迷い道

結婚相手から罠をかけられた。奈落に落ちてヒロにあった。ヒロは見違えるようないい女になっていた。再び舞台に戻り捨てられた謎に迫る。


野望10

 私は顧問を乗せて古巣の証券会社のガレージに車を停めた。入口に畠山の顔が見える。私は鞄を抱えて隣のコーヒーショップに入る。顧問が盗聴テープを持ち込んでいる。今日はいよいよ臨時の役員会だ。私はイヤホンをはさんでスマホを開く。
『おはよー!』
 何と全裸のアゲだ。
『社長から調査のレベルを上げる了解をとった。エリのパソコンは私の力では無理なの。その代り例のエヌの社長の写真を抜き取ってウイルスで写らないようにしたよ』
 これはダメもとでお願いしたのだ。畠山の脅しの材料に使えないようにするためだ。カメラは専務に彼の机から奪っている。
 いよいよ議長から社長の選出の動議が出た。私は手を止めて聞き入る。ここで専務が造反すればすべてが終わる。この席には顧問は発言権がなく座っている。
「副社長の社長就任が妥当だと思いますが?」
「いえ、私はこの緊急時に再び元会長の社長就任を提案します」
 これは常務の調査部長の声だ。
「何を言うのだ」
「いや私も社長の登板を支持する」
 専務が予定通りの行動に出た。ひとしきりざわめいて顧問が社長に選ばれた。顧問の挨拶の声がする。
「予定通り顧問が復帰する」
「分かった」
 サングラスの女記者の声だ。すでに原稿は渡している。
 この記事の中にエヌ社長の強姦未遂が証券会社の上場責任者のHだと明記した。未遂としたのはエヌ社長を気遣ってだ。もはや写真は畠山の手にはない。脅しの材料ではなくなった。今度はエヌ社長に逆にこれを材料にしてもらう予定だ。
「エヌの社長と記者とをセットしてくれ。畠山に主幹事証券の交代を脅迫されたと話してもらうんだ」
「話はできているわ」
 水野の声が弾んでいる。





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テーマ : ミステリ    ジャンル : 小説・文学
  1. 2017/05/05(金) 06:50:41|
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yumebito86866

Author:yumebito86866
夢人です。これは『空白』に繋がる作品ですが、これは段ボール箱の住人ではありません。今回書下ろしで書き始めました。ここに登場する人物はみなどこかで触れあった人物ばかりです。そして知った事実がこの小説を書かせました。

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