んだ?」
「お前が羨ましかった。それでエリを襲ったのが間違いだった。エリはその映像を撮っていて脅してきた。それでエリに力を貸してきた。そこから逃れようとライブの会長と組んだ。だがますます深みに入った」
「エリとライブの会長は一体なのか?」
「違う」
「エリは吉井組長を引き留めるために動いている」
「引き留める?」
「そうだ。吉井組長はエリから離れようとしている。彼が西崎にエリを強姦させた話は聞いたか?」
「ああ」
「次に俺が消えたらこの女スダポーンを訪ねてくるのだ」
 裸の女が私の顔を見ている。








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  1. 2017/01/15(日) 07:07:17|
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踏み込む3

『今エリが畠山のホテルに入りました。盗聴器を同時に聞こえるようにしています』
 神部からだ。
『私を脅せるようになったとは立派ね』
 エリの声だ。
『渡辺会長は検察に呼ばれているがこのままでは危ないのでは?』
『それで君の要求は?』
『今抱かれること。それから軟禁を解くこと。Nの社長につかせること』
 Nはまだエリの影響力はあるのか?
『要求が多いのね?まず抱かれてあげるわ』
『子供を産んでも体の線は変わらないのだな?子供は兵頭のか?』
『あなたのかもね?』
『それはない。いつも避妊薬を飲んでいた』
 双方の喘ぎ声が20分ほど続く。
『交渉をするなら証拠を見せてからよ』
『分かった見せるがこれはコピーだからな』
 やはり畠山は証拠を持っている。
『なぜこんな映像が撮れた?』
 エリも意外なようだ。
『ライブの会長が殺しを初めにこちらにしてきたのだ。さすがに殺しはしないと断った。そしたら殺しの現場を撮れと言った。秘書のホテルの手配と盗撮器を付けた。殺しに来たのがエリと見て吃驚したよ』
『会長が二股をかけてたわけね?』
『凄い手際だった。今までにも?』
『彼で3人目だから。分かった段取りをするから時間をちょうだい』
 エリは殺すことを決意したようだ。時間はあまりない。







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  1. 2017/01/14(土) 07:01:04|
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踏み込む2

 ホテルのレストランで朽谷とコーヒーを飲む。
「畠山から交渉条件が出ていますね?」
「ええ、ライブの元会長の株価操作の指示と秘書の他殺の指示を証明するものの証拠を持っていると言ってます」
「これに対して要求は?」
「Nの社長に復帰です。彼はここに莫大な資金を生み出す源があると知っています」
「だがNはもう解体されて西崎に売り渡された」
「そうです。でも畠山は知らない」
「それで社長と今も話し合っていますがまだ結論は出ていないのです」
「今2人の男がボデイガードについていますが?やはり吉井組長の?」
「ええ、経済派のやくざが付いています。でも今回の2人は組にも属さない裏の男たちです」
『ライブの株は売り買いを繰り返していましたが、今は3割ダウンで外資系投資会社の持ち株はゼロになりました。昨日から新しい職場に出ています。室長の荷物も運びこみましたよ』
 水野からのメールだ。
「今から?」
 立ち上がった朽谷に声をかける。
「屋台村で畠山と顔を合わせます。もちろん同席はせずメールでやり取りをします」
「条件は決まったのですか?」
「いえ、来ていると言うことからですね」
 朽谷を3人の若い現地の男が迎えに来ている。畠山はやはり2社を天秤にかけている。私からは何も要求する気がないのか?
『エリと畠山の位置情報が重なったよ』
 アゲからだ。








テーマ : ミステリ    ジャンル : 小説・文学
  1. 2017/01/13(金) 06:55:29|
  2. ミステリー
  3. | comment 0

