迷い道

結婚相手から罠をかけられた。奈落に落ちてヒロにあった。ヒロは見違えるようないい女になっていた。再び舞台に戻り捨てられた謎に迫る。


深層11

 エヌの上場の5日後、検察のあの男から朝一番にメールが入った。
『今朝Nに国税が入る。週刊誌の女記者に知らせてやれ』
 慌てて女記者に同じ内容を送った。これを記事にするのは彼女の仕事だ。私は証券会社に出て水野の部屋に行く。まだ前場は始まらない。食堂でコーヒーを手に窓際に座る。最近は水野が私の彼女と噂されているようだ。水野が流している節もある。
「どうだエヌの動きは?」
「今日は大口の買いが入っている。一挙に売り出し値に戻るかも」
「やはり畠山のところか?」
「ええ、でも法人投資家も動き出しているわ。でもエヌの実力ならもっと上がってもおかしくない。あれ妹さんから?」
 スマホが鳴って最近は画面を見られないようにしている。ヒロのオッパイは見せられない。
『おはよー!夢の中で雄介と一発やったよ~』
 何と自分で膣を剥いている。
「やっぱりおかしいわ」
「いや女記者だよ。今日国税が入ったのを知らせてきた」
『・・・西崎のスマホに入れたよ。通話履歴はとれたけどファイルは鍵が掛かっているので社長に回したよ。詳しくは添付でパソコンに送った。従業員の他はライブの会長とエリの記録が多い』
 やはりエリとは関係が深い。今度は本当に女記者だ。
『同時に8店舗に入ったみたい。他店の記者を動員したけど4店舗だけ立ちあえた。本格的だよ。キャップから西崎の過去の事件も出せと言われたけどいい?』
『ああ、ライブの会長の名やエリのことも書け』
 ここから深層に入れるかもしれない。







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テーマ : ミステリ    ジャンル : 小説・文学
  1. 2017/05/31(水) 06:58:55|
  2. ミステリー
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深層10

 神部の報告でNの社長の西崎が『梨花』の客だと分かった。それでチェリーに聞くと最近の彼女の常連だと言う。
『西崎はママと店で話したこともなく、無口で馴染みのホステスもなかったのだが、最近は私を指名するようになった。あのNの店でも顔を見たことがないよ。いつもスマホを見ていてぼそぼそと話をする』
『スマホのアドレスが分かるか?』
『調べてみる』
 今日は朝から水野とエヌの社長室にいる。エヌの上場日だ。
「やはり厳しいな」
「諦めているわ。あれだけ噂を流されたらダメよね」
とエヌの社長が言う。
「これじゃ募集額の半値になるわ」
 テレビでは最悪の上場だと言われている。社長の顔を見ていられずに私は外に出た。これは何か仕掛けられている。後場が終わって専務から『梨花』への誘いの連絡があった。彼も立場をなくした妬け酒だろう。7時に待ち合わせをした。
 『梨花』に入るとチェリーが西崎と腕を組んでいるのに出会った。ボックスに専務がもう来ている。チェリーが見せつけるようにオッパイを腕に押し付けている。挑発だ。
「彼奴にチェリーを押えられたよ。だが面白い話がある座れよ」
 案外機嫌が悪くない。
「エヌが下がっているが買いを入れている奴がいる。ネット証券ぐるみで畠山が動いている。彼の力ではない。ライブの会長が絡んでいるな」
 やはり!
「これは昔よくやった会長の手だ。だが私もチェリーに1000万で買わしたぞ」
「インサイダーですよ」
 ヒロは一言も言っていない。
『オッパイサービスでアドレス一丁上がり!』
 アゲの影響でオッパイの写真をつけて流してきている。













テーマ : ミステリ    ジャンル : 小説・文学
  1. 2017/05/30(火) 06:45:16|
  2. ミステリー
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深層9

 ヒロはますます女そのものになっていく。久しぶりに獣のようにヒロを抱いた。
「化粧がうまくなったな?」
「美人になったと言ってよ」
と言うヒロに熱いキッスをして先にマンションを出る。今日は女記者と落ち合って国税に入った。
 Nの第2弾の記事が出てライブのグループにアルファベットの会社を入れた組織図を載せた。Nが今まで吸い上げたと思われる被害者リストも載せた。そのうち『梨花』の顧客が1割いる。ライブの弁護士が記事の差し止めの内容証明を送ってきている。
「互いの情報を交換するようにと言う上からの指示です」
 年配の職員が応接に招き入れる。その横に目の鋭い刑事が同席している。
「これがニュースソースです」
と女記者がUSBを差し出す。それをパソコンで見ながら2時間の質問が続く。
「こちらでは売り上げがそちらの資料の10分の1も上がっていないこと。それと倒産による未収入が追求するところになります。それに合わせて『梨花』のママにバックマージンの聴取を考えています」
「賭博では?」
「やくざに繋がっているかがポイントですな。だが表面的にはやくざの影がない。例の白いベンツは一台一台調べている」
「ITの社長ですがここは脱税の温床なのですよ。温床と言うよりか税を払うという基盤がないのです。それに若い会社はまだ査察の対象ではないこともあります。やくざの影が見えればいいのですが」
「面白い情報も見つかりました。Nの社長はやはりライブの創業期のメンバーですが、8年前に詐欺罪で送検されています。オレオレ詐欺ですよ」
 調書を見せてくれる。5億も金を奪っているが、現場の受け子だけが刑を受けて彼は不起訴になっている。やはり正一の言うように詐欺に堂々と手を出していた時期がライブにはある。
「やくざとやり取りをしていたのはこの男だけでしたが」
 思い出すように刑事がしゃべる。
『Nの社長を洗ってくれ』
 神部にメールを送る。






テーマ : ミステリ    ジャンル : 小説・文学
  1. 2017/05/29(月) 06:50:44|
  2. ミステリー
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深層8

