迷い道

結婚相手から罠をかけられた。奈落に落ちてヒロにあった。ヒロは見違えるようないい女になっていた。再び舞台に戻り捨てられた謎に迫る。


野望5

「どうするの?」
 水野が机を叩いて言う。
「このままではエヌは上場してしまうわよ」
 顧問はほとんど自分の息子の証券会社に行ったきりだ。ライブから来た役員は副社長の席に座っている。今社長の退任の話が進んでいる。
「ライブの会長を攻める手立てが見つからない。今なら専務を切り捨てて逃げてしまうな」
 顧問が大きな鞄を抱えて部屋に入って来る。かなり疲れ切った顔をしている。椅子に座ると大きなため息が漏れる。彼女はお茶を入れて戻ってくる。
「メインバンクも社長の退任を要求している」
「これは嫌だろうと思いますが専務と一度手を握るというのは?」
「どうしてだ?」
「実はライブの会長の攻撃を止める手が今はないのです。だが専務は唯一ライブの会長の弱点です」
 私は会長と専務の構図を描いてみせる。
「例のエヌの社長の写真を見せたのか?」
「ええ、かなり考えてます」
「でもエヌの社長は否定します」
 水野がまだ話ができていないという。
「今度エヌの社長との席をセットできるか?」
「それは頑張ります」
「かなり綱渡りだが、今の状態よりいいかもしれんな。一度私を入れて専務と会う段取りができませんか?」
「よし腹をくくる」













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テーマ : ミステリ    ジャンル : 小説・文学
  1. 2017/04/30(日) 06:48:21|
  2. ミステリー
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野望4

 神部からエリの履歴調査報告が送られてきた。
『エリは元ライブの会長が通っていた銀座のクラブのホステスでした。それを強引に秘書として会社に迎えています。奥さんは元々ライブ設立のメンバーだったようです。それで仕方なく専務に押し付けた。専務は会長の経営塾のメンバーでわざと今の証券会社に送り込んだようです』
 これを読んで思い切って今の状況を打破するために『梨花』に来た。チェリーが専務を呼んで合わせてくれる手筈になっている。今の顧問の状況では最悪の結果になりそうだ。
「久しぶりです」
 私は席を立ってチェリーの合図で専務のボックスに行く。
「まだ生きていたのか?」
「ええあまりにもあのままでは情けないですからね」
「こそこそと動いているらしいな?」
「ライブの会長は手を汚さずあなた達だけが追いつめられます。あの秘書のように」
「あれは自殺だ」
「エリがホテルを訪ねてますね?」
 専務はどうも係わっていないようだ。チェリーが私のグラスに水割りを作る。
「エリは元ライブの会長の秘書で会長の女だった」
「調べたか?」
「これを見てください」
 私はスマホを開いて画像を見せる。エヌの社長の全裸の写真だ。
「これを撮ったのは専務ですね?」
「あの週刊誌の記事はお前が書いていたのか?」
「専務は捨てられるな。一度頭を冷やして考えるのだな。社長がライブから送られてきてこの写真が出ると解雇だな?」
 沈黙があって専務は立ち上がり出て行く。チェリーの目は笑っている。








テーマ : ミステリ    ジャンル : 小説・文学
  1. 2017/04/29(土) 06:44:27|
  2. ミステリー
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野望3

「お昼ランチしない?」
 ヒロがテーブルにメモを残していった。
 わざわざ私の会社の近くまで来てランチをとる。チェリーは仕事着に着替えている。
「今日は早いな?」
「ショーに出ることになったので2時から練習なの。昨日専務が来て私を指名して酔っぱらったのよ」
「人気だな」
「どうしてか気に入られているの」
 専務はニューハーフを気に入っている。
「専務はママは自分の女ではないと言っていました」
「どうして?」
「専務の言うにはエリは元々ライブの秘書だったというの。それが奥さんに見つかって専務が秘書で引き取った。専務はエリには興味がないの。それで会長の目が煩わしくて雄介に譲ったって」
 そうかエリは会長の女だったわけだ。ということは私を罠にかけた指示は会長から出ていたようだ。
「どうも会長と専務はあまりいい関係ではなさそうよ」
「それは?」
「これは専務の愚痴でだけど、今度の証券会社の社長の交代に専務は社長を希望しているけど、ライブの会長はライブから社長を送ると言ってるそうよ」
「そんな話があるのか?」
 これは専務もねらい目だな。ヒロは時計を見て慌てて出ていく。
「課長可愛い人ですね?」
 後ろに水野が立って笑っている。
「いや一緒に住んでいる妹だよ」
「ずいぶん若いですね」





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  1. 2017/04/28(金) 06:44:16|
  2. ミステリー
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野望2

 ライブの会長はテレビ局と証券会社に役員の派遣を申し入れた。持ち株比率から可能なのだ。エヌの未公開株の割り当ても強引に行った。エヌの社長も体調を回復してテレビにも顔を出すようになった。そんな時にあのサングラスの記者の記事が出た。ライブ、証券会社から当然記事の取り消しと謝罪要求が出た。
「コーヒー入れましょうか?」
 水野が運んでくる。この部屋に移って、社内の雑音から逃げれたようだ。営業部は私たちを目の敵にしている。
「どうだ?」
「ずいぶん平静になったけどまだ写真の話はできてない」
「だろうな」
「あの記事のことを聞いていた。情報源を気にしていたわ」
「一度記者と合わせてみようか?」
「それなら乗るかも」
「それからテレビ局の株の攻防を調べてくれ」
「それは顧問から言われて整理しているわ。テレビ局の自社持ち株とライブ部ループの株がほぼ拮抗しています。だけどテレビ局は持ち合い株が多くさらに買い込みが必要になります」
「やはりどうしてもエヌの上場は見過ごせないな」
「でもエヌの社長には上場してもらいたいな」
「そうだな。何かいい手がないかな」
 ドアが開いて顧問がしかめっ面で入ってくる。
「ライブの役員を受け入れることになった。息子は役員会に辞表を出している。馬鹿な奴だ」
「どうされるのですか?」
「この仕事を片付けるまでは動けん」
「早い目に畠山を攻撃しますよ」