踏み込む1

 ソイの裏路地を抜けて屋台村の一つに座ってビールを飲んでいる。昨夜遅くタイに着いて朽谷は朝からライブの現地法人に出かけている。私は日本の新聞をホテルで買って広げている。昨日の朝刊だ。私は万が一を考えてサングラスに帽子を被っている。ここは畠山が自分が食事に来るところだと言っている場所だ。
 ライブの元会長が検察に呼ばれたと言う記事が1面の片端に出ている。これについては岬からメールをもらっている。
『明日には検察が渡辺元会長を呼ぶわ。株の不正操作が焦点なんだけど、問題は会長の指示を証明できるかなんだけど、操作した本人の畠山がキーマンだけどまだ生きているのか死んでいるのかすら掴めていない』
 岬にも検察にも畠山がタイにいることを知らせていない。それに秘書の自殺が他殺で実行犯がエリで指示を会長がしたという事実も掴んでいない。ここについては私もまだ事実の解明に至っていない。
 すでに屋台に座って2時間が経っている。畠山には明日ここに来ると言っておいた。テーブルにはもうビールが5本ならんでいる。あの会いたいと言うメールは信じられないのか。
『今ホテルを出ましたよ。5分ほどで着きますが、2人の男が付いているので会うことはやめた方がいいです』
 すでに張り付いている神部からだ。
 畠山が屋台村に入ってきた。ちょうど私の視野の片隅に座る。2人の男は隣のテーブルに座る。彼の目が私を見たようだ。同じ朝刊を拡げている。男の一人が料理とビールを運んでくる。
『エリがタイに来たが会ったか?』
『会ってはいないが話し合いをしている。だが条件がまだ合わない』
『ライブの早見社長とも交渉をしているが?』
『ああ、両天秤だ。命がかかっている』
『なぜ私を呼んだ?』
『真実を伝えたい』




テーマ : ミステリ    ジャンル : 小説・文学
  1. 2017/01/12(木) 07:03:50|
  2. 未分類
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分裂12

 朝早見社長から連絡がありこちらに片腕の朽谷が来ると言うことだ。朽谷は約束の15分前に来た。今日は水野は転職先の証券会社に出かけている。私は彼を案内してコーヒーを入れる。
「お一人ですか?」
「ええ、もう役立たずの課なので店仕舞いですよ」
「古巣に戻られるのですね?私は社長に質問に何でも答えるように言われてきています」
「Nは今後どうなるのですか?」
「ライブとはもう切り離しました。すべては今後西崎が束ねて吉井組長と組みます。ライブの縁はもう切れました」
「畠山がタイにいると言うことですが?」
「そのことですが彼は社長と交渉をしてきています」
「それは?」
「彼はNの内部資料をもってライブの会長を脅していたのです。だがエリにタイに軟禁されていたのです」
 やはりエリだったのか。
「社長はNについてはあまり興味がないのです。だが彼が示したある資料のためにタイに行くことにしました」
「ある資料?」
「秘書の自殺に関することだと言ってます」
 畠山はどこまで関与していたのだろうか。
「これは社長から聞いたのですが、どうも会長がエリに頼んだと言ってるのです。それから会長は以前よりまして貪欲な拡大をし始めました」
「エリに脅されていた?」
「のようです」
 私はエリが自殺した秘書の部屋から出てきてホテルの廊下を歩いている監視カメラの画像を手に入れている。だが畠山の姿は映っていない。どこに彼は係わっていたのだ。









テーマ : ミステリ    ジャンル : 小説・文学
  1. 2017/01/10(火) 06:46:28|
  2. ミステリー
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分裂11

 週末ライブの株価がぐっと上がった。女記者にはこの情報を流していて同日テレビ局の株をライブが手放したという記事が出た。だが後場からその株価が下がり始めた。
「売り筋は?」
「外資系投資会社がライブの株を手放し始めたの」
「想定通りだな」
 外資系は先行きが見えなくなると冷たい。
「話してくれた?」
「ああ、上場チームのOKを取った。来年からと考えてくれればいい」
 専務はもうネット証券に実質に移っている。
『ようやく畠山の潜伏先を見つけました。ソイという街のホテルにいます。やくざの男が2人付いていて軟禁状態だろうと。毎日若い女が訪ねてきます。食事には外に出るのでその間に部屋に盗聴器をセットしています。エリとの接触はまだありません。手持ち資金は結構あるようです』
 神部のメールに食事をしている畠山の写真が付いている。無精髭を生やしているが畠山だ。
『エリはホテルに入ったまま動いていません。ただ2人のやくざが動き回っているようです』
 畠山は私が課長になる前からエリの手下として働いていたのは意外だった。私は彼を同僚と思っていた。畠山はどこまでエリの事件に絡んでいるのか。
 水野はもう段ボール箱を用意して転職の準備に入っている。
「向こうでもこの調査は続けるの?」
「裏稼業で了解をもらっている。だがスタッフは君だけだ」
『タイで会いたいが?』
 畠山からのメールだ。敵対してから初めてのメールだ。