 社長室に昼過ぎに呼び出しがあった。今日は女記者の週刊誌の記事を見ながらヒロのメールを見ている。
『あの女は誰なの!・・・雄介の言っていたあのNの店とホステスの関係は客が負けた1%がマージンとして戻ってくるシステムなの。ママは1億は稼いだという噂よ。でも私はまだ10万よ。今日は夜中に何が何でもでも帰るから覚悟してよ』
 スマホをポケットに入れて社長室に入る。部屋の中にはあの検察の男が一人コーヒーを飲んでいる。やはり同じ週刊誌を見ている。
「Nの報告を受けたが、これは糸口としては面白い。Sは起訴するには課題がまだ多すぎる。だがNは賭博と脱税で起訴は案外容易だ」
「実はまだ言ってなかったのですが、この事件の黒幕はライブの会長ではないのです」
「誰だ?」
「これはまだ仮定ですがエリの彼氏がそうではないかと。白いベンツの男がいるのです」
「この記事には出ていないが?」
「まだ私の中で考えあぐねているのです」
 私は一通り話した。
「やくざで横浜ナンバーか?」
『横浜のやくざで白のベンツに乗っている奴を探してくれ。それと国税にNを査察できるか聞いてくれ』
 彼は早口でしゃべるとすぐに切る。
「今の話では『梨花』のママまでは引っ張れる。この記者にさらに突っ込んだ記事をかかせてくれ」
 彼はそう言い残すと部屋を出ていく。私は久しぶりに上場チームの水野を覗く。どうもこの証券会社では社長室の隣に棲む妖怪のように映っているようだ。誰も声をかけてこない。社員食堂に入ってコーヒーを飲む。
「エヌの上場はもうすぐだな?」
「目標値の半分しか出ないのよ」
「あのネット証券を含めて悪い噂ばかり出されている。本当にいやがらせよ」
「嫌がらせかな。これは作戦かもしれないぞ」













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  1. 2017/05/28(日) 07:12:28|
  2. ミステリー
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深層7

 息子と女記者を連れてNの店に入る。私は髭をつけて女記者は黒縁眼鏡をかけている。帽子を被った息子は常連や店の者に声をかけられている。私は用意して来た100万円を息子に渡している。店に入ると息子はその金をカウンターで入金する。どうもコインに変換されたようだ。合わせてカードを渡される。息子に部屋中を歩き回るように言っている。店は1階と地下のメゾネットだ。
 客はそう多くはないが、ITの社長で写真を見た顔が何人かいる。それぞれが女性を連れている。女記者は巧みにネックレスに仕込んだカメラを撮っている。地下に降りると畠山が買収したネット証券会社の社長と並んで競馬ゲームをしている。息子も隣に座って参加する。私と記者はテーブルにかけてワインを飲む。
「ここは6時に開店して、朝まで開いているわ。それにホステスもいる。これは息子に聞いたけど、地下から隣のラブホテルに移れるようなの。ホステスは誘えるそうよどう?」
「逃げ道にもなるわけだ」
「隣のホテルはやはりアルファベットの会社の所有よ」
 かなり調べている。
「先ほどのネット証券会社の社長は2年目前からここに入り浸りでもう10億は負け続けている。その損をライブが買い取っている。もう彼は大株主ではないわ」
「乗っ取りに使っているわけだな」
 二人はもう5杯もワインを飲んでいる。店に入ったのが8時だがもう12時を回っている。客は12時になってどっと増えた。『梨花』のホステスの顔が何人もいる。それぞれ客を連れた同伴だ。その中にチェリーの顔とエリの顔がある。記者が動き始めたのをきっかけに私は人ごみの中に紛れる。チェリーが腕を繋いでいるのはITの旗手と言われている上場社長だ。ちょっと嫉妬する。
『抱き付きすぎだ!』
『いるの?』
 私は一番奥のカウッターにもたれる。どうもここに従業員が座って8分割のカメラを覗き込んでいる。部屋の隅々だけでなく表玄関、駐車場まで監視している。
 白いベンツがいる!











 
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  1. 2017/05/26(金) 06:45:30|
  2. ミステリー
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深層6

 珍しくサングラスの女記者から呼び出しがあった。それで夜に彼女の行きつけのスナックで飲むことにした。エヌの記事以来久しく会っていない。
「へえ、ドレスを着ている姿は始めてたな」
「私も女よ」
 だがビールの小瓶をラッパ飲みしている。彼女が読んでいる週刊誌を覗く。雑居ビルの前に外車が停まっている。
「この記事を頂こうかなってね」
「賭博場があるというやつか?」
「この店を運営しているの誰と思う?」
「どこかのやくざだろう?」
「それがね、ライブのアルファベットのNと言う会社よ。私の調べたところ全国に8店舗もある。社長は元ライブの社員。客はITで成功した社長が多い。先ほど潜入を試みて失敗したわ。会員制になってるのよ」
「なぜ興味を持った?」
「ここの会員が度々最近倒産している。総額も25億もある。あのあなたがいた証券会社の社長もここの常連だったのよ」
「力を貸せと言うのか?」
「ライブの謎に近づくと思わない?」
『社長、息子さんはどうされていますか?』
『家でごろごろしとるよ』
『紹介してもらえますか?』
 上場チームの課長時代面識はある。
「よし、その証券会社の元社長と潜入をしてみよう」
 Nはエリの謎にも近づけるかもしれない。勘だ。





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  1. 2017/05/25(木) 06:58:18|
  2. ミステリー
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深層5