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  1. 2017/04/27(木) 06:46:04|
  2. ミステリー
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野望1

 新しい調査2課の部屋から毎日水野はエヌの社長の自宅に日参している。なかなか心を開かないようだ。今日も彼女と別れて私はサングラスの女記者と彼女の雑誌社のビルの1階のカフェレストランで打ち合わせをする。
「前回の記事でライブから公式の取り下げの要請が来ている」
 それで実は連載2号が止まっていたのだ。それで社長から一言入れてもらった。
「それがどうしたのか連載のOKが出たのよ」
「で今回はエヌの未公開株の内容とライブの未公開の株を透かしを入れて載せてほしい」
「『梨花』のホステスの名前まで出していい?」
「もちろんだ」
 私は用意してきた資料のファイルを広げる。足を組んでいるのだが黄色いパンツが見えている。
「エヌ社長の主幹事証券の変更の謎も付け加えてほしい」
「変更の前日新しい主幹事の専務と課長がエヌの社長とライブの会長の別荘に泊まった。ここで専務と課長がエヌの社長を襲った事実があると書いてほしい」
「それは不味いのじゃない」
「これは渡せないが」
と言ってエヌの社長の全裸の写真を見せる。
「どうして撮った?」
「それは内緒だ。だがエヌの社長の了解を取るのに時間がいる」
「そこまでの証拠があるなら思い切り引っ張るわ」
 これは顧問の証券会社の乗っ取りにもストップが掛けられるだろう。記者はもう立ち上がって店を飛び出していく。
『エリが今ハワイに行ったよ。空港まで送ったのはライブの社長よ。私は初めてママのマンションに手伝いに行った。合鍵を作れるよ』
 ヒロからのメールだ。
『気をつけろ』










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  1. 2017/04/26(水) 06:21:58|
  2. ミステリー
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糸口11

「入ってくれ」
 顧問がドアを開けて呼ぶ。私と水野は手を止めてファイルを抱えて部屋に入る。顧問より少し上くらいの紳士が座っている。水野が、
「社長」
と口走る。
「今回は徹底的にライブと戦う。今ライブのようなIT企業が増えてきている。これは負けるわけにはいかん。実はテレビ局などの社長も後ろにいるのだ。だがあくまでもこのメンバーでやってもらいたいのだ」
「私の証券会社もライブの傘下になる可能性が高い」
 顧問も苦戦をしているようだ。
「これはここだけにしてください」 
 私はスマホを出してきてエヌの社長の全裸の写真を見せる。
「わ!」
「これはライブの会長の別荘で起こりました。この背中の男は畠山という男で、写真は上辻専務が撮っています。だがライブの会長は大阪にいます」
「ここまでやるか?」
「ライブの上場の時も秘書が殺されています。これも証拠を押さえています。だがやはりライブの会長にはつながっていません。ここをどうするかです。でもライブの会長はどうしようとしているのですか?」
「彼はマスコミ、証券会社、銀行などを入れたライブグループを作ろうとしている」
「だが彼にとってゲーム感覚なのだ」
 顧問が苦虫を潰した顔で言う。
「私は畠山と銀座の『梨花』のママから切り込んでいこうと思っています」
「よし、顧問と2人は明日から社長室の隣の応接を使え。ここでは情報が漏れてしまう」









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  1. 2017/04/25(火) 06:46:53|
  2. ミステリー
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糸口10

 ライブの会長の鎌倉の別荘の調査を神部に頼んだ。水野は顧問の取り計らいで私の前の席に座ることとなった。彼女にはエヌの上場スタッフとのパイプをしっかり繋いでもらっている。未公開株の作業が始まったようである。エヌの社長は体調不良ということで休んでしまった。
 近くの喫茶店に行くと神部はもう来ていてモーニングを食べている。
「昨日は若いのを連れて鎌倉に車で泊りですよ。管理人の話では会長は帰ってこなかったようです」
「エヌの社長は?」
「男性2名と女性1名が泊まられたとのことです」
「会長は帰ってくる気はなかったということか?」
「お客さんたちは遅くまで飲むということだったので、食べ物と飲み物を用意して自宅に帰ったということです。管理人が言うにはよく社員が泊まりに来ていたからそれだと思ったとのことです」
「会長も説明していないな。臭いな」
 アゲのメールが流れて来た。惜しげもなく胸を見せた写真が張り付いている。
『チェリーの写真の後に飛んでもいない写真が何枚も入っていたよ!この人テレビで見た女社長でしょう?』
 添付画像を開くとエヌの社長だ。全裸で大股開きで眠っている。もう1枚は男が膣に精液を出している。男は背中しか見えないが畠山だ。
『エヌの社長だ』
『畠山が強姦したの?』
 彼は自分のパソコンがアゲの庭になっていることを知らない。
『彼のパソコンの中にあったとしっかり記憶しておいてくれ』
 よし畠山から攻めよう。







