迷い道

結婚相手から罠をかけられた。奈落に落ちてヒロにあった。ヒロは見違えるようないい女になっていた。再び舞台に戻り捨てられた謎に迫る。


分裂7

 アゲがホテルに入るとマスクを外した。ヒロは風呂に入ろうと湯を入れている。これでは姉妹ちゃんぽんだ。アゲはもう裸になって私の服を脱がせている。
「3人でやりたい」
「目が見れないのじゃないのか?」
「不思議にこの二人は別なの」
「中でビール飲まない?」
 ヒロが素裸になってシャワールームから出てくる。こいつらはエロの塊だ。
「凄い!ヒロの反り立っている」
 アゲがくっつくように見ている。
「舐めてみてもいい?」
「いいよ」
「アゲのを兄さんに広げて見せてあげてよ」
とヒロがお尻を持ち上げて股を広げる。
「私アゲの写真見て燃えたよ」
「うれしい!」
「兄さんも立派に立ってるよ。そのまま入れてあげて」
 これはいけない。ほとんど中毒になりそうだ。ヒロはいつの間にかアクロバットのように床に寝たままアゲを持ち上げている。私のものはすっかりアゲの膣の中に入っている。
「アゲ後ろに入れたげる」
 これは2つ穴だ。
「気が狂いそう!」
「アゲ外の世界は楽しいよ。早く出て来いよ」
 ヒロはアゲを妹のように可愛がっている。
「3人で暮らさない?」







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テーマ : ミステリ    ジャンル : 小説・文学
  1. 2017/06/30(金) 07:11:11|
  2. ミステリー
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分裂6

「あれ!雄介も一緒?」
 チェリーが迎えに出てくる。
「アゲと出来たのか?」
 耳元で囁く。アゲがやはりマスクをして緊張状態だ。チェリーも口座を持ったようでサブを入れている。エリが珍しく早く出てきているようでチェリーのボックスに座る。
「この子は?」
「兵頭さんの妹さんです」
 チェリーが顔色も変えずに答える。アゲが嬉しそうに目が笑っている。
「年が離れているのね、初めて会ったわ。ところで西崎に会ったのね?」
「ああ」
「どこまでも復讐をする気?」
「いや、復讐ではなく真相を明らかにしたい」
「一度時間を作ってください。別のところで話がしたい」
 チェリーの目が光っている。アゲは拳を握り締めている。
「やはり会長と組むのか?」
「あの人もダメな人よ。身内に裏切られるのだから」
 どうもエリが会長を支配しているのかもしれない。
「君はそこまで貪欲な女だったのか?」
「そういう女になったのよ」
と言うなりボックスを離れた。
「私今の人怖い!」
 アゲがチェリーに抱き付く。
「ショーに出たら一緒に出ましょう」







テーマ : ミステリ    ジャンル : 小説・文学
  1. 2017/06/29(木) 07:33:31|
  2. ミステリー
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分裂5

『畠山が生きているよ!』
 アゲからメールが入った。今日は久しぶりに古巣の証券会社の社長室にいる。社長は息子の後再び返り咲いたのだ。もうすっかり現役の顔になっている。
「どうだ一段落が済んだと聞いているが?」
「社長はそう考えていますがまだこれからです」
「とは言っても?」
「存在価値が薄れてきてますね。今までのようには金を使えないですからね」
「それで相談だが戻ってこないか?上場チームの室長をお願いしたいのだよ」
「専務がおられるでしょう?」
「いや、実は辞表預かっている。早見社長との話でネット証券の社長に就任する」
 やはり専務は早見社長と繋がっていた。
「これは君ところの社長とも話したが、例のライブの売買益2億を裏金として君に進呈するそうだ」
「しばらく考えさせてください」
 社長は立ち上がると上場チームの極秘ファイルを渡す。
『私が撒き続けていた裸付のメールに畠山が食いついたの。今タイにいる』
 畠山が生きていた。極秘ファイルを鞄に入れて外に出る。夕暮れている街はなんだか物悲しい。
『帰りに食事しないか?』
『ヒロに店に呼ばれているの。一緒に行かない?』
『ああ、迎えに行く』
 だが心の片隅で不安な気が起こる。









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  1. 2017/06/28(水) 06:04:55|
  2. ミステリー
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分裂4

 新生ライブはまだまだ先は多難だ。ライブの渡辺元会長が自らの退任を含めて取締役会決議無効訴訟を起こした。合わせ反落していた株価がじりじりと上がってきている。
「水野ライブの購入先を調べてくれ」
と言うと早めに会社を出る。早見社長から西崎に会ってほしいと依頼を受けたのだ。西崎はNも含めてキーマンの一人だ。この騒動の中で彼の名は上がっていない。Nは朽谷が兼務している。彼はライブのどこにも席がない。
 9時に横浜のクラブに入る。聞いていたのか岬が相変わらずエロいドレスでエスコートしてくれる。ボックスにはまだ西崎は来ていない。カウンターに吉井組長と西崎が並んでいる。組長の目がこちらを見る。ゆっくりと西崎が立ち上がる。
「岬の彼氏なんだな」
 抱いたことあるよと言う顔をしている。
「早見社長から協力関係をと言われているが、知ってのとおり前科があり裏の人間に徹している。Nを中心に整理を言われている。今の状態ではNを中心に警察の餌食になる」
「旧ライブのNは攻撃対象だったが、私の興味はもう薄れている。おそらくNは朽谷さんがかなり大胆な整理をしたようですね」
「もうすぐ手放すことになる。それでNごと離れることになる」
「吉井組長の元に入る?」
「そうなるな」
 岬はカウンターの組長の横に座っている。
「エリはどいう立場になります?」
「心は吉井組長にあるが欲望はライブの会長の渡辺にある。難しい女だ」
「会長はNを手ばなさないのでは?」
「そうだ。でも現場は知らないさ。お金のパイプが止まった。だが戦争だな」
 岬がコートを着て現れて会談は終了だ。岬は早足でホテルに入るとコートを脱ぐと素裸でお尻を突き出す。穴に押し込むとぬるりと入る。
「バイブで練習してきた」
 何という女刑事だ。







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  1. 2017/06/27(火) 06:03:10|
  2. ミステリー
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分裂3