 睡眠不足で調査資料に目を通す。アゲにはかなわない。彼女の1回は朝まで続いた。何を見てきたのかあらゆる妄想のポーズを迫る。
『雄介、悪かったな。アゲが攻撃するとは思っていなかった・・・ところでライブの会長の奥さんの話をする。エリは会長のよく行っていたクラブに意識的に入ってきたようだ。これは主人の言い訳だからどうかと思うがと説明して、どうもある日朝起きるとエリが素っ裸で横で眠っていて主人のものから精液が出ていたという。私は引っかけられたと思う』
 まるで私の時と同じだ。私は今でも睡眠薬を飲まされたと思っている。だが付き合っている彼女もいなくずるずる同棲を始めた。
『・・・奥さんはエリが秘書になってから素行調査をしている。調査書によれば彼女は真夜中に白いベンツの迎えが来て、慣れたように飛び乗ったと言う。運転手はサングラスをかけたチンピラだったという』
 正一にメールを返す。
『ナンバーは見ていないのか?』
『残念ながら。ただ横浜ナンバーだったと。それと大きな成果がある。彼女にセキュリティブロックの話を聞いた。エリのパソコンだ。エリの名は出さなかったが彼女が開発したものに似ていると言った。これで挑戦してみる。アゲは連れて帰るから安心しろ』
 私はメールを閉めて神部に続いてメールを送った。
『横浜ナンバーの白いベンツでやくざが持っている車を調べてくれ』
「どうしたの?風邪でも引いた?顔が浮腫んでいるわ」
 コーヒーを持った水野が入ってくる。
「ノックだよノック」
「まさか妹と道ならぬ恋?」
「お前も妄想女だな」








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  1. 2017/05/24(水) 06:25:11|
  2. ミステリー
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深層4

 エリに会った次の日からまた尾行が始まったような気がする。それでしばらくヒロはホテルに泊まることになった。それで機嫌が非常に悪い。何度もメールが入る。だがエリの表情を見ていたから最後は納得した。
 夕食を会社の近くで済ませてマンションに戻る。途中で正一からメールが入る。
『今からライブの会長の奥さんと会う。新しい情報を期待してくれ』
 ちょっとやくざだった顔が見え隠れする。
 何度か後ろを振り返って鍵を指す。最近は帰るコースも変え細い路地をタクシーに走らせる。ドアをゆっくり押すと部屋に灯りがついている。ヒロが帰ってきているのか?ドアを閉めると思い切り飛びかかってくるものがある。黒いマントが目に入った。思い切り腕をひねって投げ飛ばす。
 まさかここまでやるのか?エリの顔が浮かぶ。だが悲鳴を上げて素っ裸の若い女が股開きだ。
「うー!ひどい!」
 アゲだ。
「叫ぶよ!」
「どうした?」
「社長と東京に来た。一度死んでもいいから入れて」
「まだ高校生だろ!」
「中退している」
「子供が生まれるぞ」
「社長に聞いているぞ。お前は不良で一杯手籠めをしてたって」
 正一か。
「ピル飲んでるからって」
 だめだ!昔の癖が出ている。そのまましっかりアゲの中に沈めている。
『もう寝た?』
 ヒロからだ。








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  1. 2017/05/23(火) 06:56:43|
  2. ミステリー
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深層3

『今来たよ!』
 ヒロからのメールだ。私はいよいよエリの目前に現れる時期だと思っている。嵌められた復習と言うのではなくて、エリの本当の姿と対決したい。
 『梨花』に入るとチェリーが立って見つめている。私はここでは専務のサブの客だ。ボックスの専務に頭を下げて座る。チェリーの姿は別のボックスに歩き出している。
「いいのか?」
「踏み込む時期です。互いに襲われた同志ですから次は攻撃しますよ」
「戻れないぞ」
 エリがチェリーの後ろを歩いてくる。
「子供が生まれたらしいな?私じゃないし彼でもないようだな」
 専務の声にエリが隣に座っている私を見る。
「復讐に来たの?」
「いやお祝いに来た」
 エリの目がきらりと光る。
「私でも専務でもライブの会長でもないその子は誰の子だ?」
 チェリーが私とママのグラスにブランディを注ぐ。
「それはどういう意味?」
「私もそれを聞きに来た」
 エリは指輪を擦っている。これは怒った時の彼女の癖だった。この指輪は私の記憶では会った時からはめていたものだ。母の形見だと言ったのを覚えている。
「どうして別の人間だと?」
「調べた」
「で分かった?」
「いや」
「見つけてみたら」
と言うなりボックスを離れていった。







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  1. 2017/05/22(月) 06:39:35|
  2. ミステリー
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深層2

『100万の振り込みをもらったが、かなり焦るな。エリのパソコンはかなり厳重で残念ながら・・・。だがライブの会長の過去を調べていて気づいたことがある。雄介も覚えているだろうが、昔このライブと仕事をしたことがある・・・』
 『梨花』の前の喫茶店でコーヒーを飲んでいる。もう8時から1時間になる。正一のメールで高校時代のことを思い出す。彼らとつるんで悪さばかりしていたのだ。
『・・・オレオレ詐欺の走りだったが受取人をして逮捕されたな。雄介は反対したのに俺が手を出した。あれがライブの会長の創立期だったのだ。もちろん会長自身は会ってはいない。それで調べてみたが今もライブの中にその時の女がまだいたよ。会長の妻で常務だ。もう40歳になっているんだな。初めて抱かれた女だよ』
 そうだ。抱かれたという話は覚えている。だから捕まってもげろをしなかった。
『近くに東京に行く。この金はいい資金になる』
「初恋の人に会いに行くか」
「それは何の譫言ですか?」
 コーヒー入れに来てくれた水野が声を上げる。
「入るときはノックするべきだ」
「一人ぽっちでは寂しすぎるわ」
「エヌはどうだ?」
「社長は正式にライブの起業塾からも脱退しました。彼女はエースだったので脱退者がたくさん出たようですよ」
「ライブも伸るか反るかの時期だな。ところでライブの会長の奥さんにあったことがあるか?」
「一度講演を聞いたことがありますよ。どちらかと言うと会長より彼女の方が開発は上だったように思います」
「どんな感じの人だ?」
「エヌの社長の姉さんの感じかな」





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  1. 2017/05/21(日) 07:06:57|
  2. ミステリー
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深層1