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  1. 2017/04/24(月) 06:48:28|
  2. ミステリー
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糸口9

 主幹事証券の件でエヌは度々社内の役員会議が開かれている。思わずライブは強硬で一進一退だ。社長の使い込みが一転例の週刊誌で暴露された。ここには専務が出てきて詳細を説明している。顧問も連日株主に説明に回っている。証券調査委員会も入ることになった。
 夕方水野が珍しく血相を変えて飛び込んできた。それで空き室の顧問室に入れる。
「どうした?」
「連日役員会ではライブの息のかかった役員が主幹事を変えろと迫っていたのですが、社長がよく踏ん張っていたのです。それが今朝急に主幹事を変えると言い出したのです」
「話したか?」
「怯えているのです」
「昨夜は何があった?」
 彼女はスマホを見て、
「昨夜は副幹事の専務と連れ立ってライブに報告に行きました」
「運転手は畠山課長です。ライブの会長の別荘の鎌倉に行くと言ってました。それで結果を聞こうと夜中まで待ったいたのですが連絡がなかったのです」
「泊まった?」
「朝エヌの社長の服を見ましたが昨日と同じでした。大社長ですがまだ29歳ですから」
「発表はあった?」
「先ほど証券誌の記者に伝えていました。私上場チームから資料室に移動ですきっと」
 これは思ってもみない反撃だ。ライブの会長の別荘で何があったのか。
「ライブで親しい社員は?」
「法務課の女性ですが?」
「昨夜の会長のスケジュールを聞いてくれないか?」
 それで慌ててスマホを取る。
「講演で大阪に泊まり?!」











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  1. 2017/04/23(日) 07:06:22|
  2. ミステリー
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糸口8

 マンションの路地の奥にあるレストランに入る。私は尾行を注意してタクシーを遠回りさせた。最近は尾行はないようだ。このレストランは夜に一人でよく入っている。客のうち外人が半分だ。マスターのインド人は私の顔を覚えていて窓際に座らせてくれる。しばらく遅れてチェリーがコートの下に仕事着を着て現れる。マスターが驚いたように見ている。
「着替えて来なかったのか?」
「飛んできたもの」
 さすがの外人も驚いてみている。
「エリママのサブになったのよ。来月からハワイに子供を産みに行くそうよ。私エリママを見ていると雄介と抱き合っている姿が浮かんで、つい勃起してしまうの」
 エリの子供は専務とばかり思っていたが最近は不安だ。もし自分の子なら。
「これはライブの会長とママが小声で話していたのを聞いたけど、出産費用や旅行費用は会長が持つそうよ」
「専務は?」
「これは私の勘だけど、ママの子供は会長だという気がしている」
「専務はよく店に来ているのだろう?」
「時々ニューハーフを連れてきている。それに私をよく席に呼ぶよ」
 そう言えば時々専務に2次会の後ニューハーフの店に行った。
『エリの履歴を調べてくれ』
 神部にメールを入れる。入れ違いに顧問からメールが来た。
『会社に戻るかと思って待っていたが…明日エヌの担当部長がエヌの社長に会いに行くことになった。未公開リストは主幹事では受け入れられないという内容だ。副幹事にも同様の報告書を渡す』
「奥さんですか?」
 マスターが声をかけてくる。
「いや妹だ」
 チェリーは不満そうで睨んでいる。














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  1. 2017/04/22(土) 07:10:40|
  2. ミステリー
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糸口7

 約束のレストランに入ると窓際に水野とエヌの社長が座っている。どこなしか社長の顔色が悪い。
「ご無沙汰です」
 私は頭を下げてすでに食事が並んだテーブルに向かう。エヌの社長は待ってたようにスマホを開く。これは私が渡した畠山のパソコンの中にあった未公開株のリストだ。
「これはライブの会長から頂いた名簿なのです。全く同じなのです」
「私も調べましたが全く同じものです。兵頭さんはこれをどこから?」
「これはライブの時も同様のリストで行ったもので、今回のものは畠山課長が専務からもらったものです。専務は会長からもらったはずです。これはまだ調べきれていませんが、『梨花』のホステスですがそこからの金の流れはまだです」
「私はどうすればいいのですか?」
「エヌは立派な会社です。こんなことをせずに立派に上場できると思います。社長がライブの会長と揉めるのはよくないでしょう?これは主幹事証券の当社から異議を唱えるようにします。私が調査部課長として稟議を上げます。でもそれで副幹事証券が外れることは覚悟してください。これは上辻専務から出されたものと動くだろうと思います」
「分かりました」
 エヌの社長は理解してくれたようだ。
 さっそく顧問に報告して社長に稟議を上げてもらうことにした。どうもライブについては業界1位というこの証券会社の社長が一枚噛んでいるようだ。
『早く今日は帰るからマンションの下の店で飲まない?面白い情報もあるよ。私は今はママのサブになったよ』
『エロイ写真を張り付けるな。ひさしぶり飲もう!』
 ヒロにアゲの悪い影響が出ている。男と女と違うがよく似たタイプのようだ。





 

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  1. 2017/04/21(金) 06:54:59|
  2. ミステリー
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糸口6