 神部の事務所に朝から呼ばれた。ドアを押すと神部が包帯を巻いて座っている。マスクをかけたアゲがコーヒーを入れてくれる。目が緊張している。やはりまだ人と顔を合わせるのは厳しいようだ。抱かれるときのあのようなとろんとした目ではない。それでもパテントの中に入らず私の横に座る。
「どうしたんだ?」
「張り込みをしてたのですが、後ろから殴られてカメラは壊されるし、二人のところを収めていたんですがね。どうもやくざがエリのボディガードをしていたようです」
「吉井組長が出したのだろうな」
「二人は消えたのです」
「会長は東京の虎の門に。エリは横浜に別々に戻っているわ」
 アゲが説明する。
「それで社員をそこに向かわせています」
 スマホが鳴って神部が頷いている。
「エリは吉井組の事務所にいるそうです」
「いよいよ兄の吉井組長の登場だな。会長はどこに行ったのかな?」
『会長が虎の門にいると言う情報がありますが心当たりは?』
「別の調査会社を使って?」
「いや会長の奥さんだった早見社長です。彼女とはギブ&テイクの関係を結んだ」
『虎の門と言えば外資系の投資会社ですね。詳しい資料は添付するわ』
「この会社を調べて」
 神部が虎の門にいる社員にスマホを打っている。
『ヒロはチェリーとして『梨花』のホステスしてるの?』
 隣に座っているアゲがメールしている。
『どうしてわかった?』
『ヒロがランチを奢ってくれた』
『まさか!?』
『ヒロは私が目を見れる2人目』






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  1. 2017/06/26(月) 05:34:40|
  2. ミステリー
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分裂2

 ライブの会議室には新聞記者、雑誌記者、証券会社、銀行等が集まった。女記者は最前列にカメラマンを置いて陣取っている。私は最後列に水野と並んで座る。広報の担当者がマイクの準備をしている。約束の時間きっかりにグレイのスーツ姿の会長の奥さんが現れる。
「実はライブの開発は彼女がしてきたのだ」
「会長は?」
「裏工作専門だよ」
 水野の耳元で囁く。
「先ほどライブの取締役会を開きました。会長は解任、以下2名の取締役も同様です」
 広報が用意していた新取締役の経歴書を配る。奥さんが社長でメイン銀行から役員を入れている。それに朽谷が常務に並んでいる。相当前から奥さんは用意周到に準備していたのだ。
「続いて早急にグループ会社の役員も入れ替えるつもりです。それと私は主人と離婚し、早見に戻ります」
 1時間ばかりの説明を終えると新聞記者たちは走り出して外に出た。
「少しコーヒーをいかがですか?」
 早見社長が立っている。隣の社長室に招き入れる。水野は不思議そうについてくる。
「やはりすでに綿密に計画されていたのですね?」
「いえ張りぼてです」
「会長は同意されているのですか?」
「奇襲作戦です。これしか生き残る方法が見えなかったのです。だからこれからが闘いです。主人はきっと今エリさんと会っているはずです」
「西崎さんは?」
「彼は唯一裏の会社を整理できます」
「私に何ができます?」
「あなたはエリさんを追い詰めることができる唯一の人だわ」
「組める範囲で組みますよ」



 





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  1. 2017/06/25(日) 06:46:57|
  2. ミステリー
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分裂1

 朝刊の1面にライブの改善命令が載り、追い打つように週刊誌がライブ倒産の危機を煽る記事が出た。株価は反落しグループ会社にも同様の陰りが出てきた。神部からの報告では会長は姿を消したと言う。第1調査課の応援部隊も帰り、部屋の中は今日の冬曇りのようにどこか肌寒い。
「次は何をするの?」
 水野がコーヒーを入れて新聞紙と週刊誌の山にため息をついている。
「社長はここは一応評価できる終点とみているが、私はここからが山だと思っている」
「どういう意味?」
「ライブの問題点は少しも片付いていないし、エリの問題はまさにこれからだ」
 私はある日不正で証券会社を追われ、結婚予定のエリに裏切られた。なぜ?それにはまだ回答が出されていない。そのために私はこの会社に来たのだ。
『会長とエリは熱海のホテルにいるよ。今社長が熱海のホテルを探し出した。昨夜から夫婦の偽名で泊まっている』
 アゲに二人の位置情報を追わせていたのだ。エリが必ず絡んでくると見たのだ。
『アゲ、ヒロのスマホに入ったな?』
『ごめんなさい。二人のセックス見たら毎日オナニーばかり』
 また指を入れている画像が流れてくる。
『ヒロと最近メールで話している。二人とも雄介が好きでエッチが好きだから』
「また妹?」
「妹は彼氏ができたようで家にも寄り付かない」
「へえ!寂しいね」
 割り込むようにメールが流れてくる。
『ライブの会長の奥さんが記者会見するよ。これから出てくる?』
 女記者のメールだ。
「これからライブの記者会見に出る。一緒に来るか?」
「ええ、行く」
 水野はもうコートを手にかける。






 
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  1. 2017/06/24(土) 06:07:39|
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秘密12

 証券監視委員会に社長と出席した。すでに書面は上げているので最終回答となるようだ。
「エヌだけでなく今までの株価操作は違法と言えます。上場廃止と言う意見もありましたが、これは多大の影響があり見合わせることとなりました。と言うことで改善命令を出します」
 委員長の言葉に社長が手を挙げる。
「改善とは?」
「ここに詳しい規定を載せていますが、端的にいうと体制の変更を求めると言うことです」
「ざっくりと言うと代表者の交代?」
「それも一つです。もちろんこの件では地検や国税はまた別な判断をするでしょうね」
「この命令はマスコミにも?」
「もちろん公表されます」
 私は聞きながらスマホを打っている。社長は納得して私を外に促す。
「例の週刊誌にもっと具体的な記事を載せるのだ」
「ええ、もう原稿は出来ています」
「ライブはどうすると思う?」
 長い廊下を歩きながら話し合う。
「恐らく改善案を提出してくると思います。会社が分裂するのではないかと。社長はどこまでライブを追い込むのですか?」
「証券界を掻き混ぜないでくれればいいのだ」
「分かりました」
 この時ライブの奥さんの顔が浮かんだ。
『ライブの株は売り抜けたぞ』
 専務からだ。
「社長、ライブの株は売り抜けたようです。買い込んだライブは暴落しますね」











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  1. 2017/06/23(金) 07:05:27|
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秘密11