 テレビ局とライブの交渉がありライブから役員を受け入れることになった。エヌではライブは派遣の役員以外ライブ寄りの社員が5人解雇された。ライブはそれをもって株を引き上げた。至る所で攻防が続いているという感じだ。
 社長室に入ると、前回の円卓会議でプレートを付けていなかった男性が座っている。
「彼の言うにはSが裏社会とライブのパイプ会社ではないかと言うのだ」
「ブラックマネーだよ」
「彼は検察の上層にいる。ライブは単なるITの暴れん坊ではないのだ」
「Sの口座を調べたが相当な会社や個人から200億が振り込まれている。だが怪しげな会社と個人ばかりで特定できない。これを見ると相当な高利でライブは資金を集めたのだろう」
 調査資料に目を通す。
「ライブは設立当時は詐欺まがいのシステムを開発をしていた。その当時も警察ががさをやったが、不起訴になっている。これが当時の資料だ。一度ゆっくり見てくれ。それに何かあればここに直接連絡をくれ」
 社長は立ち上がるとポケットからカードを出してきた。
「これから経費はここから出すのだ。総務に回す必要も了解をとることもない」
「社長の機密費だ。私はあまり聞きたくないがね」
「Sを見張っていたのですが、エリがSの女社長と会っています。200億の時期です。エリの周りにやくざの臭いがあるのです」
 部屋から出るとスマホ取り出す。 
『エリのパソコンには入れないのか?資金はもう少し送る。合わせてライブ会長の会社設立時期のことを調べてくれ。後日調査資料も送る』
 正一へのメールだ。単純なハカーならアゲでいいがこういう調査は社長でなければできない。彼は本業は企業内の情報の調査だ。本人もいつか捕まるかもしれないと自覚している。








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  1. 2017/05/20(土) 06:30:59|
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迷路12

 またいつもの喫茶店で神部と会う。
「まずエリの男関係の調査ですが、今のところまったく見えませんね。ただ見過ごしていたのですが、今の戸籍は彼女が18歳の時に作られています」
「それはどういうこと?」
 神部はどうしてエリの戸籍をとれたのだろうか。それに彼女の戸籍は一人っきりだ。
「不思議だろ?それでいろいろと手を使って調べた。原籍にたどってみたのです。青森に母親の籍があって両親は亡くなっています。子供は長男に長女がいます。だが青森に調査を頼みましたが、すでに自宅はなくなていていました。その長女がエリです」
「長男は?」
「長男はまだ籍は残っていますが、どこにいるかは不明です。母親も同様です。これ以上は調査は無理です」
 コーヒーカップを持ち上げた時スマホが鳴る。ヒロかアゲか?
『今からすぐに戻ってこれるか?』
 今のトップの社長だ。
『何かあったのですか?』
 社長が直接入れてくるには初めてだ。
『君が調査の依頼をしてきたネット証券会社の買収資金の200億の出所が分かった。あのSから出ている。だがSから先は分からない』
『10分ほどで戻ります』
「Sをもう少し調べてほしい」
「Sは気になるのであの女性社員を張り付けていますよ。まず出入りの人物は写真を撮って身元確認をしています。畠山は何度か訪ねてきています。それに今回は男性に女社長を尾行させています。彼女は先日『梨花』に行ってエリに会っています』
「元同僚ということもありますが、エリはSに係わりがあるように思いますね」











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  1. 2017/05/19(金) 06:46:34|
  2. ミステリー
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迷路11

 下位だが朝刊にライブによるネット証券会社が買い取られたとある。それでも株の購入資金で200億がかかっている。今のライブにそんな力はないはずだ。それでパソコンでこの記事を探す。一番詳しいのは証券新聞だ。その目の前に湯気を上げたコーヒーが置かれる。
「水野か?」
「寂しいだろうと思ってコーヒーを入れてきた」
「お前へべれけで大変だったんだぞ」
「ホテルに連れ込んでもらえるように頑張ったんだから」
と言いながら新聞を広げて机に置く。ネット証券会社の組織図が乗せられている。
「畠山が取締役?」
 完全にライブの会長の駒になったわけだ。この会社の買収はほとんど現場の人間には知らされていなかったようだ。会長がエヌをあきらめるきっかけは未公開株の払い戻し時期だろう。この辺りから今の会社を手にするのは不可能だ。
『今日買収されたネット証券会社の買収事情を調べてくれ』
 神部にメールを送る。反応するようにアゲのメールが続く。
『畠山のスマホの中にここ20日のうちに何度も今日買収されたネット証券会社のホームページにアクセスしているのは異常だよ』
『いつからだ?』
『車にぶつけられた辺りからよ』
「凄いえっちな!妹さん?」
 水野が声を上げる。アゲの写真は毎回ヒートアップしている。もう下も丸見えだ。
「いやハカーの娘だ。手ごわい君のライバルだよ」
「一度妹さんに合わせてください」
「会わない方がいいと思うけど」


 










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  1. 2017/05/18(木) 06:43:47|
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迷路10

「憂鬱そうね課長?」
「エヌの方はどうなのだ?」
 ようやく杖を突かなくて歩けるようになった。だがびっこだが。
「憑き物が取れたようで私はよかったと思う。いい会社だからじっくり伸ばせばいいのよ」
 今回でエヌの副幹事に戻ったことで、水野は元の上場室にカムバックだ。ということは調査室は私一人になる。
「晩飯付き合わないか?」
「珍しいね。可愛い妹さんは?」
「あいつは寝てから帰ってくる」
 タクシーを捕まえると昔のエリと暮らしたマンションの近くのスナックに向かった。
「久しぶり!」
 髭のマスターが手を上げる。エリは料理をしないので夜にはたびたびこの店に寄っていた。
「エリはあれから?」
「来たことがないよ」
 窓際の馴染みの席に座って赤ワインをボトルで頼む。水野は珍しくぐいぐいと飲む。
「エリがここに私以外の男性を連れてきたことは?」
 料理を運んできたマスターが、
「今の話だが、ここに連れてきた男性はいない。だが何度かこの前に白いベンツが止まってエリさんが乗り込んだことがある。あれはやくざが乗るベンツだな」
 そんな付き合いがあったのか?
「なぜ前の彼女がそんなに気になるの?」
 とろんとした水野が吠える。
「実はエリの子供はライブの会長でも専務でも私でもなかった。誰なのだろう?それが気になって仕方がないのだ」
 どうしてやくざが出てくる?
「私は妹さんがライバルよ」







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  1. 2017/05/17(水) 06:30:13|
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迷路9