 会長の息子のギャンブル記事が出てから、速やかに社長株がライブグループに買い取られた。特集2号では社長の退陣、上辻専務の社長交代の噂を載せた記事が出た。まさに思い通りの展開だった。だが合わせて女性記者の切り込むような記事が出た。ライブ上場の謎。これは私が匿名で書いている。秘書は他殺!これで社長の交代は見合わせになった。
「ホテルの廊下の監視カメラは?」 
「あれから当時の内線コールでエリの携帯が30分前にあった記録が取れました。それとエリが部屋を出てきたときに従業員が顔をたまたま合わせていた。これは証言をとりました」
「毒を飲んだ自殺と出ているが?」
 神部は当時の刑事の記録を見せる。
「ただこの刑事は不思議に思っていた。毒はワインに入っていたが、ワイングラスは2つあって指紋も残っていた」
「どうして調べないのだ?」
「上から自殺でという圧力があったと」
「指紋は?」
「残しているということで次に一連の写真をもらいます。これには金が要りますがね」
 神部は指を1本立てる。
「今エリの当日のアリバイを調べています。これも面白いことが分かりましたよ。前日エリはライブの会長と食事をしていました」
「専務では?」
「いえ、その時に薬を渡されたと睨んでいます。会長とエリの出会いを調べる必要があると」
 エリ本人からは私は専務からライブの社長を紹介してもらったと聞いている。
『今日時間が取れます?』
 水野からだ。
『あいてるが?』
『エヌの社長が会いたいと?』







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  1. 2017/04/20(木) 06:49:41|
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糸口5

 待ち合わせの喫茶店にすでにサングラスをかけた女性が足を組んで座っている。
「やはり兵頭さんね」
と言ってサングラスを下げる。
「君だったのか」
 彼女はライブグループの上場を最初から追っていた若い記者だった。私もよく後をつけられていた。
「エリに最後は嵌められた?」
「その通りだ」
「私も完敗だったわ。次はエヌなのね?」
 私は鞄から用意していたファイルを出した。
「やはり未公開株がキーだったのね」
 彼女はファイルを繰りながら頷いている。
「どこから攻める?ここからストレートでは逃げてしまうのじゃない?」
「もちろん。だがエヌの上場を下りることはできない。テレビ局の株ではあと一押しのところで資金不足になっている」
「そのようね」
「まず書き出しはライブの上場から未公開株のリストを載せてほしい。その中に私の名前もあって退職した。そしてライブの会長秘書の自殺でうやむやになった」
「その通りよ。私の記事も没になった」
「リストの追跡は終わっている。秘書は他殺だ。これは証明できる。だがゆっくりと攻める」
「乗った!」






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  1. 2017/04/19(水) 07:03:58|
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糸口4

「先に仕掛けられたな」
 顧問が部屋から覗いて声をかける。私はそれが合図でコ-ヒーを廊下で買ってきて中に入る。週刊誌がテーブルに乗っている。ギャンブルがもとで使い込み社長!の見出しが出ている。これは専務がリークしたのだ。私はスマホでこの週刊誌を写真で撮ってメールを打ち込む。
『この記事の持ち込み先を調べてくれ』
 相手は神部だ。
「息子さんと話は?」
「ダメ息子だ」
「今の流れでは息子さんの株はライブ系に流れますね。親戚の株は抑えれましたか?」
「それはOKだ」
「なら本線で専務を叩きましょう。顧問のご存知の週刊誌はありますか?」
 顧問は引き出しから名刺を探し出してテーブルに乗せる。大手の週刊誌の記者だ。
『調べてみましたがここもライブの会長の息がかかっているところです。この記事で他の週刊誌も動き出したようです』
 顧問に画面を見せる。
 私は大手の週刊誌の記者と連絡がついて今から会うことになった。机に戻ってライブの上場の問題点を整理したファイルをスマホに入れる。おそらく今回エヌでも同様のことが行われるはずだ。これをエヌで行われると予告すればどうなるだろうか。中止するだろうか。いや押し切るに違いない。
 この証券会社で顧問と私は異国の人間だ。もちろん上層部は理解して迎えてくれたのだろうが、周りの人間には窓際人間が動き回っているように見えるらしい。
「また散歩に出るみたい」
 女性社員の声が背中でする。









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  1. 2017/04/18(火) 06:47:13|
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糸口3

 アゲからは翌日添付資料のついたメールが流れてきた。私は早い目に約束した喫茶店に入って調査部長を待つ。彼が送ってきてくれた資料ではこの中小証券は2部上場を検討しているようだ。これは専務が筆頭で畠山の課が担当している。まだ公開された情報ではない。
 役員会はすでに半数が専務派である。持ち株は社長の株を入れると専務派は40%を超える。会長単独ではすでに負けているが、親戚筋の株を入れると互角だ。アゲの添付資料でそのことが分かる。将来はライブグループの証券会社にするようだ。
「久しぶりですね?」
「会長の下にいたとはな?」
 調査部長は知らされていなかったようだ。
「私は不正社員としてみんなから思われていますよね?」
「残念だがそう専務は説明された」
「上場の話は?」
「正式には聞いていない。ただ噂にはなっている」
「社長の使い込みは?」
「調査部では専務に上げている。だが待ったがかかっている」
「いつから?」
「会長がいる時からで代表権を失った年から急に額が増えた。マカオにここ1年だけで10回は渡航している」
「調査部ではどうするつもりですか?」
「専務預かりになっている」
「不味いですね?何かあったらここにメールをください」
 別れて外に出ると、やはり例の男がつけている。ここは敢えて見せるつもりで尾行させた。ある程度迫っていることを知らせた方が動きをつかみやすい。
『分かりました。尾行しているのは私たちと同業の探偵社です。依頼主はライブの会長です』
『専務では?』
『間違いなく会長です。それとエリさんのマンションに最近では入りしているのは会長です』
 エリは会長の女でもあったのか。