 やはりな。
 神部を通じてDNAの調査書が送られてきた。吉井組長とエリと子供が繋がった。二人は恋人関係だ。この調査書に神部からの手紙が付いている。
『例の戸籍の件ですが、吉井組長とエリは血の繋がった兄妹です』
「どうしたの?」
 珍しくヒロが戻ってきている。
「兄妹でするってわくわくする。私は雄介が兄でもしたいよ。でも子供は怖い」
「怖いな」
「最近ママは子供の病気でよく店を休んでいる。それとアゲとやったのね?」
「・・・」
「あの子私のスマホに侵入しているよ。私と雄介の絡みの写真をコピペしていったよ」
「ヒロが男と分かったのか?」
「それは付いてるものね」
 知っているのにアゲは何の反応も起こしていない。
「それより西崎が厄介なのよ」
「サービスし過ぎたんじゃ?」
「毎日店に来て指名するだけじゃなくて、ホテルに誘うのよ。それで一度だけアナルを貸した」
「ばれたのじゃ?」
「それはないよ。でも私を抱くときエリのことを考えてるように思うの?ママと私似ている?」
 二人が似ている?これは今まで考えたことがない。
「そう言えばその目が似ているのかもな。ヒロを初めて抱いたときにふとそう思った」
『社長から監査報告を持って今日の10時に証券監視委員会に出るようにとのことです』
 水野からのメールだ。社長はいよいよ勝負する腹をくくったようだ。テレビ局では監査の結果機密費で秘書室長が退職している。
 















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  1. 2017/06/22(木) 06:08:52|
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秘密10

『ビルの下の喫茶店にいます』
 突然のライブの奥さんのメールだ。どうして私のアドレスを知ったのか?
 ビルを下りて喫茶店を覗くと、コーヒーを手に窓の外を眺めている。何度か週刊誌で彼女の顔を見ている。40歳だが5歳ほど若く見える。
「どうして?」
「私は開発者ですよ。あなたとんでもないセックスフレンドがいるのね?」
 アゲの写真も見られている。私のスマホに侵入している。
「今日は提案に来た。あなたもいろいろ調べているから前置きはしない。私と組まない?」
「どういうことですか?」
「今回の監査請求ではライブは持たないわ。私はずっと主人に反対してきた。エリと組んだ時からこの道は見えていた。近々に離婚するわ」
「朽谷さんと?」
「よく調べているのね?主人は自分が先導していると思っているけど、エリに操られている。秘書の自殺で脅されている。あなたのことだからもう調べ済みでしょう?」
 彼女も秘書をエリが殺したことを知っている。会長の指示をエリは脅しの材料に使っているのだろう。
「秘書の死は社員を2分にした。このままでは監査請求で崩壊する。でも私は会社と社員は守りたい。もちろん今すぐの返事は期待していない。必ず私が必要になる」
「会長は今もエリと?」
「主人は起業塾の女を漁っている。エリとは今は関係がないわ。ただエリの先は怖いのよ。それもあなたのことだから調べてるよね?」
「西崎がパイプだな?」
「ええそうよ。彼が抑えてくれると信じているわ」
と言うなりサングラスをかけて立ち上がる。










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  1. 2017/06/22(木) 06:08:00|
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秘密9

 ライブの監査を早めに切り上げて神部の事務所を覗く。今夜はアゲと夕食の約束だ。ドアを押すと神部だけが座っている。
「アゲはパテントの中にいますよ。ところで彼女の仕事が終わるまで時間はいいですかね?」
 分厚い調査書を持ってくる。
「朽谷48歳。創立メンバーじゃない。経理ソフトの会社の社長だったが、7年前にライブに吸収されて、今は経理部長のような仕事をしてます。取締役ではない。どうもアルファベットの会社などの資金の流れは彼が作ったようです」
 かなり細やかな経歴などを調べたようだ。写真を見ると黒縁眼鏡をかけた銀行員のような男だ。
「なぜ子会社に?」
「ライブの会長夫婦はエリとのことがあってから別居状態で、こちらの調査の時も奥さんが朽谷と食事をしていました。そのあとホテルに入ったという報告です。会長は起業塾の若い女性にかなり手を出していると言う噂です。エヌの女社長とも寝たことがあるそうです」
「いやに詳しいな?」
「こういう大物は過去の調査結果があるのですよ。会長は何度か朽谷をグループに出しています。でも今回は奥さんがNの社長を勧めたようです。資金の流れを大きく変えるようです。それと思惑もあるようです。分裂騒動にも関係あると踏んでいます」
 いつの間にかアゲが出てきたので神部は調査書類を封筒に入れて渡した。白いマスクをして紺色の高校生のようなコートを着ている。
「風邪でも引いたか?」
 表に出ると尋ねだ。
「いえ外に出る時のいつもの格好」
 アゲはしっかり腕を組んでいる。
「なんだか誘拐犯に見える」
 すると引っ張るように裏道に入る。
「ここは食事ができる」
「ホテルじゃないか?」
 部屋に強引に入ると、コートをぱっととる。何もつけていない。
「ずっと楽しみにしてきたよ!」








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  1. 2017/06/20(火) 06:04:39|
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秘密8

『昨夜ライブの会長が珍しく『梨花』に来たよ。私がサブで入った。分からない隠語でのママとの話だけど、報告するね。どうも今回のライブの監査で社内が2つのグループに分かれたという話があった。反対のグループはどうも話ではライブの奥さんで西崎がついているそうよ』
 ヒロからのメールが夜中に入っていた。ライブが分裂することなどあるのか?ライブの監査は効果があったようだ。監査のメンバーに私も水野も入っている。今日もライブの会議室に監査メンバーが8人がこもっている。
『ライブが2つに分かれることってあるのですか?』
 専務にメールを流す。
『驚くことではないよ。もう長いこと奥さんと会長の意見は分かれていて派閥ができていた。私は会長派だったが西崎は奥さん派だ。エリは仲裁役だ。だが最近は西崎派に寄りつつある』
『分裂と言うことはあるのですか?』
『アルファベットの会社ではNが柱だ。ここは畠山の後の社長は朽谷と言う男の名前が入っている。この男を調べてみるといい』
『朽谷というNの新社長を調べてくれ』
『OK!今日も会社に出てる。でも圧迫感があってめげそう。だからとっておきの写真見て!』
 何とアゲの大股開きのどんでもない写真が張り付いている。
「また妹?」
「いや専務からの報告だよ」
 私はスマホの画面を手で押さえている。水野は会社に残って作業をしている第2調査課のファイルを見せる。これに基づいて調査をしている。
「ライブの不良債権は相手の会社の倒産で消えている。相手の会社は大半が会長の起業塾のメンバーですよ。倒産企業では使途不明金となっている。これは想像だけどこの会社の場合社長がNで博打ですったことになっている」
「その流れが一つのパターンだな。何社調査がそのレベル出来た?」
「今のところ3社よね」
 これで監査での反撃が可能だ。