テーマ : ミステリ    ジャンル : 小説・文学
  1. 2017/01/09(月) 06:13:41|
  2. ミステリー
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分裂10

 社長室にはテレビ局社長が1時間前に入っている。そこに早見社長が一人で登場する。私はその円卓の入口側に座る。水野が用意したコーヒーを並べて部屋を出ていく。
「新生ライブは敵対的株の買い占めは今後行いません。本来のIT事業に絞り込んで再生を考えています」
と早見社長は私にメモを渡し私が社長に渡す。社長はテレビ局の社長に見せてひそひそと話している。
「思い切った提示だね?」
「今渡辺元会長が外資系投資会社を使ってライブの会社の株を買い進んでいます。この資金がなければまたライブは渡辺のものになります」
「それは困るな」
 社長が私にメモ用紙を渡す。時価の7割での引き取りで提示されている。
「どうだ?」
「撤退後の株価ですのでリスクはありません。それに株式がこれ以上買いこまれれば取締役会の決議は覆されて、次にはテレビ局の株を買い増すことが考えられます」
 私はスマホでライブの株のチャートを見ながら答える。
「条件は?」
「来週の頭には資金が必要なのです」
 社長がテレビ局の社長に囁いて頷いている。
「早い方がいいでしょう。今週末の朝に入れましょう」
 早見社長は頭を下げて部屋を出る。私は彼女をエレベーターまで送る。
「大きな借りね。今度はあなたに力を貸すわ」
 彼女の姿が消えると、先ほど入ってきたメールを見る。
『エリが吉井組長の部下を連れてタイに向かいました。私も同じ便で飛行機に乗っています。アゲの情報では畠山は同じ位置にいるとのことです』
 神部からだ。









テーマ : ミステリ    ジャンル : 小説・文学
  1. 2017/01/08(日) 06:51:53|
  2. ミステリー
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分裂9

 専務から呼び出しを受けて『梨花』に行く。専務とは話がある。本当にネット証券に行くのだろうか。
「いや悪いね。社長から聞いてくれただろう。君は保留しているらしいが?」
 チェリーが早くも見つけてこちらのボックスに座る。ますます女らしくなっている。
「2人にしてくれ」
「いいじゃないか」
 専務はチェリーを抱き寄せて彼女も嬉しそうに悲鳴を上げている。
「今度ネット証券の初仕事は渡辺会長と組んでいる外資系投資会社の株の買占めだ」
「知っておられたのですね?」
「早見社長もすでに読み込み済みだ。それでテレビ局と早急に和解したい。だが正面から話し合っていると間に合わない」
「テレビ局の株を手放してライブの株を買うのですね?」
 市場では株数が多くて売れない。
「ああ、その話を即決できるのは君のところの社長だ。今は何とかNの資金で応戦しているがもう限界だ」
「専務はどこまでライブに首を突っ込んでいるのですか?」
「早見社長には借りがある。もし逃がしてくれなかったら死んだ秘書は私だった。それで知りえたことを漏らさないと言う条件でここにいる」
「いつまでに社長同士をセットに?」
「来週までに」
『社長明日時間を都合できますか?早見社長とテレビ局の株の処理で会ってもらえますか?』
 社長のスマホに直接繋げれる。こちらも最後の仕事か。
「もう一つ聞いてもいいですか?畠山は私の事件にどこまで関与していたのですか?」
「エリが取り込んだ。元々調査部の内偵のためだ。君が課長になる前からだ」
「そんな前からですか?」
「得意の女を武器にした。彼奴は欲の深い女だよ」
『よし明日9時に社長室に案内してくれ』
 社長からのメールを専務に見せた。











テーマ : ミステリ    ジャンル : 小説・文学
  1. 2017/01/07(土) 07:01:23|
  2. ミステリー
  3. | comment 0

分裂8

「目が死んでいるよ」
 水野の声が耳元でする。
「ああ、妹と喧嘩してな。彼氏の悪い影響を受けているんだ」
「一度会いたいな」
「強烈な奴だからやめとけ。それより私がいなくなったらどうする?」
 入れてくれたコーヒーを手にする。
「社長から具体的に話があったの?」
「いやそうじゃないがこの調査2課の役割は終わったように思う」
「そういう空気が流れてるものね」
「前の会社の社長から誘われているのだ。水野はどうする?」
「私も連れてって」
 スマホが光って早見とある。畠山のことでメールを送っていたのだ。
『畠山がタイにいたとはねえ。畠山は会長がNの社長に就任させた後急に消えたの。会長も理由があったわけではないから不思議がっていた』
『誰が?』
『エリさんからの申し出だったと思うわ』
『畠山をそちらの会社に紹介したのは?』
『エリさんですよ。前の会社の同僚だと言って』
 畠山はエリの弱みを握っていたのか?
『アゲ!畠山に接触してくれ』
『何を調べるの?』
『スマホの中に入ってくれ』