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  1. 2017/04/17(月) 06:56:27|
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糸口2

「ちょっといいか?」
 顧問室は調査部の奥にある。私の机は顧問室の受付のように入り口そばに一人分ある。部下はいない。第1調査課は12名いる。誰も私を無視している。もう十分わきまえている。
「進んでいるか?」
「ええ、予定通り」
「ちょっと困ったことになった」
 テーブルに手紙のコピーを置く。差出人は息子の社長の古巣の証券会社の調査部長だ。どうも専務が隠していた社長のばくちの穴を広げて持ち出したようだ。息子は10億の会社の資金をつぎ込んだという。敢えてそう仕向けたようだ。
「10億は大きいですね。社長の持ち株がそのくらいではなかったのですか?」
「そうだ。上辻はそれを見ている。だが私はその倍の株を持っている大株主だ」
「専務はそれを引き取るとライブと合わせ顧問と並びますね?」
「専務の力を止めてほしいのだ」
「でも息子さんはどうされますか?」
「残念だが彼奴はあきらめた。もう一度戻るしかない。もちろん今の仕事を済ませてからだ。その時はついてきてくれるか?」
「さあ先のことは分かりませんが、手は打ちます。調査部長と連携すればいいのですか?」
「必要な調査は彼に言ってくれればいい」
 それでさっそく穴をあけた詳細を部長に依頼した。そこから分かったのは畠山も一枚かんでいるということだった。
『アゲ、畠山のパソコンから社長に係わるものを探し出してくれ!』
 すでに畠山の中はアゲの庭になっている。



 
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  1. 2017/04/16(日) 06:49:35|
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糸口1

 会社を出てスマホにメールが入ってきた。
『やはりもう尾行が付きました。後ろから大きな鞄を抱えた男一人が付いてきています。私は写真を撮り所属を調べます。マンションを知られるのは不味いので帰りはタクシーで慎重に』
 私はあえて歩いてエリの新しいマンションまで来た。30分ほど待ってオートドアーの中に入る。時計を見るとまだ3時前だ。エリの部屋の階までエレベターで上がり玄関の前のポストに私の名刺を入れる。それからエレベター前の椅子に腰を下ろす。私の代官山のマンションから遠くない。いやここから見える。
 ポケットのスマホを覗くと、神部からではなくアゲからだ。
『やっとのことでエリのパソコンの中に入ったよ。だけど二重にガードされているファイルがあって証拠という題名が付いている。メールは上辻専務とライブの会長のメールが半分半分でこれは添付しているからそちらで見てね。それと畠山のパソコンに妹とやっているやばい写真が入っていたよ!報酬料ありがとう!』
 畠山はすでにチェリーの手に落ちた。
 この場所に来て1時間がたった。外の尾行者からのメールを受け取ったのかエリの部屋のドアが薄ら空いた。エリの顔がのぞいている。
『復讐なの?』
 エリからのメールだ。
『謎を解きたい』
 エリも私もメールを変えていない。
『嫌いじゃなかったのよ。でも最初からの目的があった』
『上辻専務か?』
『どうかしら?』







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  1. 2017/04/15(土) 19:18:43|
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宣戦布告12

 畠山を脅して『梨花』のホステスにチェリー名でクラブに出るようになった。ヒロはサブで5時から入店している。11時には店から出るようだ。私は今日は神部と9時に『梨花』に遂に登場だ。神部はもう5回も来ていて年配ホステスの口座ができている。ここでは私が彼の上司だ。
 ボックス席に座るとホステスがすでに座っていて、二人が掛けるとサブの若い子が付く。私は室内を見渡すがチェリーの姿は見つからない。
「ママは?」
「今日は10時に渡辺会長と食事を済ませて同伴の予定よ」
「渡辺会長というのはライブの?」
「そうよ。そうね、1か月に2から3度は同伴されていますね」
 神部は巧みに『梨花』のママと同伴のことを聞き出している。上辻専務は滅多にママの同伴をしないようで、お腹が少し目立つようになって他の客との同伴はせず、10時に来て12時には帰るようだ。
「すいません」
 私の肩にぶつかって謝った女の声がした。チェリーだ。
「ごめんなさいね。サブの子なの。でももう人気なの。若いっていいわね」
と年配のホステスがやはり私の隣に座っているサブに笑っている。
「そうなの。最近は上辻専務の席にばかり呼ばれているわ」
 サブの子が睨みながら言う。ヒロは思ったよりうまく溶け込んでいるようだ。
 いつの間にか渡辺会長が斜め前のボックスに座っている。その瞬間歩いてきたエリと目が合った。一緒に暮らしていたころより少しふっくらしている。だが目は鋭い。
「久しぶりね?」
「えらい発展ぶりでおめでとう!」
「しっかりお世話になった」
 これからがお楽しみだと心の中でつぶやいた。








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  1. 2017/04/14(金) 06:56:21|
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宣戦布告11