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  1. 2017/06/19(月) 06:24:49|
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秘密7

 急に空気が薄くなったと感じる。夜のうちに机と椅子が運び込まれ、ネットの回線も引き込まれた。連日喧騒のような中で調査は進む。水野は監査請求の文章を作成にかかっている。私は逃げるように外に出た。水野の恨めしそうな眼を見てコートを手に飛び出す。神部の事務所に呼び出されたのだ。
「忙しいとこ悪かったですね」
 事務所のドアを押すとどうも部屋が狭くなった感じだ。3人の社員が窮屈そうだ。奥の神部の席が前に出てきていてパテントの囲いができている。
「社長室っでも作ったのか?」
「いや、ネット時代に業務の拡大を始めるのですよ。ちょっと狭いがパテントの中に入ってください」
 ドアを押すと女性の背中が見える。神部は入ってこない。
「私就職したよ!」
 セーター姿のアゲだ。
「どうして?」
「神戸社長に誘われちゃった。そばに行きかったの。それにやっと部屋を出る勇気ができた」
「自閉症だと聞いたが?」
「母親が再婚した時から10年部屋に閉じこもってパソコンばかりしていた。ちょっとやばい写真を載せてブログを書いていて正一社長に仕事の依頼を受けた」
「もしかしてあの時バージンだった?」
「バンバンのバージンだったよ。でもオナニーばかりしていたから・・・」
 なんだか責任を感じるな。
「どこに住んでいる?」
「神戸社長の2階を間借りしている。奥さんと娘さんが2人、もう少し慣れたらアパートに行く。このパテントも取り払う」
「よしがんばれ。落ち着いたら食事にチャレンジしよう。アゲは可愛いから彼氏もできるよ」







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  1. 2017/06/18(日) 07:08:00|
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秘密6

『アゲのことを報告する。昨日で契約社員を退職した。彼女はうちで働き始めてちょうど2年だ。だが私は一度もアゲを見たことがない』
『どうしてだ?』
『極度の自閉症だそうだ。相手の目が見れないのだそうだ。それで高校を中退した。それが雄介と会って初めて目が見れるようになったと喜んでいたぞ』
 確かに部屋に飛び込んで来た時、アゲは私の目を見ていた。彼女が際どい自画像を送るのは唯一の外界との表現だったのだ。正一は敢えてその話を私にしなかったのだろう。
『どこに就職したのだ?』 
『自分で言うから内緒にしてほしいと言っていた。ただそちらの調査は続けると言うことだ。それからエリのパソコンについてもアゲに引き継いだ。彼女には天才的な勘がある』
 スマホを置くと珍しく社長が立っている。
「どうだ?ライブの監査請求で現状が打開できるか?」
 水野が気を使って自分の席を空けてコーヒーを入れてくる。
「こちらも厄介なことを突き付けられたのだ。テレビ局の機密費の回答を求められている。それで今顧問税理士と弁護士を動員している」
「現在調べていますが」
と債権放棄や未収入金のリストを見せる。水野も参加させても手一杯だ。
「かなり件数があるのと相手会社の調査に手間取っています」
「これは面白いところに目を付けたな?」
 社長はすぐに狙いどころにピンと来たようだ。
「よし、明日から調査1課から5人をここに張り付かそう。だが詳しい説明はするな」













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  1. 2017/06/18(日) 07:07:36|
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秘密5

 ライブの監査請求は朝刊の1面に出た。同日の週刊誌に特集が組まれた。ライブは株の異常には全く気付かなかったようだ。専務がうまくカモフラージュしてくれたのもある。だがまだ彼が完全にこちらの味方だとは言えない。何か隠している。ライブの会長と専務で何か協定が結ばれているようだ。
 今日は水野を連れて専務の部屋にいる。監査請求の抑えどころを調べる。水野は隣の部屋で10年間の決算書を調べている。
「どこを調べるつもりなのか?」
「急ぎなのです。何かいい手はありますか?」
「結構守りが固いぞ」
「アルファベットの会社への資金の流れを調べているのですが、とくに不正とつけるところがないのです」
 専務は煙草を消してパソコンのマウスを握る。
「これは私からのアドバイスではなくて、単に開いたものだと思ってくれ」
 画面に写ったのは貸し倒れと開発投資だ。140億は多すぎる。
「なぜここまで多いのですか?」
「一般的にこの業界はソフトの開発や投資に力を入れている。当然焦げ付きが出る部門だ」
「だが多すぎます」
 この先を調べろと言うことだ。そこから何かが見えてくるはずだ。岬からメールだ。
『約束の吸殻は取った。宅配で送ったから受け取って。それと西崎を警察に呼んだがオレオレ詐欺との資金の流れが見えない。彼は各ボスたちの報告や指示を与えているようだが、金には一切関わっていないのよ。ボスたちもここは口を閉ざしている。中心のボスは5名いてその下に100ものグループが存在している。約束の見返りは忘れないで』
「ところで監査を始めたら株は売るのだろう?」
「もちろんです」
「損を出すわけにはいかんだろう?それは任さんか?」
「お願いします」
「ライブは今回を乗っ取りとみているようで、50億ほどもう買いを入れてきている。3割上がって最高値を更新した。推奨株にしているので一般の買いも相当増えてきている。徐々に売っていけば結構儲けが出るさ」





 


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  1. 2017/06/16(金) 05:57:55|
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秘密4