テーマ : ミステリ    ジャンル : 小説・文学
  1. 2017/01/06(金) 06:59:58|
  2. ミステリー
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分裂7

 アゲがホテルに入るとマスクを外した。ヒロは風呂に入ろうと湯を入れている。これでは姉妹ちゃんぽんだ。アゲはもう裸になって私の服を脱がせている。
「3人でやりたい」
「目が見れないのじゃないのか?」
「不思議にこの二人は別なの」
「中でビール飲まない?」
 ヒロが素裸になってシャワールームから出てくる。こいつらはエロの塊だ。
「凄い!ヒロの反り立っている」
 アゲがくっつくように見ている。
「舐めてみてもいい?」
「いいよ」
「アゲのを兄さんに広げて見せてあげてよ」
とヒロがお尻を持ち上げて股を広げる。
「私アゲの写真見て燃えたよ」
「うれしい!」
「兄さんも立派に立ってるよ。そのまま入れてあげて」
 これはいけない。ほとんど中毒になりそうだ。ヒロはいつの間にかアクロバットのように床に寝たままアゲを持ち上げている。私のものはすっかりアゲの膣の中に入っている。
「アゲ後ろに入れたげる」
 これは2つ穴だ。
「気が狂いそう!」
「アゲ外の世界は楽しいよ。早く出て来いよ」
 ヒロはアゲを妹のように可愛がっている。
「3人で暮らさない?」







テーマ : ミステリ    ジャンル : 小説・文学
  1. 2017/01/05(木) 07:04:14|
  2. ミステリー
  3. | comment 0

分裂6

「あれ!雄介も一緒?」
 チェリーが迎えに出てくる。
「アゲと出来たのか?」
 耳元で囁く。アゲがやはりマスクをして緊張状態だ。チェリーも口座を持ったようでサブを入れている。エリが珍しく早く出てきているようでチェリーのボックスに座る。
「この子は?」
「兵頭さんの妹さんです」
 チェリーが顔色も変えずに答える。アゲが嬉しそうに目が笑っている。
「年が離れているのね、初めて会ったわ。ところで西崎に会ったのね?」
「ああ」
「どこまでも復讐をする気?」
「いや、復讐ではなく真相を明らかにしたい」
「一度時間を作ってください。別のところで話がしたい」
 チェリーの目が光っている。アゲは拳を握り締めている。
「やはり会長と組むのか?」
「あの人もダメな人よ。身内に裏切られるのだから」
 どうもエリが会長を支配しているのかもしれない。
「君はそこまで貪欲な女だったのか?」
「そういう女になったのよ」
と言うなりボックスを離れた。
「私今の人怖い!」
 アゲがチェリーに抱き付く。
「ショーに出たら一緒に出ましょう」







テーマ : ミステリ    ジャンル : 小説・文学
  1. 2017/01/04(水) 07:04:21|
  2. ミステリー
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分裂5

『畠山が生きているよ!』
 アゲからメールが入った。今日は久しぶりに古巣の証券会社の社長室にいる。社長は息子の後再び返り咲いたのだ。もうすっかり現役の顔になっている。
「どうだ一段落が済んだと聞いているが?」
「社長はそう考えていますがまだこれからです」
「とは言っても?」
「存在価値が薄れてきてますね。今までのようには金を使えないですからね」
「それで相談だが戻ってこないか?上場チームの室長をお願いしたいのだよ」
「専務がおられるでしょう?」
「いや、実は辞表預かっている。早見社長との話でネット証券の社長に就任する」
 やはり専務は早見社長と繋がっていた。
「これは君ところの社長とも話したが、例のライブの売買益2億を裏金として君に進呈するそうだ」
「しばらく考えさせてください」
 社長は立ち上がると上場チームの極秘ファイルを渡す。
『私が撒き続けていた裸付のメールに畠山が食いついたの。今タイにいる』
 畠山が生きていた。極秘ファイルを鞄に入れて外に出る。夕暮れている街はなんだか物悲しい。
『帰りに食事しないか?』
『ヒロに店に呼ばれているの。一緒に行かない?』
『ああ、迎えに行く』
 だが心の片隅で不安な気が起こる。