「やめとけ!」
「やる!」
 大げんかの末私が折れることになった。ヒロがスマホのやり取りの上、畠山とラブホテルで会うことになった。チェリーとして畠山を抱き込んで彼が通っている『梨花』に入るのだ。ニューハーフの店はしばらく休むと決めていている。それでその話に乗ることにした。
 チェリーと畠山が池袋で落ち合ってホテルに入った。私は先にそのホテルの隣の部屋に入って待機している。イライラして時計をにらんでいる。まだ20分ばかりなのに恐ろしく長く感じる。
『入って』
 メールが流れてくる。慌てて隣の部屋の前に立つ。万が一を考えて鳥打帽にサングラスをかけている。ドアのカギはあけられている。
「写真を撮って!」
 ヒロの声が響く。全裸の畠山のものを全裸のチェリーが咥えている。睡眠薬を飲ませたようだが突っ立っている。
「私の顔と畠山の顔を入れるのよ」
 私はポケットに入れてきたデジカメを構える。チェリーは手首を後ろに縛っている。畠山の手にジャックナイフを握らせている。そのナイフもしっかり画像に入れる。チェリーは次に立ち上がって畠山の股間にまたがり、その突き立ったものを受け入れる。
「私の尻から畠山の顔も入れるの」
 このポーズではヒロのアナルがしっかりと開いて見える。次はその形でチェリーが急いで口でフェラを始める。私のものがピンと立ち上がっている。5分で慌てて口を話す。だらりと白い精液が流れ出ている。そのタイミングでシャッターを切る。
「もういい!」
「妬けた嬉しい!」
 ヒロは立ち上げるとすばやく服を着る。用意していた手紙を畠山の顔に被せる。
「ナイフは?」
「これはいつも持ち歩いている畠山のものよ」
















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  1. 2017/04/13(木) 06:22:26|
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宣戦布告10

 3日後に水野から連絡がありお昼に30分の時間が取れたとあった。そこはテレビ局の中の喫茶ルームだ.。もう世間には上場が伝えられていて、この後テレビ番組の撮影があるという。水野はかなり女社長に気に入られているようだ。私は水野の先輩として紹介されている。
「忙しいところすいません」
「調査部というのはどんなところなのです?」
 コーヒーを飲みながら名刺を抓んでいう。やり手の女社長という匂いがする。
「私は上場した企業の再調査を行っています」
「私の会社に何か問題でも?」
「いえ、前回のライブの上場に問題が残っています。秘書の自殺について他殺とする意見もあります」
「初めて聞きましたが?」
「それと未解決の未公開株の問題です。ライブは今まで相当数の不明な個人の持ち株があります」
「そうなんですか?」
「これは前回の事件の時の状況を伝えている週刊誌の記事です」
 私は彼女は係わっていない直感を持った。それで持ってきた週刊誌のコピーを渡した。そろそろ隠れた調査では限界がある。
「ライブの会長とは?」
「学生時代に会長の塾に入っていたのです。会社を作った3年後に会長から個人投資を受け去年正式にライブから5000万受けて上場の手続きに入ったのです」
「主幹事は当社ですが?」
「ええ元々でも会長が小回りの利く証券会社を副幹事に」
「とくに今回の未公開株の中身は慎重に」






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  1. 2017/04/12(水) 07:00:19|
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宣戦布告9

 探偵の話に思い付いてエリが使っていたパソコンのアドレスをアゲに送った。それと合わせて正式に正一の会社に依頼料の一部として証券会社の経費で50万を送った。アゲをタダ働きさせるわけにはいかない。
 3日に一度エヌに行っている水野が戻ってくる。
「未公開株の募集が決まりました」
「いよいよだな」
 顧問室で3人がファイルを手に座る。
「これが顧問の息子さんの証券会社の畠山のパソコンにあったリストです」
「そんなものが手に入るのだな」
「これとライブから出てくるリストを突き合わせてください」
「『梨花』というクラブのホステスだと言っていたが?」
「突合せをすましましたが、9割は間違いないです」
「水野さん、一度この肩書きでエヌの社長を紹介してもらえませんか?」
「それはいいですよ。でもどうして?」
「彼女も分かっていてライブの会長と組んでいるのか知りたいのです」
「そんなタイプには見えませんが?」
「それと『梨花』に昔の男として行ってみたいのですが?」
「どうして危険を冒す?」
「エリは秘書の殺害に関係しているのです」
 神部の証拠を見せて説明した。
「顧問にはエリの履歴書を調べてほしいのです」
 どうも専務の秘書になって女になっただけではないような気がするのだ。








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  1. 2017/04/11(火) 06:22:06|
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宣戦布告8

「狭い事務所でどうも」
 神部探偵事務所は新橋の飲み屋ビルの上にある。女の子がお茶を運んできてくれる。神部は思ったより年配だ。
「私は56歳です。42歳で刑事を首になって離婚、ようやくこの業界で食べれるようになったのですよ。この子は一人娘で電話番をしてくれている。ところであのリスト新しいメンバーは大半『梨花』のホステスや従業員です」
 リストにチェックが入っている。
「専務は時々来てるのですか?」
「ええ、ホステスの話では3日に空けずオーナーぶりは凄いです。これは指示を受けていないことですが、刑事の癖でライブの秘書の自殺はあれは他殺だと。警察のルートを調べてみたのですが、彼が泊まっていたホテルを手当てしたのはライブの会長ですが、その夜来た女がいるようです」
「警察では夜の女が1時間ほど泊まっていったと調べ済みだが、それ以上は確認できていないのです」
「やはり他殺?」
「ホテルの廊下の監視カメラに『梨花』のママが写っていたのです」
「エリが?専務の指示か」
「分かりません。ただあの夜に写っていたのは事実です」
「もう少し調べてください」
 これほどエリがこの事件に深くかかわっているとは思っていなかった。ただ私を嵌めるだけの役ではなかったのだ。
「でエリは子供を産んだのか?」
「いえ、もうすぐハワイに行かれてそこで産むそうです」
「専務の子供だろうな?」
「ホステスの話ではそうでもないようです」
 まさか私の子であるはずがない。