 水野とライブの監査請求の書類を持ち込む。
「今日はいい顔色してるね?」
 ヒロと抱き合ってどこか心がすっきりした。抱き合うときはヒロが男ではなく女に見えている。だがセックスの形は違うので不思議なのだが。監査請求は少し待ちたかったのだが、結果が見えないので円卓のメンバーがせかしたのだ。仕方なくこの情報を女記者に流してライブに打撃を与えたい。ライブは自分たちがテレビ局でしたことをやられるわけだから慌てるだろう。どの会社も裏に隠していることは多かれ少なかれあるものだ。
「監査請求の会社での打ち合わせは任せるよ」
「どこに行くの?」
「警察に呼ばれている」
と私は手を挙げて路地に入って指定した喫茶店に入る。だが待ち合わせの相手は見当たらない。不意に肩を叩かれて仰け反る。
「私はこれでも刑事よ。用心しなさい」
 岬だ。ジーンズにブーツをはいている。
「いい女じゃない?」
「部下だよ」
「妹と言うのも怪しいわね」
「それより吉井組長は煙草吸ってたな?」
「ええヘビースモーカーだよ」
「吸殻取れないか?」
「何考えているの?」
 これは神部の戸籍謄本から前から考えていたことだ。
「刑事に頼むもの?」
「いや抱き合った男と女のお願いだ」
「結果が出たらその理由を説明すること。それと・・」
と言うとスマホを見せる。男のものが女のアナルに深々突き刺さっている。
「これしてくれる?」
「変態だな」
と言いながらヒロとしていることを思い出す。
「アメリカに研修に行ったとき、同僚の刑事に入れられたの。それから病みつきになって」
「一人でやってるのか?」
「そう」











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  1. 2017/06/15(木) 07:00:33|
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秘密3

『西崎のスマホも守が固いよ~前から取れている着信履歴の他はピクチャーに入れたので添付する。それと近いうちに就職するかも?もちろんこの仕事は終わりまでしますから』
『おめでとう!』
 心からおめでとう!添付を開く。たくさんの写真が入っているので肘をついてコーヒーを飲みながら見つめている。ピクチャーの中にまたファイルが入っている。だがこれは開くのに成功したようだ。え!』
 私は開いたまま凍結した。これは全裸のエリだ。私も何度も見たエリの裸だ。どうして西崎のスマホに入っている?だが私の知っているエリよりずいぶんと若い。10代後半か?
「また妹?」
「違う。調査報告だ」
 戻ってきた水野が監査請求のひな型を作っている。
「いよいよライブに監査請求出来る準備が整ったか?」
「ええ」
 社長に急がされているがライブは汚いお金はすべてアルファベットの会社でろ過されている。もっと突くところを見つけないとダメだ。
「しばらく待っていてくれ」
「いいのですか?」
『やっぱり雄介でないとダメ!雄介が誰と寝ても怒らない。許して!』
『もちろんだ!』
『その代り西崎の昔話聞いたの報告するよ。西崎は吉井組長の勧めで妹と付き合った時期が会ったそうよ。組長が酒に睡眠薬を入れて強姦したそうよ。とんでもない兄だね!今晩帰るから抱いて!』
 吉井組長の妹がエリ?
『エリの戸籍謄本をもう一度調べなおしてくれ。とくにエリの元戸籍の母と長男を調べてくれ』
 神部にメールを送る。










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  1. 2017/06/14(水) 06:25:19|
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秘密2

 岬が急に私の部屋に現れた。たまたま水野は向こうの証券会社に行っている。珍しくスーツ姿でいつもの能面の顔をしている。
「どうした?」
「緊急の用なの。部長にオレオレ詐欺のボスに何人かを挙げるように言われた」
 パソコンにUSBを差し込む。
「この男は時々クラブに顔を出している。それとこの女も」
 確かにクラブで見た顔だ。
「刑事に調べさせたら都内で事務所を構えているどちらもボスよ。チンピラを押さえてもう任意で呼んだ。Nの先行きが見えないので上も焦っているの」
「それで?」
「西崎の名も引き出した。だけど追い込むのには難しい。あなたのアゲと言う子にこの番号のスマホに入ってもらいたいの」
「アゲを捕まえないだろうな?」
「もちろん。非合法だから」
と言われてすぐにアゲにその内容のメールを送る。岬はつかつかとドアまで行って鍵を閉める。戻ってくるとスマホを打っている私のズボンを下げる。口に咥えると情けないことにもう大きくなっている。今度はスカートをまくると、もうそこにつるんとした狭間が見える。簡単にそのまままたぐように座る。
「私一人で昨日もあなたのものを思ってオナニーしたわ」
「不味いぞ」
「分かってる。でも潜入でこれを覚えてから病気になったわ」
「西崎ともやったのか?」
「ええ、でも彼はあのチェリーにイカレテいるわ」
「チェリーとしたと言ってたか?」
「本番はまだと言ってたわ」
「西崎も引っ張るのか?」
「私は立ち会わないから大丈夫…ああ・・・」
 15分で持たずに破裂した。










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  1. 2017/06/13(火) 06:59:30|
  2. ミステリー
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秘密1

 岬の筋肉の塊のような膣に締め付けられて心とは別に何度も逝った。ヒロはあれからメールを返して来なくなった。それと夢の中で吉井組長の言葉が何度も蘇ってくる。エリが私を愛していたとは信じられない。Nの追及も畠山とともに止まってしまった。ライブの会長もすんなり警察の手から滑り落ちた。
「久しぶりだな」
 水野が朝から席に座っている。
「5社で100億まで買い進めました。これ以上は目立つし浮動株は少なくなってきているわ。なんだか乗っ取り犯のようで妙な気持ち」
 水野は詳しい資料を机に置く。
「妹は?」
「今は外に出た」
「喧嘩したの?」
「恋人でもできたかな」
「兄妹から脱皮しないとね」
『彼と会ったのね?どんどん私を追い詰めていくのね。でも彼にはもう会わないことね。殺されるよ』
 初めてエリからメールが入った。昔からのスマホだから何かエリは警告してきたのだろう。エリにずいぶん近づいたのだろう。
『もう帰って来い!』
とひろにもう5度目のメールを送っている。だが全く反応がない。
『水野君は戻っているかな?ライブは買占めに気付いたようだぞ。買い込んで来たら売り抜けるのか?』
 専務だ。
『いえ、監査権を取るので売りません』
『よし推奨株にしてやろう。ライブの買を阻止できる』












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  1. 2017/06/12(月) 06:46:47|
  2. ミステリー
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切り込む12