 エヌの発売予想株価が未公開株の買戻しで大きく下がった。だが公表した未公開株の解説で辛うじて上場は維持した。元の主幹事が副幹事で戻ったこともある。畠山はその記事が出た日に自己都合退社していった。エヌの上場は専務が直接担当した。
 急にヒロが連絡を入れてきて会うことになった。
「どうした急いで?」
「大変なことよ!」
 封筒を開けて検査表を見せる。DNAの結果だ。
「これはどういうことだ?子供は専務ともライブの会長とも私とも父親ではないということか?」
「ついでに畠山も調べてみた。でも誰でもない。でもエリは父親を会長だと言っている」
「だが」
「他に男関係はないよ」
 私は無意識に神部にメールを入れている。
『あのエリの調査だが、男関係をもう一度見直ししてくれないか?DNAを調べたが会長とも誰とも一致しないのだ』
「エリと暮らして何も気づかなかった?」
「何か心に突き刺さるな」
「嫉妬して言ってるのじゃないよ」
「エリはピルを使っていた。私にはまだ子供が産みたくないと言っていた」
「なのに子供ができた?」
「ということは産む気になったのか?」
「そういうタイプじゃないように思う」
 自己問答のようになる。
「本当に好きな人がいて意志をもって産もうと思ったというのか?つまりずっと愛し合っていた男がいた」
「そう」
「そう言えばまったくスマホを切っていることがよくあった」
『しばらくエリを見張ってくれないか?例の男と会うはずだ』








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  1. 2017/05/16(火) 07:00:28|
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迷路8

 専務が社長に連絡してエヌの未公開株の監査に元の主幹事証券会社を受け入れると発表した。畠山は謹慎処分を受けた。それで私と水野が調査に派遣されることとなった。それで古巣の上場室に杖をつきながら課長の椅子に座る。すぐに社長に呼び出される。
「舞い戻った感想は?」
「外人部隊ですね。冷たい目で見られていますよ」
「で次はどうする?」
「未公開株の資金の流れを不透明として払い戻しをお願いします。でもエヌは会社としては問題がないので上場は続行します。意見書はすでにこしらえています。これは公開しようと思っています」
「分かったすぐに段取りをするが、ライブは黙っていないどろう?」
「専務の拉致もそうです。でもそれだけ資金的にはタイトと言えます。ここは頑張りです」
 社長室を出ると総務室の応接室に入る。
「久しぶりだな」
 椅子の背にもたれて目をつむっている畠山に声をかける。立場が入れ替わったことになる。
「専務は救い出した」
「そうか」
「私を嵌めたのは誰からの誘いだ?」
「・・・」
 私は初めは専務だと思っていたが専務は誘っていないと言っている。
「エリか?」
「・・・」
 表情はイエスと取れる。ライブの会長も不可解な人物だが、エリも増して不可解だ。私は全く理解できない女と結婚するところだった。エリの子供は自分の子だと信じていた。今思うに畠山はエリに心を寄せていたのだ。そこをうまく利用したのだ。
「ライブと手を切れよ。あの会社は怖い会社だ」
「もう戻れない」









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  1. 2017/05/15(月) 06:54:30|
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迷路7

 専務は相当腹を蹴られていたようで紫色に浮腫んでいる。ワゴンで馴染みの病院に担ぎ込む。
「畠山の指示で?」
「いや、ライブの会長が彼らに指示していた。畠山は私を連れてきただけだ。きっとSで私と会長が話し合いをしたと思っている。畠山は会長の本当の姿を知らない」
「本当の姿?」
「彼は大学時代から詐欺システムを作っていた。私はやはりよく似た株のシステムをしていて知り合ったのだ。かなり悪いことをした。そこから今の流れになっているが、ベースは変わらない。私はどちらかというと怖くなって離れた方だ。裏では今でもやくざと手が切れないでいる」
「やくざ?」
「資金がライブから流れている。アルファベットの会社はすべてやくざと繋がっている。ここをばらすと命はないと脅された」
 専務が隠していたところはここだったのだ。
「私は株屋でやっていきたい。だから戻るのは拒否した。それで彼らに蹴られていたのだ」
「会長は?」
「彼は現場には来ない」
「これからどうしますか?」
「ライブとは縁を切る。だが彼の過去は話さない。だが君が調べるのは自由だ」
 私は後ろに立っている神部を見た。神部はすぐに調査を始めるだろう。
「畠山はどうするだろうか?」
「彼はすでに足を踏み込みすぎている。おそらく会長はこの証券会社のグループ化は諦めるだろう。だがエヌが終わるまでは生かしておくだろう」
 専務は疲れて眠ってしまった。それで神部は一人を置いて私と外に出た。
「これは思ったより根が深いですよ」
「アルファベットの会社を社長に調べてもらう」
 どうも私の手には負えない。








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  1. 2017/05/13(土) 06:31:59|
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迷路6

 新橋のSの入ったビルの近く駐車場にワゴン車を止めてもう5時間が過ぎた。神部のほかに女性と男性が乗っている。この二人はそれぞれ車の外に出ている。Sの窓はまだ灯りがついている。だがそれぞれの金融の店はシャッターが下りている。逆に風俗の店が慌ただしくなっている。
『今Sの女社長と社員が3人降りてきました。だが取り立て屋たちは残っているようです』
 女性の声が聞こえてくる。
『畠山の位置情報が新橋に向かっている。車だと思うわ。専務の位置は動いてない』
 アゲのメールが入ってくる。
「畠山を捕まえようか?」
「うまくいくか?」
「おそらく一人で運転してきてここの駐車場に停めるはずです」
 神部がすぐに2人を呼び戻す。耳打ちをして外に出る。外はいつの間にか真っ暗になっている。15分ほどして予想通り畠山の運転する車が入ってきた。ここは繁華街のはずれで思ったより暗い。神部と男が車の両サイドに蹲っている。女性が出てきた畠山にぶつかる。ほとんど同時に男たちが白いハンカチで畠山の口を押えてワゴンに運び組む。
 畠山は麻酔をかかせれて意識を失っている。
「起こして脅すのは無理だろう。きっと彼のことだから取り立て屋と連絡しているはずだ」
 私は背広のポケットから彼のスマホを取り出して、一番近い発信先のメールを打ち込む。
『今から証券会社の社員を部屋に向かわせるから引き渡すように』
 神部がスーツ姿の部下をビルに向かわせる。彼は後ろから他人のようについていく。これは賭けだ。
『専務が動いたけどいいの?』
 神部と部下の男が専務を抱えて玄関から出てくる。
「かなり痛めつけられていたようだよ」
 ワゴンに入っても呻いている。
「畠山は放り出してくれ」