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  1. 2017/04/10(月) 06:47:39|
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宣戦布告7

「遅かったな」
「凄いマンションね」
 時計を見るともう1時半を回っている。
「タクシーで分かったか?」
「代官山って有名なんだってよ」
 顧問からもらった名刺をヒロに見せる。
「調査部課長って素敵ね?」
「第2課長とあるだろ?部下のいない隠密課長だよ。出社も自由だ」
「私の手伝うことある?」
「しっかり踊っていたらいい」
「踊りの基本ができているとママに褒められた」
「妹として紹介したからよろしくな」
「でも二人の時は恋人よ」
「明日は?」
「会社に出てそれから探偵に会う」
「私は荷物が付くので荷をほどいて足らないものを買いに行く。今日は布団が一つしかないから一緒に寝ようね」
と言ってもたれ掛る。
「またアゲだ!」
『畠山課長のパソコンに例の未公開株に似たリストが専務から送られてきているよ。前のリストから半分は消えていて人数は倍に増えてる。ところで妹さんに会いたいわ』









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  1. 2017/04/09(日) 06:51:36|
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宣戦布告6

 パソコンだけを鞄に詰め込んでヒロと新幹線に乗った。彼女は荷造りで徹夜してすやすや眠っている。恋人にしては若すぎるが妹というほどまったく似ていない。私はアゲから送られてきた資料に目を通す。今回の上場は上場チームが全員担当しているようだ。
 エヌの社長はまだ32歳で私と同年配だ。最近は女性社長の上場も珍しくなくなっているが若い。ライブの渡辺会長の起業塾のニューフェイスのようだった。公式の履歴書も出来上がっている。会社設立して5年で上場という位置にいる。ライブとは取引はないが、株はライブが5000万を所持している。
 八重洲でヒロと別れる。彼女は新宿のニューハーフクラブに向かう。私は日本橋の証券会社の本社ビルに向かう。約束の時間ちょうどに調査室のドアをノックする。
「待っていた」
 握手をして会長が顧問室に迎え入れる。最後に見た時よりも若々しい。63歳のはずだが50代後半に見える。部屋のソファに黒のスーツ姿の女性が座っている。
「彼女がエヌに主査で出向する水野君だ」
 挨拶はそこまでで分厚いファイルを3冊用意して読み合わせを始める。彼女は東大のエリートで質問は的確だ。私のような地方大学ではない。
「現在はとくにエヌに上場資格には問題ありません」
「株主構成は?」
「ライブ関連は13%ですが社長自身の持ち株がこの時点72%と問題はないですね」
「今まででは次の未公開株で不透明な動きがあると思います」
 顧問は腕時計を見て、
「入社祝いに席を用意している。少し遅くなったな。妹さんも呼ぶかい?」
「いえ向こうも就活ですよ」








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  1. 2017/04/08(土) 06:50:36|
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宣戦布告5

「来月から東京に来てくれないか?」
 いつものように三郎のすし屋のカウンターに座っていると専務からスマホにかかってきた。
「来月っていうと明後日ですよ」
「例のエヌという会社の調査が取れた。ライブのグループではない初めてのIT会社だよ。調べてみたら元々ここの証券会社が主幹事証券だったのだ」
「また危ないことを」
「それ程この会社が有望だということだ。IT会社としてライブのような偽物じゃない。余程テレビ局の株の資金がいるのだ。急ぐのは主査に私のところから社員を送り込んだ」
「もってこいのチャンスなのですね。分かりました」
 スマホですぐにヒロに繋ぐ。
「明後日から東京に行く。ヒロは引越しの用意をしてゆっくりくればいい」
「私も一緒に行く。今度は置いて行かれないから。引越しは三郎にお願いしている」
 三郎が寿司を握りながら笑っている。どうも話は進んでいるようだ。
『アゲ。明後日東京に行く。それまでに上場チームのパソコンに侵入してチーム全員のエヌ関係の資料を集めてくれ。それと社長に今までの請求書を送ってくれるように』
 瞬間にいつものようにアゲの返信がある。
『請求はまだいいとの社長の返事です。それより妹とは思えない妹さんも一緒に行くの?妬けるわ!上場チームのパソコンはもう侵入して調査済です。エヌのものだけ送るよ』
「しばらく帰ってこないのか?」
 2本目のビールを抜く。
「どうしてもし残した仕事がある」
「嵌められたと言っていたが?」
「この迷い道の出口はこれしかないのだ」




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  1. 2017/04/07(金) 06:15:53|
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宣戦布告4

『例の名刺をもらって『梨花』に行ってきました。顧問に接待費の枠をもらいました。取りあえず持てないが内情に詳しそうなホステスを捕まえました。ここはIT関係者が多く証券関係者も多いようです。ホステスの名簿を手に入れたので添付します』
 そのメールをそのままアゲに送る。それに反応したようにアゲから返信が入る。
『畠山のスマホから会社のパソコンに入ることができたよ。今のところ上場チームの社員のパソコンにも入れる』
『上辻専務のパソコンはどう?』
『専務というのがあったけど、ここは部下とのやり取りだけに使っている』
『一度最近のをこちらに送ってくれ』
「デートしてるんじゃないの!」
 いつの間にか帰ってきて覗き込む。真夜中の2時半を過ぎている。今日はニューハーフ店のステージの日だ。
「そちらこそ客とやってるのじゃないか?」
「私は雄介命なのに!」
 思い切り唇を吸ってくる。これは不味い!
 アゲのメールが流れている。がもうチェリーは素っ裸だ。踊るようになって物凄いくびれになっている。私もこの状態では最近抑えがきかない。こういう時は頭の中でヒロを追い出して、チェリーに入れ替える。彼女のものは膨張率が高く体に合わない大きさになる。咥えるのも違和感がなくなっている。
「いつ東京に行くの?」
 そう言って69の態勢でお互いのものを吸いあう。
「う!」
とチェリーが顔を上げる。口から精液が零れている。それを美味しそうにごくりと飲み込む。
「今の店で新宿の店を紹介してもらった。東京に行ったら居酒屋はやめるわ」
「踊りが気に入ったか?」
「スカッとするわ」











