迷い道

結婚相手から罠をかけられた。奈落に落ちてヒロにあった。ヒロは見違えるようないい女になっていた。再び舞台に戻り捨てられた謎に迫る。


地崩れ10

 自己都合退職をするべきではなかったのか。だが心はもう会社から離れている。誰からも携帯に連絡がない。毎日新聞や週刊誌を見ているがライブの上場についての記事に専務の名前が出てこない。だがここを出ていこうと考えている。
「兵頭さんいるか?」
 ジャンバー姿の男が2人顔を出す。
「あなたは1か月前に退職届を出されたようですね?」
 彼は知能犯の刑事だという。
「ええ。君に詳しい話を聞きたいのだ」
「どうした取調べですか?」
「ライブの件だ。君も知っていると思うがライブが未公開株を相当ばら撒いていたのだ」
「いえ、そういうことは知りませんが?」
「専務は?」
「昨日呼んだがすべて君が仕切っていたとな」
「私は上場準備の事務作業が中心で未公開株の配分はライブで決めるものです」
「こちらの調査では君もライブの株をもらってたようだな?」
 やはりあの5000万は払い込みの金だったのだ。
「逆に聞きたいのですが、その通帳の払い込んだ金は?」
「すぐに上場の後5倍になって入金された。だがすぐにエリという女性の口座に振り込まれている。変な奴だな。自分がしたことなのに初めて聞くようだな?」
 やはりエリが絡んでいる。
「誰が呼ばれているのですか?」
「証券会社では専務と部長と君だ。ライブでは会長と室長だ。今の状態では君と室長が事実を握っているとみなが言う」













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  1. 2017/09/08(金) 06:44:23|
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地崩れ9

 その夜私はエリのマンションを訪ねた。このマンションには何度か来たことがあるが泊めてもらったことはない。玄関のブザーを鳴らすが応答はない。40分待っていて出る人と入れ替えで中に入る。ここは分譲貸で彼女の所得では高望みの部屋だ。8階までエレベターで上って部屋の前でベルを鳴らす。反応はない。
「そこの人は1週間前に引越しされましたよ」
 何度か顔を見られている管理人が後ろに立っている。気のよさそうな女管理人なのでエリも気安そうに話していた記憶がある。
「会社を休んでいるので心配で見に来たのですが?」
「彼女結婚すると言っておられましたよ」
 初めから私を嵌めるつもりで付き合っていたのではなさそうだ。
「ここは元はどなたが住んでいられたのですか?」
 エリがいつか飲んでいた時にこのマンションが会社の人間から借りているといっていた。その時はふ~うんと聞き流していたが。
「上辻という男性で」
 専務だ。
「私の会社の上司です」
「3年前に新しいマンションを買って引越しされました。彼女はその後半年後に入ってこられたのですよ」
 専務はIT会社時代に同僚と結婚していて子供も2人いる。だが女関係は絶えない。やはり噂通りエリも専務の女だったのか。今回の事件の根元は専務だ。
「どこに引越ししたのか?」
「それは言えませんが、その段ボールの引越し会社に電話されては?」










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  1. 2017/09/07(木) 06:25:00|
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地崩れ8

 いつものように会議室で新聞などを読んでいると、調査部の担当が一人ずつ呼び出していく。午前中に上場チームの6人が呼ばれて帰ってこない。私は一人近くのレストランでランチを済ませ部屋に戻る。夕陽が差し込む時間になって初めて調査部の女性が入ってくる。
「調査部に行くのでは?」
「いえ、社長室に来るようにということです」
 社長室のソファーに座っているのは人事部長と畠山調査部係長だ。
「すでに人事異動の発表を決めた」
 社長派の柱と言われている人事部長だ。上場チームの6人がことごとく他部署に移動だ。上場チームの部長は人事部付けとなっている。
「上場チーム室は?」
「解散だ」
「専務は?」
「それより君の問題だ」
 畠山係長が通帳のコピーを広げる。5000万の入金がありそれがライブ株の購入に振り込まれている。
「ありえない!」
「これは君の通帳だな」
「使っていない通帳だ。どこで手に入れた?」
「エリさんが専務に提出したのだ」
 エリが!?
「役員会では懲戒解雇、刑事告訴の流れだが専務が自己都合退職を提案している」
「会社としてはこの事実はなかったものとして穏便に処理したい。もちろんこの通帳も存在しない」
「君は1か月前に辞表を提出した」
 畠山は氏名だけが空いた辞表を広げた。



















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  1. 2017/09/06(水) 07:01:43|
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地崩れ7

 ライブの上場は話題を醸しながらも目標を超えて株価を上げた。だが上場チームは同時に部屋に軟禁状態になった。7名が会議室に出勤して帰るという異常事態だ。当の専務は毎日畠山調査係長と連日部屋にこもったり車で出かけているようだ。エリは携帯が全くかからない。
「今日は役員会議があったようだ」
 そういう情報が少しずつ入ってくる。
 定時が来ていつものように裏口から外に出る。今回の措置はマスコミには全く伏せられている。ぼそぼそ歩いて屋台に座る。ここ毎日のコースだ。
「まあ1杯飲めよ」
 ゆっくり首を向けると会長が酒を注ぐ。
「役員会だったらしいですね?」
「ああ」
 キレが悪い。
「何が決まったのですか?」
「仕組まれたよ」
「上場の取り消し?」
「話をそらされたな。しばらく休んでこの携帯に連絡して来いよ」
「内容は?」
「言えない」
 もう1杯頼むと会長は立ち上がった。私は握らせれたメモ用紙を無造作にポケットに押し込んでコップを飲み干す。専務が逃げ切ったような話だが私にとってどうなるのか。











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  1. 2017/09/05(火) 06:44:46|
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地崩れ6

「専務あのパソコン開かないのですが?」
「もう作業は終わった。開く必要もない」
 専務室から不機嫌そうに専務が役員会議に出ていく。私はパソコンを再度調べてみたが、今までの記録はすべて消されたように思った。上場はもう明日に来ている。ここまで来てもう引き延ばすことはできない。
 役員会を終えてもう一度専務室を覗くと、鍵が掛かっていて秘書のエリもいない。調査部を覗いて同僚の顔を見つけようとしているが、
「畠山係長は専務と出ているぞ」
 調査部の課長が笑いながら廊下に誘う。
「役員会では専務と社長にライブの上場については押し切られたようだ」
「畠山は?」
「専務の了解をとって個別の上場後の上場チームの検査をすることになった」
「よく専務が認めたな?」
「会長が押し切ったのだ」
 それを予想してパソコンの情報を消したのだ。だが気になるのは専務が今度に限って課長の私に何も相談をしていないことだ。エリも毎週泊まりに来ていたのが全くない。
「畠山は前々から部長の内々の指示で3か月前から上場チームを調べていた。それで彼に任されたのだろう」
「一人で?」
「何も知らされていない」
「部長が指揮を?」
「らしいな」
 不満なようだ。















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  1. 2017/09/04(月) 06:55:20|
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プロフィール

yumebito86866

Author:yumebito86866
夢人です。これは『空白』に繋がる作品ですが、これは段ボール箱の住人ではありません。今回書下ろしで書き始めました。ここに登場する人物はみなどこかで触れあった人物ばかりです。そして知った事実がこの小説を書かせました。

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