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  1. 2017/05/13(土) 06:30:56|
  2. ミステリー
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迷路5

「今いいか?」
「顧問、いえ社長どうしてこちらに?」
 水野はエヌの社長のところに出ていて、私が一人杖を置いてパソコンで次の原稿を書いている。
「昨日から専務が連絡が取れない。それでエヌの未公開株についての回答が書けないでいる。それだけではなく畠山君が代行を依頼されたと上場チームを統括している」
 万が一を考えてアゲに専務のスマホの位置確認ができるようにしている。私を襲うなら造反をした専務を襲うこともあり得る。それに専務もまだすべてをこちらに明らかにしていない。部分的連携だ。素早くアゲにメールを入れる。
「昨夜はどこに?」
「『梨花』にいつものように行ったと思いますが?」
『ヒロ、専務は昨夜来たか?帰りは?行方不明なんだ』
『そうね。8時に来ていて、10時半に畠山が来て出ていったわ』
「どうも畠山が連れ出したようです」
「奴か」
 社長も畠山には注意している。
「取りあえず専務はこちらで探しますが、畠山に代行をさせないでください」
『アゲよ!畠山と専務は昨夜同じ位置を動いていたよ』
『専務の位置は分かるか?』
『新橋のあのSのビルよ』
 すぐに神部のスマホを呼び出す。
『専務の救出に車を出してください。私を積んでSに向かってください』
 いつの間にか目の前の社長は消えている。






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  1. 2017/05/12(金) 06:55:19|
  2. ミステリー
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迷路4

『エリのママは男の子を生んだようよ』
 ヒロのメールが流れてきた。
『明日東京に戻って来るので迎えに。その時に子供のDNAを採っておくわ。雄介は心配でしょうからね。万が一自分の子供ではないのかと』
 確かに万が一は気になる。
『それと大発見がある!あのSの女社長を大御所のホステスに見せたの。この人は昔ライブの会長が来ていた銀座のクラブにいたホステスで、エリの前の彼女だったようだわ』
「アゲからですか?」
 水野が覗く。
「それより未公開株の件の進展は?」
「エヌに上場に不適切だとこちらの証券会社から報告書を出しました。エヌの社長はそれを主幹事の専務に出しています。それとライブ寄りの上場担当部長を他部署に移籍しました」
『Sの書面調査が送られてきました』
 神部からの添付メールだ。
 Sは8年前に消費者金融をM&Aをして今の社長になったのは4年前からだ。ここから傘下の会社が上場ラッシュをしており、直近では100億ほどの融資をしている。融資先の大手は『梨花』へのものだ。後はあのアルファベットの会社名があり他は個人とある。
『Sに張り込みをさせましたが、畠山が1度訪ねてきています。写真も撮っておきました』
 専務の言うには畠山の抜擢はエリの推薦によるものだと言っている。エリと畠山がどこで結びつくのか。







 
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  1. 2017/05/11(木) 06:30:41|
  2. ミステリー
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迷路3

 さすがにスーパーチームを持っている。迷路の中で新しい光が見えた。
「悪いな運転をさせて」
「いやひさしぶりのワクワクする事件ですからね」
 ワゴンを神部が運転する。後ろに助手が乗っている。
「このSは新橋の雑居ビルにありますね。助手にマイクロカメラつけて潜入させます」
 車を停めると、助手は商店主の格好で車を降りる。1階からピンサロが続き5階から貸金業が続く。Sは最上階の9階にある。助手は9階で降りるとドアを開ける。カウンターもなく事務机が並んでいて3名がパソコンをしている。
「どちらの紹介ですか?」
 30歳過ぎのホステスのような女が社長室から出てくる。
「お金を借りに」
「ここは一般の貸し付けはしません。借入なら下の階にどうぞ」
「ここに金融の看板があるじゃないか!社長に会わせてくれや」
 助手ががんばる。
「私が社長です」
と言うと同時に隣の部屋からサングラスをかけた男たちが出てくる。
「取り立て屋のようですね」
 神部が引き下がれと言っている。助手は腕をつかまれ大人しく追い出される。
「この男たちの顔をアップしてくれ」
 この中に車をぶつけてきた助手席の男に似ている。顔に切り傷があった。
「ある!」
ということはやはり畠山は単独で動いたのではなくライブの会長の指示だ。
「もっと調査を頼みます」
 ライブには表の顔と裏の顔があるのだ。畠山はそこまで会長に取り入ったのだろうか。





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  1. 2017/05/10(水) 06:43:04|
  2. ミステリー
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迷路2

「社長室に入ってください」
 社長秘書がノックをして声をかけてくる。水野は朝からエヌ社長に上場チーム部長を連れて会いに出かけてた。未公開株の調査を依頼したのだ。これに対して現在主幹事の専務も了解した。これは出来レースだ。私はようやくタクシーに乗って杖をついての出社だ。
 社長室の円テーブルに年配の客が7名並んでいる。私は杖を置いてその端にかける。テーブルには座っている人たちのために肩書を書いてある。テレビ局の社長に銀行の副頭取と大物がそろっている。
「ライブのグループを調査した最新の組織図です」
 社長がパソコンで映し出したホワイトボードに指をさす。ライブに上場会社が3社に証券会社、ネット銀行と7社がつながっている。エヌも赤い色で入っている。ライブのところから矢印が出ていて横文字の会社がアルファベットで4社並んでいる。
「どうも資金は一度アルファベットの会社に潜ってライブに戻ってきているようだ」
「未公開株のお金もですか?」
「そうだ。このSという会社があの君のリストのホステスたちに貸し付けをしていて回収している」
「そこが一番グレイだな」
 この人はネームプレートに何も書いていない。
「そのSの資料をいただけませんか?」
「また入院することになるぞ」
「まずSを攻めよう。兵頭君に後でSの資料を出そう。だがこれは地検の資料だから誰にも見せるな」
 どうもとてつもないグループがライブを狙っている。