 正式な畠山刑事告発の発表が警察からあった。だが被害額が不明とあった。今夜は岬のメールがあり9時に横浜のクラブに行く。また岬の狭間を見せられてはさすがに危ない。吉井組長が会いたいと言うことだ。
『・・・吉井組長は38歳で2つ下の奥さんに子供が2人います。実は奥さんは前の組長の先妻の一人娘で彼は若頭の時に結ばれている。前の調べで分かっていると思うが、内妻は彼の母親です。だから籍を入れられなかった』
 神部の報告を思い出しながら横浜のクラブに入る。すでに入口に岬が大きく胸の空いたドレスで立っている。
「どうして私の名が出た?」
「分からない」
 席に座ると耳元で話す。
「ここはオレオレ詐欺の連中の巣よ。西崎と組長はそれで繋がっていると思う。でも証拠がない」
「待たせたね」
 組長が前に座る。岬は席を立つ。やはりエリに似ている。
「私を知っているのですか?」
「ああ、私の彼女の恋人だった」
 まさか自分から切り出してくるとは思わなかった。
「エリは君を愛していた」
「それはないですよ。罠にかけられて退職しました」
「私も祝福していた」
「・・・」
「だが彼奴はまた修羅の道に戻った」
と言うともう立ち上がっている。待っていたように岬がコートを手に席に戻ってくる。
「話じっくり聞かせてね」
 腕をつかむとホテルに行く気だ。入れ違いに西崎がチェリーを連れて入ってくる。何と間の悪いことだ。ヒロの目から光が走っている。
「私はバージンではないから気にしないでいいのよ」
と岬はその気だ。










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  1. 2017/06/11(日) 06:51:36|
  2. ミステリー
  3. | comment 0

切り込む11

 水野を専務の元に出向させてライブ株の購入を慎重に始めた。私は女記者と打ち合わせをして例の記事を書かせた。これはライブを絡めたいがゆえの作戦だ。それで警察が任意でライブの会長を呼び出した。また一人で広い部屋でパソコンに向かっている。
 これは検察の男から貰った畠山の会社のパソコンの中身だ。これはNにとって都合のいいファイルだけが加工されてあるという感じだ。これをアゲに送って消された畠山のパソコンとスマホの記録と重ねて調べてもらっている。私は時計を見て11時30分には会社を出てタクシーで池袋の裏通りで降りる。
 ラブホテルの部屋の掲示板を見てエレベターに乗り込む。チェリーは昨夜店を休んで新宿のニューハーフの店でショーに出たようだ。それで朝食事を誘ってきたのだ。今はラブホテルでも豪華な食事が取り寄せられるのだ。
「待ってたよ!」
 ヒロがすけすけの下着でアナルを見せた格好でベットに誘う。だめだ。完全に立っている。それを引き出して美味しそうに舐める。これから1時間たっぷり精液を吸い出す。
「何か長距離恋愛みたい。燃える!」
「西崎とは?」
「キッスはする。この前はアナルに指を入れさせてフェラチオをした」
「やめとけよ」
「これも雄介のため。彼はエリと吉井組長のことを知っているのよ。やはり二人は会っているよ。繋ぎを西崎がしている」
「今西崎は何をしている?」
 Nの社長を辞めたところだ。
「私が思うに、彼はオレオレ詐欺のボスだと思うの。スマホを覗き込んだら凄いメールが入っていた。それに横浜のクラブに何人かの男や女が来てたよ」
 元々ライブのスタートはこの手の詐欺だったのだ。それでただ一人吉井組長と繋がっている。
「今日は?」
「5時に『梨花』に入る。今日はママは病院に行って休みだから私がママのお客さんを担当する」
「ママの体調が悪いのか?」
「いえ、子供のようなの」






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  1. 2017/06/10(土) 07:02:00|
  2. ミステリー
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切り込む10

「社長の呼び出しよ」
 畠山の失踪からもう半月が経った。殺されたのかもしれない。隣の部屋だがわざわざ廊下に出て秘書に声をかけて入る。円卓には社長と並んで例の検察の男が座っている。
「切り口になるはずのNが閉ざされた」
 社長が並んでいるコーヒーを手に難しい顔をしている。
「Nが刑事告訴したのは知ってるな?」
「警察はなぜ公表をしないのですか?」
「畠山がすべての抑えるべきものを持って逃げた。これは殺されたとみるべきか?警察でも調べているが煙のように消えた」
「テレビ局は後手になってるようですね?」
「ああそうなんだ。不味いな」
 社長は行き詰っている顔だ。
「まずNの刑事告訴の前に例の記者にこの内容の記事を書かせてもらいたいのだよ」
とUSBを机のパソコンに差し込む。畠山がライブの会長に金を要求して、受け入れてもらえなくてNの金や脅す目的で資料を持ち出した。この資料は脱税の証拠だ。
「この記事で時間稼ぎですか?」
「ライブの会長を引っ張りたいのだ」
「何かいい手があるか?」
 私は持ってきたファイルを広げる。これはライブの株主構成で水野が調べたものだ。
「資金を集めるためにグループ会社がかなり株を手放しています。浮動株を買い占めませんか?資金は100億で監査請求ができますよ」
 二人で小声で話している。
「金は用意できるが、ここでは無理だ」
「前の証券会社で了解を取りますよ」












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  1. 2017/06/09(金) 07:05:17|
  2. ミステリー
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切り込む9

 今朝の朝刊一面にテレビ局とライブの会長の会談の内容が載っている。ライブの役員を受け入れざる得なくなってから、ついに監査を入れるという話だ。そこまで株を買いこんできたわけだ。この資金はエヌの株価操作の金だと言われている。国税はNの査察の後行き詰っている。
 こうなると畠山の失踪は大きな空白だ。この時期にNから刑事告訴が出された。女記者に情報を聞いたが、告訴の内容をまだ警察が公表しないのだと言う。それで女刑事岬に警察内の詳細を聞いた。水野にコーヒーを入れてもらって最後になった時岬からメールが来た。
『これは公表はダメよ。Nの告訴状では社長になった畠山がNの資金とすべての内部資料を持ち出したとあるの』
『金額は?』
『調査中だと言うの。それで警察は今日にも前社長の西崎を呼び出している。西崎は昨日も横浜のクラブに来ていたわ。可愛い女の子を連れていた。ホテルに行ったのかも?』
 瞬間にヒロにメールを流す。
『昨夜西崎とホテルに泊まったのか?』
『どうして西崎と横浜のクラブに行ったの分かったの?まさかアゲに私の位置情報を取らせているの?』
 どうして嫉妬しているのか。
『今起きたところ。西崎は12時に吉井組長に呼ばれて出ていったわ。私は今起きたところ。ほら』
 写メールが流れてくる。ホテルのベットにチェリーの朝立ちが写っている。
『アゲのマネはよせ!』
『西崎は今日は警察に呼ばれているよ。独り言で彼奴も損くじを引いたってどういうこと?』
 彼奴、損くじ?、畠山を指している。西崎が仕組んだことではないようだ。
「また妹?」
 いつの間にか水野の顔がそばにある。朝立ちの画面でなくてよかった!
「覗き見はよくない」
「気になるんだなあ妹が」
「今日はライブの主幹事の証券会社でライブの株主構成を調べてきてほしいのだ。専務には了解をもらっている」