テーマ : ミステリ    ジャンル : 小説・文学
  1. 2017/01/03(火) 07:16:55|
  2. ミステリー
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分裂4

 新生ライブはまだまだ先は多難だ。ライブの渡辺元会長が自らの退任を含めて取締役会決議無効訴訟を起こした。合わせ反落していた株価がじりじりと上がってきている。
「水野ライブの購入先を調べてくれ」
と言うと早めに会社を出る。早見社長から西崎に会ってほしいと依頼を受けたのだ。西崎はNも含めてキーマンの一人だ。この騒動の中で彼の名は上がっていない。Nは朽谷が兼務している。彼はライブのどこにも席がない。
 9時に横浜のクラブに入る。聞いていたのか岬が相変わらずエロいドレスでエスコートしてくれる。ボックスにはまだ西崎は来ていない。カウンターに吉井組長と西崎が並んでいる。組長の目がこちらを見る。ゆっくりと西崎が立ち上がる。
「岬の彼氏なんだな」
 抱いたことあるよと言う顔をしている。
「早見社長から協力関係をと言われているが、知ってのとおり前科があり裏の人間に徹している。Nを中心に整理を言われている。今の状態ではNを中心に警察の餌食になる」
「旧ライブのNは攻撃対象だったが、私の興味はもう薄れている。おそらくNは朽谷さんがかなり大胆な整理をしたようですね」
「もうすぐ手放すことになる。それでNごと離れることになる」
「吉井組長の元に入る?」
「そうなるな」
 岬はカウンターの組長の横に座っている。
「エリはどいう立場になります?」
「心は吉井組長にあるが欲望はライブの会長の渡辺にある。難しい女だ」
「会長はNを手ばなさないのでは?」
「そうだ。でも現場は知らないさ。お金のパイプが止まった。だが戦争だな」
 岬がコートを着て現れて会談は終了だ。岬は早足でホテルに入るとコートを脱ぐと素裸でお尻を突き出す。穴に押し込むとぬるりと入る。
「バイブで練習してきた」
 何という女刑事だ。







テーマ : ミステリ    ジャンル : 小説・文学
  1. 2017/01/02(月) 06:58:45|
  2. ミステリー
  3. | comment 0

分裂3

 神部の事務所に朝から呼ばれた。ドアを押すと神部が包帯を巻いて座っている。マスクをかけたアゲがコーヒーを入れてくれる。目が緊張している。やはりまだ人と顔を合わせるのは厳しいようだ。抱かれるときのあのようなとろんとした目ではない。それでもパテントの中に入らず私の横に座る。
「どうしたんだ?」
「張り込みをしてたのですが、後ろから殴られてカメラは壊されるし、二人のところを収めていたんですがね。どうもやくざがエリのボディガードをしていたようです」
「吉井組長が出したのだろうな」
「二人は消えたのです」
「会長は東京の虎の門に。エリは横浜に別々に戻っているわ」
 アゲが説明する。
「それで社員をそこに向かわせています」
 スマホが鳴って神部が頷いている。
「エリは吉井組の事務所にいるそうです」
「いよいよ兄の吉井組長の登場だな。会長はどこに行ったのかな?」
『会長が虎の門にいると言う情報がありますが心当たりは?』
「別の調査会社を使って?」
「いや会長の奥さんだった早見社長です。彼女とはギブ&テイクの関係を結んだ」
『虎の門と言えば外資系の投資会社ですね。詳しい資料は添付するわ』
「この会社を調べて」
 神部が虎の門にいる社員にスマホを打っている。
『ヒロはチェリーとして『梨花』のホステスしてるの?』
 隣に座っているアゲがメールしている。
『どうしてわかった?』
『ヒロがランチを奢ってくれた』
『まさか!?』
『ヒロは私が目を見れる2人目』






テーマ : ミステリ    ジャンル : 小説・文学
  1. 2017/01/01(日) 06:52:42|
  2. ミステリー
  3. | comment 0

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プロフィール

yumebito86866

Author:yumebito86866
夢人です。これは『空白』に繋がる作品ですが、これは段ボール箱の住人ではありません。今回書下ろしで書き始めました。ここに登場する人物はみなどこかで触れあった人物ばかりです。そして知った事実がこの小説を書かせました。

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