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  1. 2017/05/09(火) 06:45:25|
  2. ミステリー
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迷路1

 病院暮らしも1週間になると退屈で仕方がない。杖を突いて隣の喫茶店に入りびたりだ。水野が一日には1回必ず訪ねてくる。
「エヌの上場は今混乱しています。主幹事の中で専務と副社長の意見が対立して」
「そうだろうな。顧問いや社長は?」
「今日から正式に社長室に入られました。メイン銀行の承諾をとるのに手こずりました」
「ライブも今更体制を変えられては大変だろう。エヌの社長は?」
「今日にも例の未公開株の内容に不服だという予定です」
 だが問題は未公開株の金の流れが解明できていない。これはもう3か月も調査を続けているが見えない。専務もここは絡んでいない。
『畠山のスマホに入ったよ。これで畠山の位置情報を吸い取った。あの時間にあの角にいた。それと通話記録の中に怪しい電話番号を見つけたよ。調べてみるよ』
 アゲからだ。
『助かる。エリのパソコンは時間がかかるのか?』
『退院するまで待って。凄い先輩が侵入やっているから』
『頼りにしている』
「そのメール妹さんから?」
「いや調査を頼んでいる会社からだよ。畠山の証拠が見つかったよ」
「それはアゲさん?」
「ヒロから聞いていた?」
「ええ、嫌な奴と。結構あの日話をしたんです。でも妹さんの目恋人の目をしているような」






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  1. 2017/05/08(月) 06:48:02|
  2. ミステリー
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野望11

 朝刊に証券会社に元会長復帰と出る。これも新聞社に段取りしていたのだ。合わせて週刊誌ではエヌの社長の強姦未遂の記事が出た。だが今回は敢えて警察の届けをしなかった。これは専務を巻き込まないようにするためだ。彼にはまだしてもらわないとダメな仕事が残っている。
 顧問が部屋の机を整理している。
「これから2人になるが頼むよ」
 水野が買っていた花束を渡す。それから急いでエヌに出かける。次の作戦に入る。いつものように玄関を出て裏道を抜けて駐車場に向かう。水野が鞄を抱えて後ろからついてくる。あれっと通りの角を見る。なぜ畠山がここにいる?
「課長!」
 水野の声で後ろを振り返る。路肩に止まっていた黒い車がもうスピードで走ってくる。ガツン!という音と同時に視界が消える。
「雄介!」
 泣きべそをかいたヒロの顔がある。その後ろに頭に包帯を巻いた水野が座っている。
「どうなった?」
「右足と右手が折れている。背骨もずれているのよ」
「課長、エヌの社長には私が一人で出かけました。心配されておりました」
「しばらくスマホでやるしかないか。これは畠山の反撃だ。あの瞬間に奴を見たのだ」
「警察は駐車場の防犯カメラを見て故意に撥ねたとみているわ」
『ひかれた現場の前方の角を映すカメラを探してくれ。畠山が写っているはずだ』
 神部にメールを送る。
『大丈夫!!』
 アゲからだ。
『心配ない』
『畠山のパソコンの中を見てくれ。スマホにも入れるか?』
『分かった』








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  1. 2017/05/07(日) 06:56:24|
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野望10

 私は顧問を乗せて古巣の証券会社のガレージに車を停めた。入口に畠山の顔が見える。私は鞄を抱えて隣のコーヒーショップに入る。顧問が盗聴テープを持ち込んでいる。今日はいよいよ臨時の役員会だ。私はイヤホンをはさんでスマホを開く。
『おはよー!』
 何と全裸のアゲだ。
『社長から調査のレベルを上げる了解をとった。エリのパソコンは私の力では無理なの。その代り例のエヌの社長の写真を抜き取ってウイルスで写らないようにしたよ』
 これはダメもとでお願いしたのだ。畠山の脅しの材料に使えないようにするためだ。カメラは専務に彼の机から奪っている。
 いよいよ議長から社長の選出の動議が出た。私は手を止めて聞き入る。ここで専務が造反すればすべてが終わる。この席には顧問は発言権がなく座っている。
「副社長の社長就任が妥当だと思いますが?」
「いえ、私はこの緊急時に再び元会長の社長就任を提案します」
 これは常務の調査部長の声だ。
「何を言うのだ」
「いや私も社長の登板を支持する」
 専務が予定通りの行動に出た。ひとしきりざわめいて顧問が社長に選ばれた。顧問の挨拶の声がする。
「予定通り顧問が復帰する」
「分かった」
 サングラスの女記者の声だ。すでに原稿は渡している。
 この記事の中にエヌ社長の強姦未遂が証券会社の上場責任者のHだと明記した。未遂としたのはエヌ社長を気遣ってだ。もはや写真は畠山の手にはない。脅しの材料ではなくなった。今度はエヌ社長に逆にこれを材料にしてもらう予定だ。
「エヌの社長と記者とをセットしてくれ。畠山に主幹事証券の交代を脅迫されたと話してもらうんだ」
「話はできているわ」
 水野の声が弾んでいる。





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  1. 2017/05/05(金) 06:50:41|
  2. ミステリー
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野望9