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  1. 2017/04/06(木) 07:02:05|
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宣戦布告3

 ヒロと生活してみて、週に3度ほど阿倍野のダンス教室に行くことに気づいた。それで1か月に1度ミナミのニューハーフの店で踊っているのには驚いた。そう言えば子供の時からやたらと踊っていたのを覚えている。それで三郎のすし屋のカウンターの端に陣取っている。
「会長今いいですか?」
 最近会長とは何度も話し合っている。
「あの資料を見ましたがライブを追い詰めるのにはまだまだ時間がかかりますね。専務の秘書だったエリを覚えていますか?」
「君が結婚すると言っていた彼女だな?」
「今銀座で『梨花』というクラブのママしています」
「それは初耳だ」
「昔から専務の彼女だったのです。うまく嵌められていたわけです。このクラブのホステスが相当数ライブの未公開株を持っていたようです。今の会社で口座を作れますか?」
「よしわかった」
 神部が一見では厳しいと言っていたので会長の会社の名刺を作ってもらおう。
 隣にくっ付くようにへばり付いている若い女が座っていてビールを注ぐ。三郎が驚いてみている。カウンターにスマホが置いてあってアゲの例の写真が写っている。
「思ったより若いのだな担当さん」
「想像以上にかっこいいね!」
「どうしてここが分かった?」
「あの可愛い子本当に妹さん?」
「どこまで侵入するんだ。学生のようだな」
「落ちこぼれの高校生よ」
「かなり不良だな?」
「でも腕はいいよ」
 初めてのアゲの登場だ。








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  1. 2017/04/05(水) 06:45:16|
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宣戦布告2

 相当数のファイルが会長から送られてきた。ライブグループが粉飾決算をしているのを調査半ばのようだ。ただこれで上場廃止は難しい。秘書の他殺も証拠がない。やはり近道は未公開株のリストのような気がする。
「どうや?」
「30人ほどはホステスのようや」
「ホステス?」
「銀座の『梨花』というクラブなの」
 『梨花』は神部の報告にあったエリのクラブだ。ヒロに神部の報告を見せた。このリストを神部に送ろう。ほとんど同時にアゲのメールが入る。色っぽい写真付きのメールだ。
「彼女?」
「正一の担当の社員だ」
 メールをヒロの前で開く。
『やっと畠山のパソコンに侵入成功!まだ開かれないものもあるけど、これは面白い写真が一杯入ってます!』
 開いてみると女の裸の写真が何十枚も入っている。
「付き合った女の写真を撮ってるのよ。それも丁寧に一緒に写ってるよ」
 ヒロが呆れている。
「私も迷惑してるわ。会いたい会いたいのメールばっかりやの」
「悪いな」
「もう少し我慢してくれ。畠山から崩す」
「うん」
 このリストを神部にメールで流す。
「東京に行くことになるが?」
「私も行く。畠山に抱かれてもええよ。男と見破られたこと一回もないよ」









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  1. 2017/04/04(火) 06:24:20|
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宣戦布告1

 自己都合退職後もう半年が過ぎた。思い切って会長の携帯に連絡を入れて今日天王寺のホテルで会うことになった。
「力及ばず悪かった」
と冒頭会長が頭を下げた。
「いえ、私が嵌められたのです。この名刺は?」
 証券ジャーナル誌の顧問とある。
「このビルは最大証券会社の本社ビルじゃないですか?」
「昔ここに10年お世話になっていたのだよ。社長は当時の上司だ。この顧問室はライブの対策室なのだよ」
「対策室?」
「証券界はライブのようなIT企業を恐れているのだよ。それで私に声がかかった。私も上辻専務が私の証券会社を潰すのを恐れている。ライブと心中は困るのだ」
「ライブは潰れる?」
「いや潰すのだという強力な力が動いている」
「今あの事件はどう決着しているのですか?」
「表向きは君の未公開株購入だけが残ったが秘書の自殺でうやむやになっている。今は警察から検察に引き継がれている。ここともパイプをもって調査をしている。それで君の力を借りたい。もちろん条件は提示してほしい」
「条件までは待ってほしいが無念は晴らしたいと思います」
 私にとっては宣戦布告の気持ちだ。
「現在どこまで進んでいるのですか?」
「ライブの会社資料を洗い出している。それと自殺した会長の秘書の調査をしている。だがまだ追求できる材料まで入ってない」
「私はかなり核心まで迫っています。だがきれいごとでは対決できないと思います」
「それは私もそうだ」
 会長は立ち上がって握手をした。










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  1. 2017/04/03(月) 06:23:20|
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yumebito86866

Author:yumebito86866
夢人です。これは『空白』に繋がる作品ですが、これは段ボール箱の住人ではありません。今回書下ろしで書き始めました。ここに登場する人物はみなどこかで触れあった人物ばかりです。そして知った事実がこの小説を書かせました。

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