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  1. 2017/06/08(木) 06:22:11|
  2. ミステリー
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切り込む8

『ねえ、変なのよ!畠山、パソコンもスマホも切断したよ』
 アゲのメールだ。
『もう少し分かりやすく説明しろよ』
『雄介が会ったという日の夜からなの』
『よし調べてみる』
 私はそのまま神部のスマホにかけた。それで探偵事務所の社員が畠山のマンションに走ってくれる。それからあの日会った彼の表情が険しかったことを思い出す。あれからだとするともう1週間は経っている。
『Nの調査は?』
 女刑事の岬のスマホに流す。
『西崎が社長が変わったと言うのでその畠山を呼び出しているのに来ない』
 入れ替わりに神部から連絡が入る。
『マンションは解約されて荷物も運びだされている。解約は本人から1週間前に連絡があり、違約金の清算もし荷物は翌日に社員と言う男たちが引き取りに来たと言うんだ。部屋の中も見たが何も残っていない。プロの仕事だと』
『アゲ、畠山の位置情報はどこで消えた?』
『今調べているけど、夜中までは横浜にいたはずよ。でも畠山が横浜に行ったことは調べてから初めてよ』
『交番からNに行かせたけど1週間前から出てきていないとのことよ』
 岬からもメールが入る。
 何かが空回りしている。だがエリは畠山の失踪を知っている。いや演出ができたはずだ。だが今彼が姿を消さなければならないのか。畠山はネット証券でエヌの不正操作を指示して解雇になっていた。それでNの社長になった。打がまだ仕事らしい仕事はしていないはずだ。








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  1. 2017/06/07(水) 06:56:36|
  2. ミステリー
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切り込む7

 畠山の後にも尾行がついていたようだ。追うように外を出たが畠山の背中に一人男がいる。『梨花』に着いたのは約束より30分遅れた。専務のボックスにチェリーが座っている。
「チェリーが君を呼べと言っていたのだ。もう関係を持ったのか?」
「いえ、専務の席でしか会ってませんよ」
 ヒロはすっかり専務のお気に入りだ。
「だが遅い時間はあの西崎に独占されている」
 珍しく『梨花』のママの顔が見える。私を見て歩いてくる。
「昔敵味方同士が仲良しだこと。私の誘いはお気に召さないようだわね」
 畠山を付けさせていたようだ。チェリーが気を利かせてママのグラスにワインを注ぐ。
「やはり裏切った私が憎い?」
「狐に騙されたようだった。だがけじめはつける」
 チェリーが心配そうに見ている。専務は二人の関係を知っているのでチェリーを抱いて話に加わらない。専務はエリのことをどこまで知っているのか。私は妹と同居していると言っているがおそらく誰もヒロを見たことがないだろう。マンションも会社の寮となっていて名札も出していない。それに今はヒロもホテル住まいだ。
「なぜああまでして結婚まで進んでいたのに罠をかけた?」
「あの時はあれしかなかったのよ」
「ライブの会長からの指示だったのか?」
「いえ、私が決めたこと」
 珍しく厳しい顔で立ち上がる。入口に西崎の顔が見える。ママは西崎と言葉を交わしてボックスに案内する。しばらくしてボーイがチェリーを呼びに来る。
「ライブがテレビ局の株を買い増したぞ」
 専務は商いのグラフを見せる。エヌで200億の返済をしただけでなくまだ儲けていたようだ。











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  1. 2017/06/06(火) 06:50:34|
  2. ミステリー
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切り込む6

 会社を出たあたりから尾行されている気配がした。先ほど専務から『梨花』で会おうと連絡があった。今から出ると8時前には『梨花』に着く。わざとタクシーに乗らず歩道をゆっくり歩いていく。私は途中からスピードを上げて路地を曲がる。まだ狙っているのか?
 後ろから慌てて曲がってきたサングラスの男がいる。私は首を後ろから締める形で男を抑える。畠山だ。
「今度は殺す気か?」
「いや今日は話に来た」
 私は身の危険も考えて近くの喫茶店に入った。畠山は店に入るとサングラスを取った。昔のような剽軽さはなく鋭い目つきになっている。
「お前はいつから専務と組んだ?」
「いや専務じゃない。エリだよ」
「なぜエリが?」
「お前と別れたいとホテルに誘った」
「抱いたのか?」
「いや薬を飲まされてスマホの写真をコピーされた。それにお前を裏切ることになった。もちろん金ももらったがな」
「お前の話は?」
「俺はもう操り人形だ。お前を引き込めと言われているのさ」
「お前を操っているのは?」
「エリだ。怖い女だ」
「エリを動かしているのは?」
「ライブの会長ではない。だが俺も知らない。ただエリは動かされているのではなく自らで動いていると思う」
「組む気はない」
「そういうと思っていたさ。俺も長くないかもしれん」
と言うと千円札を置いて店を出ていく。








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  1. 2017/06/05(月) 06:20:50|
  2. ミステリー
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「悪さしてこなかった?」
 水野が同じネクタイをして出てきた私に声をかける。やはり岬が言ったように朝にはチンピラが煙草の吸殻を一杯ためて路地にいるのを見た。朝、岬はシャワー室から筋肉隆々とした裸で出てきてつるんとした狭間を見せて下着をつけた。これは体育系の男のような女だ。
「友達と朝まで飲んだ」
と水野が置いている新聞に目を通す。
「ネット証券は営業停止処分か?」
 背広の内ポケットからスマホを出す。8件のメールが入っている。
『なぜ繋がらないの!』
 ヒロから7件のメールだ。
『昨日ママのところに西崎が来たのよ。私を呼ぶ前に二人で話していた。私は隣のボックスに入って盗み聞きをした。Nの社長は畠山に代わるそうよ。ママは身内でないのを入れるのは危険だと言ってたわ。でもライブの会長は作戦だと言ったって』
『悪かった。昨夜は警察の協力をしていた。感謝する』
「そのメール怪しいわ」
「畠山がNの社長になるようだ」
 次のメールはヒロのメールに挟まれた正一からのメールだ。
『ようやくエリのパソコンに侵入できた。まだ開かないものもあるが、開けたものから送る』
 添付メールを開く。これはライブのアルファベットの会社の資金の流れだ。だが外に流れる資金の矢印の向こうが黒塗りになっている。ここに吉井組があるのだろう。パイプの総責任者がエリと言うことなのか?この図をそのままコピーして検察の男に流す。
 ライブの会長が柱なのか、吉井組長か、それともエリなのか?