 朝珍しく正一社長からメールが入った。
『アゲの依頼でそちらのエリのパソコンへの侵入をしているが、どうもこれはライブの会長の指示で特別なセキュリーティが掛けられている。少し料金が上がるがいいか?それとアゲが君に対して妄想の恋をしている。注意してくれよ』
「でしょ?」
 布団の中から裸のヒロが顔を出してくる。日曜日はこうして布団の中で二人でごろごろしている。
 夜のうちにもう1通メールが入っている。
『遅れていましたが、エリの履歴を送ります。この中で興味のある情報を調べてみました。実はライブは初期のころから共同経営だったのです・・・』
 これは初めての情報だ。ヒロが布団にもぐりこんで私のものを咥えている。
『・・・エリが入社したころはライブの会長の下に共同代表の社長がいました。実は奥さんは彼と結婚する予定だったようです。技術畑の彼と株操作の好きな会長と度々衝突を繰り返していました。それがその彼がエリに手を出して奥さんと別れる原因になったのです。でも当時の社員に聞いてみると、エリが誘ってわざと二人でベットで写っている写真を流したというのです』
 エリならあり得る。
『・・・その後社長は毒を飲んで自殺をしているのです。これは今回の秘書の自殺をイメージします』
 やはり繰り返されたいるわけだ。
 もう耐えれなくなってヒロを抱き上げて両足を抱えて差し込む。昨夜の続きだ。
「久しぶりに焼肉を食べに行こう」
「その後新宿に行かない?ニュハーフのママを紹介するよ」
「帰らなくていいのか?」
「日曜日の夜はショーに出るようにしたの」









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  1. 2017/05/04(木) 06:54:48|
  2. ミステリー
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野望8

 今朝の新聞にライブ会長の写真が一面に出ている。ネット銀行の大手の株を買い占めたのだ。テレビ局に目が向けられている裏をかいたようだ。その中で次は証券会社を狙っていると堂々と言ってのけた。私は水野と丸一日かけてエヌの上場の現状を社長からもらったUSBで調べた。
 それでチェリーに連絡して夜に専務と『梨花』で会う段取りをしてもらった。着いたのは9時を回っている。舞台でチェリーのショーが始まったばかりだ。何と可愛い女だろう。いつも横に寝ているヒロとは別人のようだ。専務も見とれている。
「忙しいところ無理を言って」
「いやいつもここで彼女のショーを見ている」
「社長選出の役員会はいつ開かれますか?」
「来週には」
「エヌ社長とも話ができました。あの夜専務が寝られてから畠山が一人で襲ってきたことに」
「よく彼女が了解したな?」
「その代りエヌをライブの餌食にしない約束をしました。協力をお願いします」
「私は女性に興味などないのだよ」
「でもチェリーは別ですか?」
「あれは天女だ」
 チェリーがボックスに戻ってくる。専務が抱きかかえるように迎える。ちょっと妬ける。
「エヌだが社長の了解が取れるなら最終の内部審査で未公開株を弾き飛ばすことができる。その代りそちらの証券会社に出戻りを願うことになるができるか?」
「さっそく内部で図りますよ」
 ようやく専務も腹をくくったようだ。







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  1. 2017/05/03(水) 06:24:28|
  2. ミステリー
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野望7

「専務って信じれるのかしら?」
「信じるしか手がないのだ。専務だけを突き落してライブの会長を攻められないなら敗北だ」
 水野とタクシーに乗ってエヌの社長の自宅マンションに向かっている。エヌの社長はあの週刊誌の記事について聞きたがっているということだ。水野曰くは彼女があの日の事件を話すのは難しいと言う。
 マンションのボタンを押すと部屋まで来てくださいと社長の声がする。彼女はまだ独身で独り住まいをしていると聞いている。ドアを押すとジャージ姿の彼女が出てきた。紅茶が入っていてかなりリラックスしているようにも取れる。
「あの記事は兵頭さんが提供したと聞きましたが?」
「ええそうです」
「画像を見せていただけます?」
「いいですか?」
「ええ、上場をする時女を捨てました。それなのに脅しに屈服した自分が悲しいのです」
 私は持っていたスマホを開く。
「これだけですか?」
「5枚がありもっと強烈なのもありました」
「どこから?」
「畠山のパソコンの中です」
「私はどうしたら?」
「まず畠山から落とします。でもライブの会長にたどり着くためです」
「でもあの場に会長はいませんでした」
「専務が会長が指示してきた録音をとっています」
「専務と組んだわけですね?」
「専務を許すのは?」
「それはどうでもいいのです。でもこの事実を表にしても私の上場は汚されたまま」
「映像を週刊誌に出す気はありませんし、上場もしっかり守ってと考えています」
「これからは水野さんを通じて連絡お願いします」








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  1. 2017/05/02(火) 06:46:18|
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野望6

 第3弾の記事が出た。ライブの秘書の他殺説に具体的にホテルの廊下に写っている後姿の女の写真を載せた。これは会長でもエリでもどきりとする写真だ。同様にエヌの社長がライブの会長の別荘に拉致されたとも載せた。かなりギリギリの攻めだ。警察から記事に対する問い合わせがあったぐらいだ。
 今日は顧問と専務に秘密裏に会うことになった。ホテルの会食だが私たちは名を明かすことなくエレベターからそっと部屋に入った。表向き専務はチェリーを会食に呼んでいる。チェリーは私たちが部屋に入るとそっと外に出た。
「やはり顧問と組んでいたのか?」
 専務が煙草をイライラもみ消す。
「確かに今社長への昇進の約束を反古にされ副社長が来た。あのエヌの社長とのこともただ会長の別荘に呼ぶだけの話だった。だが急に写真を撮るようにと指示があった」
「指示はあったわけですね?」
「私も馬鹿じゃない。携帯の録音をとっている」
「私を次期社長に推薦できるか?」
 私は顧問の顔を見た。
「見返りは?」
「専務の位置を守る。だが役員はライブの力が強いが?」
「私の方で2人は抑えれる。だがライブを葬れるか?」
「専務が組んでくれたら可能です」
 その時神部からメールが入る。
『エレベターの前に畠山が潜んでいます』
 私はそっと専務の前にスマホを出す。
「畠山が会長に回ったな。よし分かったこれから何かあればチェリーから伝える」
 専務は顧問と握手を交わすとチェリーを呼んで腕を組んで出ていく。





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  1. 2017/05/01(月) 06:23:42|
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プロフィール

yumebito86866

Author:yumebito86866
夢人です。これは『空白』に繋がる作品ですが、これは段ボール箱の住人ではありません。今回書下ろしで書き始めました。ここに登場する人物はみなどこかで触れあった人物ばかりです。そして知った事実がこの小説を書かせました。

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