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  1. 2017/06/04(日) 06:12:31|
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 エムの株式売買でネット証券の社長と取締役部長の畠山が証券監視委員会に呼び出された。これについては女記者が独自の取材で記事を書いている。委員の誰かから情報を取ったようだ。案外社長かもしれない。エムの売買工作は畠山の独断と言うことになったようだ。翌日に畠山は自己都合退職をした。
 『今夜横浜のクラブに来てください。夜は同伴をよろしくお願いします』
 岬女刑事の初メールだ。夜の約束した10時に店に入る。店の中を見渡すが岬は見当たらない。あまり柄のよくないクラブだ。大きく胸の空いたドレスの女がエスコートしてくる。耳元で、
「岬よ」
と囁かれて慌てて顔を見る。化粧すると能面のような顔が色っぽく見える。
「前の店の常連」
と相方のホステスに言う。別人だ。いつの間に潜入したのか。
「後ろに組の小頭が来ている。ここは吉井組が経営しているという噂」
 息を吹きかけるように囁く。胸元から微かに乳首が見える。これが公務員か。
「岬ちゃん、こちらの席にも寄ってよ」
 ごつい顔に似ぬ猫なで声だ。
「今日は彼氏とデートよ。親分が来られたよ」
 吉井組長が入ってきて一人カウンターにかける。隣に座っているのは西崎だ。見たからに親しそうだ。西崎はスマホを見せている。
「報告をしているの」
 組長は1時間ほどで出ていき、西崎は岬をカウンターに呼んだ。もうしっかり西崎に近づいている。10分ほどで岬が席に戻ってきて、
「同伴よ」
と腕を組む。入口で5万を払うと、コートを着た岬が出てくる。
「つけられている。新人はこうした調査をされるようなの」
と少し歩いたラブホテルに抱き付くように入る。
「朝まで泊まるのよ。同じベットに寝ても気にならない?」










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  1. 2017/06/04(日) 06:12:15|
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切り込む3

『明日警視庁に10時に寄ってくれ』
 いつものように短いメールだ。私は会社に顔を出して水野に宿題を与えてタクシーに乗る。もうすっかり足は治っている。
「兵頭ですが?」
 入り口で声をかけるとすぐに女性が下りてきてエレベーターに乗せやたらと長い廊下を案内してくれる。扉に部長とある。
「来られました」
 あの目の鋭い刑事が座っている。女性は横に座って分厚い資料を広げる。
「このナンバーは横浜の銀縄組の所有です。乗っているのは3代目の吉井組長です。関東では経済やくざとして力を見せています。だが彼は2代目吉井の実子ではないのです。母親も籍に入っていません。ただ10年前に内妻となっています」
 写真を見て変な感覚に陥った。エリに似ている。なぜだろうか。
「今までこの組はなかなか尻尾を掴まさなかったのだ」
「ただ噂ではオレオレ詐欺の後ろにいるという噂がありました。本部でもマークしていましたが今回のNとの接点は意外でした」
「Nとはライブと深く繋がっています」
「だが証拠はない」
「よく調べられていますね?」
 女記者の週刊誌を拡げる。
「吉井組長と『梨花』のママの関係は?」
「愛人関係だと思えます。だが確証はありません」
「Nの西崎とは?」
「唯一吉井組とのパイプです」
「ここを突くしかないか。彼女はこれでも警部補で私服捜査が得意だ。君と連携してくれ」
 彼女は名刺を出すと裏に携帯の番号を書いた。岬とは珍しい名前だ。





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  1. 2017/06/03(土) 07:11:04|
  2. ミステリー
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切り込む2

 ライブのシリーズとして週刊誌はNに続きSを取り上げ、ネット証券の今回のエヌの売買の疑惑を取り上げた。合わせて一般紙がNの社長の西崎の国税の脱税と判断したと載せた。合わせて『梨花』のママも呼び出した。
 今日は呼び出しがあって神部の事務所に出かけた。新しく入った女の子がコーヒーを入れてくれる。神部はパソコンのファイルを開いてNの店の前から撮った写真を見せる。彼の事務所に先月は300万を払い込んだ。
「1週間の張り込みでようやく店に入る白いベンツを撮った。これが横浜ナンバーだ」
 私はその写真を取り込んで検察の男に送る。これで特定ができる。この車の話はまだ女記者にはしていない。
「運転手の後ろの席に男が座っている。幾ら拡大しても判別が出来ないが、これが追っている男だと思う。少し危険だったが思い切ってシャッターが開いたときに駐車場に下りた。駐車場の防犯カメラに映らないように動いたから男が下りたところはとらえられなかったが、見てくれ」
 暗視カメラで撮っている。前の男の後ろをもう一人が迎えに来ている。
「これは拡大すると」
「西崎だ」
 初めてライブとの関係者がこの男との接点を見せた。エリと男のことはまだ私の妄想の産物だが、これは明らかな接点だ。西崎をたどればこの男に繋がる。
「そうです」
 私はスマホでアゲにメールを送る。
『西崎の通話履歴でこの男を探してくれ。それとあの写真はやめてくれ変態だと思われる』
と写真も添付して送った。
「ハッカーのアゲだね。うちもこういう女の子がほしいですよ」
「やめておいた方がいい」
 今度は早い。アゲからのメールだ。ウインクしている顔だ。案外可愛い。
『あれから調べていたけど、従業員、ライブの会長、エリに続いてアクセスランクが多いのを見つけていたよ。添付するね』
「やはり西崎と接触がある」
「西崎は今、国税だろ?」
「いやもう戻ってきている」
「よし見張りだな」










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  1. 2017/06/02(金) 06:15:57|
  2. ミステリー
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プロフィール

yumebito86866

Author:yumebito86866
夢人です。これは『空白』に繋がる作品ですが、これは段ボール箱の住人ではありません。今回書下ろしで書き始めました。ここに登場する人物はみなどこかで触れあった人物ばかりです。そして知った事実がこの小説を書かせました。

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